ゆいは上之へ、検査の結果___
神界
「それで御河さん、その総神管理部隊隊長はどこにいるの?」
御河さんは無言で手を挙げ、上を指さした。それにつられて僕も上を見る。御河さんが指さす先には雲。
「分かったか?総神管理部隊の拠点は雲の上だ。」
雲の上って行けないじゃん。御河さんがいう飛行神術も使えないんだし、どうすんだよ、これ。
「まあ落ちつけ。雲の上にはこいつで行く。」
混乱中の僕をよそに、御河さんは手をひろげ腕を横に伸ばした。その先には水の玉ができていた。その水の玉はだんだん大きくなっていき、何かの形をつくる。
「これって・・・」
「こいつで空を飛んでいく。」
この姿、ドラゴン・・・・・。というか、水でできてるんだから落ちるよね?
「いや、水のドラゴンに乗れるわけないじゃん。」
面白そうだけど、落ちたらどーすんだよ。
「まあ、とりあえず乗りな。」
少しビビる僕を強引に乗せ飛び始めた。
「御河さんこのドラゴン何?」
「これは俺の主神術、水分操作。簡単に水をつくったり、操ったりできる能力。主神術っていうのは1柱1つ生まれた時からもっている神術で、取得済神術・・・鍛錬して身につけた神術と違って消費神力が少なくて済む。主神術は適性と似た感じが多い、俺なら水適性で、水分操作って感じ。」
「なるほど。」
「お、もうすぐつくぞ。」
フワッ──────
目を開けると雲の上に雲でできた神社があった。
御河さんの神社でも大きいと思ったけど、この神社はひと目で端まで見渡すことができない。
「ここが総神管理部隊の拠点だ。隊長もここにいるだろうな。」
「待て。」
本殿の前に着いた時、門番の神がどこからかやって来て僕らを呼び止めた。
「水神部隊 御河隊長でしたか。お疲れ様です。」
足を揃え、背筋を伸ばし敬礼をする門番の神。
顔はよく見えないが白髪の女神かな?御河さんと同じ服だから、隊服だよな?バッチは所属している部隊を示してるのかな?
「御河隊長、その人間は基地に何か用があるのですか?」
「田上は新人だから、鑑定してもらいたいんだ。それでどこかの部隊に入れてもらおうと思って来たんだ。」
「承知しました。ご案内します。」
本殿の中
「ここでお待ちください。」
「お待たせしました。」
先程の門番の神がドアを開けた。
「待たせたのう。」
「いえいえ、わざわざ来て下さり感謝いたします。天主様。」
御河さんが立ち上がり、深々と頭を下げる。僕も慌てて頭を下げる。目の前には金のラインが入った隊服を着た白髭のニコニコしたおじいちゃんがいた。
「久しいな天水分命、元気じゃったか?」
「はい。つつがなく任務を遂行しています。」
「話に移りますが、今回こちらに訪れた理由はこちらの元人間の所属部隊に関してです。こちらの元人間の田上ゆいは獣神、龍神、草神の3つの適性を示しておりどれも平均より強い光です。」
「なるほど、色々聞きたいことがあるのじゃがそれは報告書にまとめるように。」
「はい。」
「してそなたが田上ゆい、それじゃあ田上命じゃな。天水分命は田上と呼んでいるみたいだが・・・田上命、あだ名として上之なんてどうじゃ?」
「良いですね〜!改めてこれからよろしくな、上之。」
「は、はい。」
御河さんに新しい名前で呼ばれた瞬間、喉に突っかかっていた何かが消えた。
クソみたいな親と縁が切れた安堵感。そして人間だった自分が切り離されたような奇妙な感覚だ。
____ああ、これで僕は人間をやめたんだ。
《田上命、懐かしいな。死んだが異例の生まれ変わりを成すなんて。だが、力が足りないのか半分人間のままだぞ。まあそれも面白いか。》
誰もたどり着けないその空間では、空間の主が一人で笑っていた。誰かに見られていることは誰も知らなかった。
「・・・ん?」
誰かに見られているような感覚。・・・ああ、天主様か。
「とりあえず、これに触れてみよ。」
巨大な鏡を触れた瞬間、ものすごい光りに包まれた。光りに包まれると同時に衝撃波が発生した。鏡にはヒビが入り、警報音が鳴った。
「なんだ、あいつ。まさか測定範囲内ギリギリなのか・・・・?」
壊れた壁から他の神の騒ぎ超えが聞こえる。鏡に映るはずの情報はひびで読み取れない。
周りが対応に追われていると壁が破壊された。
「よう!一体誰だ?検査機を壊したやつは。」




