天使のラッパ
「この悪気の量・・・っ!何が起きているだ?警備隊からの連絡は?」
「俺は獣神部隊と水神部隊を集めてくる。」
御河さんは指揮をとり、ディオは部隊を集めに猛スピードで消えた。
「上之、お前はまだ戦闘能力も何も持っていない。俺の言いたいことが分かるか?」
御河さんが戦いの準備をしている間に聞いてきた。これは出動禁止ということだろう。
だが非常事態に理性を保てるほど僕は大人ではない。
「もちろん。足を引っ張らずに役に立つ。ってことですよね?」
「違う、これは緊急事態だ。今回は獣神部隊の腕利きでも参加最低レベル、ましては入隊直後の新神が行くなんては論外だ。」
う〜ん。検査機を壊しちゃったくらいだから一般の神より強いかともうけど、この世界において戦闘能力はそんなに必要なのか?
「じゃあ、せめて見学だけでも・・・。」
「田上命、今回は儂からも命令じゃ。検査機を壊したとはいえ、お前は未来の戦力。失うわけにはいかない。」
「検査機を壊したくらい強いなら・・・。」
「却下。今はエネルギー量が多いだけの新神だ。」
僕が言い終わる前に天主様が遮って言った。
「・・・はい。」
僕は皆が忙しく準備しているのを見ていた。いつの間にか獣神部隊と水神部隊の腕利きらしき神達が集まっていた。
遠くで見るのだけは良いと言われているが、家満登を護衛としてって言う条件がある。遠くといっても離れすぎていて、土埃が見えるか見えないかの場所だ。ふと大きな土埃が見えた。
『お前が田上命、我が主の親友にしてライバル。面白い、本当に半分人間だ!』
「っ!?」
体が不意に浮く。
『こいつ、もらうぞ。』
謎の黒い煙から腕が伸びてくる。虎のような爪、猿のような皮膚、さらに古びた鉄のようなものが、無理矢理縫わされたような腕。
その腕を見て、”水を欲しており獣になりたかったが、失敗してしまった”なぜかそんな印象が頭の中に浮かんだ。
「まて!!!何者だ!?」
家満登が問いながら台風を引き起こす。台風の中には風の刃が無数に飛び交っている。見事な神術だ。詠唱をしていなかったし、家満登の主神術かな?
しかし、家満登の抵抗は虚しく、謎の黒い煙は台風を軽々と弾き返した。風の音を無音の中、音がない異様な台風は家満登に直撃した。家満登の安否も確認できない速さで戦場に連れ去られた。
「ッチ!きりがねぇな。なあ、御河!早く本体を探せよ!」
「見つからないっ!さっきの悪気を上手く隠してる。集団に紛れて来るかもしれないことに気をつけろよ!」
神部隊は手こずっていた。
「敵は邪魅級の強さだとみた。だが精神干渉をしてくる分、厄介だぞ!」
「安心しろ、獣神部隊は精神の訓練もしている!それよりそっちは、どうなんだろうな!」
「聞いたか、水神部隊!なめられているぞ!実力をあいつらに見せつけてやれ!」
太い声が戦場に響く。御河の掛け声により、指揮が上がった今、精神干渉などは意味をなさなかった。
「このまま、ラストまで行くぞ!」
『ズズズズズ、ズゴゴゴッ』
掃除機がゴミを吸うような音と共に空気と妖霊が黒い煙の中に吸い込まれていく。
「上之!?何してる!待機命令をだして・・・そんなことより、逃げろ!」
「えっ?なんて言ったー?」
御河の声は上之の鼓膜に響く前に、吸い込まれて消えていた。
「ッチ!しょうがない。ディオ!」
「おう!」
御河とディオは黒い煙の方へ全力で走り出す。
ディオが攻撃し、御河が上之を救出する。だが、その前に動いたのは黒い煙だった。
黒い煙は吸い込んだ妖霊達を圧縮し、吐き出した。数は減っていた。精神干渉も効かない今、この行動は無意味だと誰もが思っていた。御河とディオは構わず突っ込む。
「「っ!?」」
2人は吐き出された妖霊達に吹き飛ばされた。黒い煙が姿を変えていく・・・。
『我は空獏・・・。偉大なるお方のしもべである。』




