燻り人形
黒い煙が姿を変え、人の姿へと変わる。色々な動物の特徴が、つぎはぎ状に縫い合わされている。乾燥した体は老人のようにシワシワだ。
そんな姿の中でも瞳だけは、宇宙を表すような綺麗な色だった。
「っ上之!全身の肉体を強化するイメージをしろ!」
「俺達が気を引いているうちに逃げろ!」
肉体を強化?力をいれるってことか。やってみよう。
『・・・素晴らしい。新神かつ、鍛錬をしていない神のなり損ないがこの神力量とは。』
ディオと御河が隙を見逃さず、攻撃に入る。
ディオは神力を込め、どういう原理なのか分からないが分裂して同時に攻撃している。さすが隊長、空獏にダメージを与えている。
その空獏に捕まった僕は隙ができるのを待つことしかできないので、神術を観察する。ぜひとも鍛錬したいものだ。
ディオが攻撃してる間に御河さんが水をつくり、ビームのように細くしていた。目に見えないほど細くなった水は、僕の横をスレスレで通り過ぎ空獏の体を貫いた。
「今だ!」
今だと言われても抜け出せない!力強すぎだろ、ゴリラかよっ!
『逃がしはしない。できれば我が直々に実力を測りたかったが ディオニューソスなどという害獣や、脆弱な川野郎を駆除せねば。・・・燻り人形、殺さぬ程度に実力を引き出せ。主からの命であれば殺して構わん。』
『承知いたしました。』
何もいなかったはずの空気から小さな日本人形が出てきた。体のつなぎ目から白煙が漏れ出している。
僕を掴んでいた、つぎはぎの手が緩む。
どうやら、この日本人形と戦わないといけないらしい。今にも壊れそうだが、雑魚ということなのか?だが、空獏はこの燻り人形が勝つことを確信していたし。予想を覆すのも面白そうだな。ようやく楽しめるよ!
空獏が手から煙を出し、空に投げた。その煙は円状に広がり、僕と人形を囲んだ。結界?的なことかな。何を学べるのかな。楽しみだ!
閉ざされる煙の壁から、強引になにかが入ってきた。
「っ家満登さん?!無事だったんですね。」
「敬語なしで。その分隙が生まれなくなるんで。」
「分かった。さて、楽しみますか!」




