ジョセフ・ジュガシヴィレキの憂鬱革命
サン=ベルナール・ロベスピエールの死去から15年後
ルーシー帝国、モスコーヴィエン大学のしがない法学徒、ジョセフ・ヴィガーノヴナ・ジュガシヴィレキには悩みがあった。それはラソレイユ法典の講義の際いつも隣に座っている女性、シャルージェ・カーラヴィチ・ラスアジィンニコフが美し過ぎて集中できないと言う悩みだ。
「…サン=ベルナール・ロベスピエールの制定したラソレイユ共和国法には大きな特徴があります。まずは…」
自由に席を選べるのにも関わらず、常に自分の隣に座ってくるその女にそろそろ文句の一つでも言ってやろうと考えていた。
「‥そしてブオナパルテ・ラパイヨーネはラソレイユ帝国法という形でこれに改善を加え、現在の形になったのですあります」
講義が終わり、彼は図書館に向かった。何故なら金髪碧眼のあの迷惑な美少女が図書館に入って行ったからだ。
「すいません、シャルージェ・ラスアジィンニコフさんですよね。あぁ、あの、僕はジョセフです、貴方のいつもの隣に座っている」
彼女の完成された美しい顔面を前にしてしどろもどろになってしまう。ジョセフは一度たりとも女と手を繋いだこともない様なシャイな男だった。
「あぁ、貴方ジョセフと言うのですか。良い名前ですね。それで何かご用で?」
ジョセフは礼儀正しい男である。そうしなければ父親に腹を殴られたし、ジョセフの不自由な肉体ではそうしなければ生きられないからそうならざるを得なかった。だからジョセフには最初からなんで隣に座るんですかなんて言えなかったのだ。
「あ、あの。自分はカール・カガノーヴィチ・ラスアジィンニコフ氏のファンなんです」
彼女は彼のその言葉にきょとんとしていた。彼女は彼と言う人間を誤解していることに気付いたからだ。
「…少し外に出ましょう」
2人は図書館の裏手に回った。ここは人気ない場所であり掃除すらもされない為落ち葉が積もって独特な腐葉の臭いが満ちていた。
「ジョセフさん、貴方って秘密警察ではないんですか?」
彼は彼女の問いに困惑した。
「え、まさか。僕はそんなんじゃありません、断じて」
「では何故歩く時も座っている時も、ずっと左手を動かさないんですか?」
ジョセフの左腕は動かない。それは幼少期に馬車に轢かれたからだ。
彼は彼女に包み隠さず話した。馬車に轢かれたこと、治療費を払えないので放置せざるを得なかったこと、そして今も動かないこと。
「ごめんなさい、その左腕を動かさないのは常に銃を引き出せる様にしていたからだと思ってしまって…」
ここで彼はふと気になった。なんで自分を秘密警察だと勘違いしていたのにも関わらず近寄る真似をしたのか。彼はこれを問いた。
「‥疑ってしまった以上話さなくてはなりませんね。そのもし秘密警察であって、そしてそれがこの国の人ではないとなったら、私はその人に対処しなくちゃならないんです。でもこれ以上は話せません」
彼は何故か彼女に心惹かれた。それは彼女の所在が美しかったと言うのもあるし彼女の人間としての形が完成されていたからと言うのもある。でもそれ以上に、彼は自分にない危険な雰囲気に心惹かれた。
それから2人は友人となる。そして一年が経過した。
ある日、彼女は彼をキャンプの名目でモスコーヴィエン郊外の針葉樹の森に連れて行った。鳥の囀りと風を音しか聞こえない静かな場所である。そこで彼女は彼に自分の秘密を話した。
「私の名前、シャルージェ・カーラヴィチ・ラスアジィンニコフ。あれ偽名でさ、本当はシャルル・オーギュスト=ラソレイユって言うんだ」
ジョセフは驚いた。それもそのはず、その名前は18年前ラソレイユ革命で処刑されたオーギュスト・ブルボン=ラソレイユの一人娘の名前だったからだ。
「そうか、僕はシャルージェがどんな名前でも友人でいたいと思う。でも一つだけ質問させてくれ、君はサン=ベルナール・ロベスピエールを尊敬していると言っていた。それはなんでなんだ?彼は君の両親を処刑台に送った人間じゃないか」
「私は父の顔も母の顔も憶えてない。だから彼が両親を殺そうとも私には心底どうでも良い。むしろ私は彼の姿勢、世界に対して個人が反抗する姿勢の美しさを評価している。例えそれが地獄を作るものであったとしても、きっと意味があるだろうから。そして何より、私もそうありと考えているからね」
「シャルージェ、つまり君は…」
「私はこのルーシーの地でアジィンニコフお爺様の思想を完成させてみたい。平等な楽園をこのルーシーに創るんだ。協力、してくれるよね、ジョセフ」
ジョセフ・ヴィガーノナブ・ジュガシヴィレキ、後に黒鉄の男と呼ばれる彼は彼女のこの誘いを断ることができなかった。
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自作はロシア革命がモデルの「ジョセフ・ジュガシヴィレキ憂鬱革命」か「スキル【カレーナン】で無双する勇者マースラとその弟P」、それか削除しちゃった過去作を完結まで描くか、あるいは魔法の設定を練りに練った魔法学園モノかそれか新しく思いついた奴を描きます。
では、アデューとは言わないのでサリュー!




