謎の男の正体。
誰だこいつ?
「御河か?いやお前はないか!見たことのないやつは・・・その少女か。まずは挨拶の1撃を!」
目の前の男が消える。背後で衝撃音がなる。
恐る恐る振り返ると、御河さんが無言で男のパンチを受け止めていた。
「お、御河。久しぶりに手合わせでもしたいのか?」
「こいつは、まだ新入りだ。隊長、獣神の中では最強の男と戦えるほどには強くない。」
「じゃあ俺とお前、どちらが強いか決着をつけよう!」
目に追えないほどの戦いの中、声だけが聞こえる。
それにしてもあの速さとパワー、僕も早くあの力を手に入れたい。少女の口角があがる。
2人の戦いによりどんどん壊れていく部屋をよそに、行動を目で捉えようと集中する。
「やめ!!!」
戦いの音より大きな声が響き渡り、2人は時間が止まったかのように動かなくなる。
声の主は天主様だ。2人は戦いをやめ天主様の前に座った。
それから2人は長々と説教されていた。御河さんは悪くないと思ったのだが、戦いを続けたことについて怒られていた。
いきなり現れた男は獣神の中で最強の男。獣神部隊隊長 ディオニューソスこと、ディオ。彼は海外にいたが、部下の報告をきき駆けつけたと話していた。誰にでも戦いを挑む戦闘狂らしい。それにしてもあの力はすごい。獣神の中で最強ってことは、さらに上の存在がいるのか!面白い。
となると今すぐ自分の能力を知りたいのだが、検査機は2人の戦いで壊れ、使えなくなっていた。
僕はどうするのかと問うと
「所属部隊は適正のあるうち、好きなのを選んでいいよ。」
と、丸投げされてしまった。
どれか選べ、か。
・・・。
「どれかなんてもったいないですよね?全部の鍛錬をこなします!」
「「え?」」
「ガーハッハッハ!こいつ面白いぞ」
天主様と御河さんはきょとんとし、ディオには気に入られたみたいだ。他の神々はというと「無謀だ。できるはずがない。」などと話しているが、やってみせる。
「それじゃあ早速、見て回りますか。案内お願いします。」
門番だった女神、倭迹迹日百襲姫命こと家満登さんに案内を頼み、外に出た。
『ッキィィィィィィィィィィ!』
甲高い音が神界を震わせた。まるで数万人の悲鳴を凝縮したかのような不快なサイレン。
地上から噴き上がる、この「悪気」――。
悪意、憎悪、恐怖。負の感情が混じり合うそれは、悪霊や妖怪、妖霊の源だという。
普段は感じることのできないはずの悪気が、肌を刺すほどに濃い。
他の神々が耳を塞ぎ、顔を歪めるほどの不気味な警報。だが、今の僕にとっては違った。
強者との邂逅を祝し、戦いの始まりを告げる――”天使のラッパ”にしか聞こえないんだ。
「あはっ!最高。理性が、好奇心に負けそうだよ」




