第八章(4)
ホームルーム前、机越しに四人でいつものようにたわいない話をしていた。昼休みの満たされた時間のまま、秘密を分かち合った喜びも滲ませながら、みんなしてやたらと声が弾む。
「ねえねえ。わたしたち、いつまでもこんな風にみんなで居られたらいいね!」
唐突に勢いよくなずながそんなことを言った。突然過ぎて、香夜子も亜樹也も寛太も呆気にとられた。けれども嬉しそうにこれからを馳せたなずなの気持と自分たちの気持は一緒。
「なずなさあ、当たり前のこと言うなよ」
一緒にいるのはもう当たり前、寛太が当然のように言ったら、亜樹也は思わず笑いだし、釣られた香夜子も笑ってしまった。
なずならしい真っ直ぐな言葉。
目を輝かせて言ったなずなは、みんなの反応に頰を膨らませた。まるでなずならしいなと思うと寛太も笑いだした。
「言いたかったんだもん! いいじゃない!」
「わざわざ言う必要ないと思うけど」
笑いながらそう言った亜樹也はとても愉快な気分だった。やっぱりみんなと居るのはとても楽しい。こんな風に気持ちを伝え合えるってなんて素敵なことだろう。
「なっちゃん、一緒だよ。いつまでもきっと一緒」
笑い声を収めた香夜子が朗らかな笑顔で伝えると、拗ねていたなずなが破顔した。
「キノちゃん、大好き!」
香夜子限定のように言ったなずなに、思わず亜樹也と寛太は「ひどい!」と文句を言った。
「当たり前のこと言うの変って言ったの二人じゃない」
結局またなずなが拗ねた。
それから一頻りみんなで笑った後、香夜子は自分へ戻って来ていた消しゴムを亜樹也に渡した。
「もう返さなくていいのに」
やっぱり亜樹也の消しゴムだったのか、香夜子にしてはユニーク過ぎだった。
「もうね、要らないの」
さっぱりとはつらつな表情で香夜子は続けた。
「大切なお守り、たくさん見つけたもの!」
やっぱり香夜子はわかりやすい。察した三人、共に嬉しくて嬉しくて堪らないという表情を浮かべた。
毎日が嬉しくて嬉しくて堪らないのはみんな一緒。
ひと時ひと時に心が躍る。
次々とやってくる新しい楽しいが、くっきりと鮮明に時間を刻んでいく。




