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結局どういうことなの?

 サン=ベルナール・ロベスピエール視点


 性欲について、あるかないかと言われたらあると答えるしかない。加えて強いか弱いかと聞かれれば、どちらかといえば強い方であると自分は考えている。

 だからだろう。肺結核と言う不治の病を前にして、子孫を残さなくてはという生物的本能が働いた。

 つまり、だ。僕は、ニコラを抱いてしまった。

 問題はないんだ。彼女は高級娼婦であるし、むしろ今までの情報提供と個人的な談笑のためだけに高級娼婦を利用していたという方がアブノーマルなんだ。

 だがこっちは大問題だ。

 シャルロットを抱いてしまった。3歳も歳下の、しかも政敵となり得る男の妹と寝てしまった。しかもルナと同時にだ。

 

 「ルナさん、先生って意外と甘えたがりなんですね」


 「情けないよね、可愛いんだけどさ」


 なぜこんな事をしてしまったのだろうか。それはひとえに僕が安らぎを求めているからだろう。だがこれはあくまでシャルロが僕にくれた安らぎであって、他の女性ではダメなんだ。

 だからまったく馬鹿なことだと思うよ。心の底から好きな女のことを抱けないからって、その代替を求めてこの二人を同時に抱いた。それで心のうちが満たせる訳ないのに。


 「少し疲れてるんだ、僕も」


 なんとかしてこの肉欲を断ち切らねばならない。このままだと聖審問会のアナトリウス公王のようになりかねない。

 それを分かっているのに、どうしてこの肉体は安らぎを求めているんだ。


 「ねぇ、先生。そういえば議会どうだったの?」


 親しい議員から昨日の話は聞いてる。なにやらあのオーレン公が国王に一杯食わされたらしい。


 「正直やられたなと思った。国王は三部会を自ら開催されるそうだ」


 国王の演説内容もきちんと聞いてきた。 確かに、あの内容を議会という熱の籠る場で演説されたら、僕でも来るものがあるかもしれない。

 だが事実だけを見てみれば、国王の弱さが露呈する演説だったと思う。

 だって国王はあくまでオーレン公の起こした火を奪って己のものとしたのだ。それは国王に自分で火を起こせる力がないということの証明に他ならならい。


 「じゃあ結構まずかったりするんですか?」


 「シャルロット、むしろその逆だ。国王は前向きに三部会を宣言なられた。だからこそ、危ないんだ。民衆を期待させてしまう訳だからね」


 「でも、だかこそ怖いよね」


 「そうだ。王は三部会が失敗した場合を一切考慮していない。意図的か、あるいは無自覚だったのかは分からないが。

 ともかく、最終決戦の場所を用意したって訳だ」


 「ぶっちゃけどうなりそうなんですか?」


 「どちらにせよ僕らの勝ちだ。三部会がつつがなく進行すれば、僕らは表で大きな影響力を持つことになるし、失敗すれば革命になって王が死ぬ」


 「で、結局三部会は成功しそうなの?」


 「分からない。だけど演説を聞いた感じ、王は身を切る戦い方をすると思う。

 だから最初の論題は王室準備金の縮小とか近衛の縮小とかになると思う。ここまではいいんだ」


 「でも身を切る戦い方をするやつは相手にも身を切ることを強要する。

 なら、第二回の論題を領民税の廃止と身分一律税の布告としたら…」


 だとしたら、貴族の大部分は三部会において一身分一律制の投票方法を提案する。王は三部会を終わらせたくないから、忠実な貴族に一人一票制の導入をお願いするだろう。

 今現在のオーレン公、僕、オーギュストの陣営の影響力と野良の救民貴族の数を概算すると…調度議会の半分か。


 「そういうことか。悪魔のような一手だな、オーギュスト国王陛下」


 「え、つまり、どういうことなんです?」


 「奴は三部会を人質に、つまりこの国全体を人質にとってオーレン公と僕を従えようとしている」


 僕では思い付きもしなかった、たった一つの冴えた一手。強欲にも全てを失わず全てを得る一手。


 「でもそれってさ、この一手が失敗したら…」


 「そうだ。全てを失うだけじゃすまない。文字通り、必死の策だ。相手を持っても自分にとっても。常に犠牲の数字を計算に入れてきた僕らじゃ、思い付きもしない狂気の策、尋常ならざる一手だよ」


 だが、だとしてもこれは詰み盤面で最善手を打ったに過ぎない。決してこの手によって僕が窮地に立たされることはない。オーレン公においてはその限りではないだろうが、ともかく小さな一手なのだ。


 「凡庸で浅ましい男と認識していたが、を改める必要があるかもしれない」


 王は僕の病を知らないだろうから今のところ心配はないが、僕が肺結核とバレれば遅滞戦術を取られてタイムアップにされかねない。

 しかしその手を取った場合のラソレイユの姿は…先の未来すぎて想像できないな。


 「なぁ、もう一度しないか、明日は休みなんだしさ」


 再び彼女らを抱いた。

 自分のことながら、吐き気を催すほど気持ちの悪くて情けない男だと思う。

予約投稿では26日ってなってるんですけど、26日に友達と忘年会をやるんですね。だから次回か次次回に1日2日投稿空くかもしれない。


全部はシャワー浴びてる時にいい感じの展開が思いつくかどうかです


追記

凡人が尖った表現をする時には必ず性と死に走るってTwitterで見ました。

まさしくこの展開はそれでしょう。だってテルールさすがにキモすぎるし。結構気に入ってるけど、改訂はあり得るかもしれませんこの回。

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