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終章

 掌いっぱいのこの幸せを一所懸命守る方法、それはきっとありがとうを伝えるための笑顔を忘れないこと。


 楽しいを分かち合って、揺らぐ気持ちも分け合って、陽の光をたくさん浴びながら、巡る幾つのも季節をこれからも共にしていけたら、こんなに幸せなことはきっとない。


 カラフェの中に溢れる新鮮な空気と数々の素敵な言葉に触れて、彩りどりに移り変わっていく景色と想いが花咲く。


 澄み渡る空気を一緒に吸い込んでそれぞれの息を吐き出す度に、色付いた花弁がひとひらひとひら開いていく。


 隣で微笑むその横顔は温かさに満ちて背中を押してくれるから、一歩一歩自分の道を歩み進めていける。


 それぞれの持つ馨りはそれぞれに変わっていく。新しいに出逢う度に、新しい心地を「あのね」とみんなに耳打ちして、耳打ちされた嬉しいに頰をほころばせては自分のことのように嬉しくなる。


 誰かがもたらした些細なきっかけ、些細なことで気付けた小さなきっかけで芽吹いた新しい、それを見つけることはいつだってわくわくと胸を躍らせてくれる。


 カラフェの中でぷかぷか泳いでぷかぷか浮かぶ自分たちはまだ青色で、何度も何度も新鮮な空気に触れて鮮明にくっきりとした晴れやかな自分だけの馨りと色を覚えては、また新しい春が訪れる。

 幾重にも変わっていく時間と想いが交差しあって成長していく。


 一歩進んで見つけた新しい楽しいが嬉しくて顔を合わせて笑い、次の新しいを知るための深呼吸をしてからまた次の一歩を踏み出す。


 差し伸べられた手を取ったら胸がすうっと落ち着いて、差し伸べた手を握った誰かが笑顔になった。


 大切に大切に守って行きたいこの掌の上の全てを必死に必死に抱きしめて、一緒に喜びに変えていけますようにと願いを込めて明日も笑い合う。


 同じ空気を吸い込んで、それぞれの息を吐き出して、共に過ごした時の数だけ新しい楽しいと嬉しいが生まれて続ける。


 いつかグラスを傾けて、いつかを懐かしみ、これからのいつかに想いを馳せる。


 いつか来るその日をまだ誰も知らない。


 ずっと一緒に歩いて行きたくて、ずっと一緒に笑顔を分かち合っていきたい。


 今はきっとそんな想いだけで充分。


 変わりゆくこの青い季節が過ぎ去っても、変わらず注がれる心地好い陽の光を信じて次の一歩を踏み出していければ、いつだっていつまでだって新しい何かが始まる。


 いつの日か、鼻を掠める芳しい馨りと鮮やかに色付いた想いが注がれたグラスを片手に、肩を並べて語らおう。続いていく未来の途中、立ち止まり振り返りその先へまた想いを馳せよう。


 いつまでもいつまでもこうして居たいねと願いながら。

 

  






おわり


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