表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
比翼の朔夜  作者: 浅見カフカ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

45/78

EPISODE:44 ナイトルーティーン


あの校舎で見た獣。

妖魔と呼ばれていることを知った。

夜刀は妖魔を使って「明晩仕掛ける」と言った。

「やらないわよ」

私のにべも無い返答に、ブレスレットが鎌首をもたげた。

私は指の腹で鼻先を軽く押し返した。

「だーめ、約束したの」

朔夜様との約束は絶対。

だって嫌われたくないもの。


足の爪のトップコートを塗る。

片膝を折ってクッションの上。

前かがみで腰の辺りが少し痺れるのがチョット気持ちいい。

私は左足の親指から塗る派。


「夜刀が勝手にやればいいじゃない。私は止めな……ううん、やっぱり止める」

妖魔から朔夜様を助けたら、もっと仲良くなれるかもしれない。

そんな考えがよぎった。

でも陳腐ね。

あまりにもバカバカしい。

聡明な朔夜様に通じるわけがない。


——右足。

右足を塗る時って、なんだかセンチメンタルな気持ちになる。

膝を抱えるからかな?


「とにかく、後夜祭の襲撃はナシ。志木くんなんて、いつでも殺せるじゃない」

自分で言ってもっともだと思った。

そう思うと可笑しくて、つい声を出して笑っていた。


保湿シートで良かった。

角質パックだったらシワになっちゃう。

パック中は夜刀とのおしゃべりは控えた方がいい。


——重要なのは【志木くんを殺すのは夜刀】ということ。

だって、私がやってしまったら朔夜様は私を嫌う。

それじゃぁ、志木くんを消しても意味が無い。


テーブルに左手を乗せた。

手の甲にちょこんと頭を乗せてる夜刀が可愛い。

でも爪のケアには少し邪魔かな。


「夜刀は朔夜様が好きなの?それとも志木くんがキライなの?」

私はお社で聞きそびれたことを聞いてみた。

私は朔夜様が好きで、志木くんが邪魔だから消してしまいたい。

だから朔夜様には怪我をさせたくない。

夜刀はどうなのかな?

「ねぇ、夜刀」

夜刀は答えなかった。

蛇はただのブレスレットに戻っていた。

「ずるいなぁ」


私はそう言うとハケを左手に持ち替えて、右手をテーブルに置いた。

右手を塗るのは少し苦手。

細かい作業を要求すると、左手は必ず細かく震える。

そうだ、爪を伸ばしてみたら——

やってみたけど上手くいかなかった。

爪の形が変わってしまうのが良くなかった。


ナイトキャップは要らなくなった。

寝癖や湿度の髪のうねりは、一度髪の毛を攻撃体制にしてからそれを解けばいい。

ストパーが秒で終わる。

これで朝の支度がとても楽になった。


そう、少し面白いことがある。

湯船に長く浸かっていると、ブレスレットの夜刀が緩くなる。

のぼせて伸びているらしい。

そこに冷水を浴びせるとキュッと絞まる。

面白くて繰り返すと、なんか”整って”いた。


夜刀に「外したり出来るの?」と聞いたら「腕を切り落とせばな」と低く脅すように言われた。

「そうじゃなくて、校則違反」と言うと「顕現や退くのは花音の意思だ」と言った。

少し安心した。

持ち物検査で、夜刀は少し派手すぎたから。


さぁ、小指も塗ったしナイトルーティーンは終わり。

シートマスクをゴミ箱に捨てると、私はベッドに潜り込んだ。

「おやすみなさい朔夜様。おやすみ、夜刀」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ