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その40

その40

無事毛皮は入手できた。

ダークベア3匹と、フォレストウルフ3匹プラス追加のフォレストウルフ4匹分の皮を渡して、鞣した毛皮ダークベア2匹、フォレストウルフ2匹のなめし皮が返ってきた。

村のはずれに皮なめしの作業場が出来ていて、乾燥中の皮が、雨除けの屋根の下で、板にくぎ付けで止められて何枚も並べられていた。

その横には、どでかい樽がいくつも並んでいて、くすんだ液体が満たされている。多分これが鞣し液だと思う。

仕事は大繁盛のようで、3人ほどの男がわき目も降らずに皮に取り付いている。

「ごめんください。皮の鞣しをお願いします。」

声を掛けてやっとこちらに気づいてもらえた。

「おう、なんだ、子供みたいなちっこい冒険者が来たな。で、何の皮を持ってきた?」

やたらにガタイが良くて背が低くて親方っぽいのが出てきた。俺たちの事をちっこい子供とか言うが、自分のほうが背が低い。

ひょっとしてドワーフか? ドワーフっているのか? ちょっと聞くのがためらわれるけど。

と言うか、俺たちの事よりあんたの方がチビだろ。

しかし、ドワーフと言えば採掘と鍛冶が相場だと思ったが、皮の鞣しと言うのは・・・どうなんだろう、やはりドワーフではないのかもしれない。などと余分な事を考えてしまう。

「ダークベアとフォレストウルフを持ってきました。ええと、依頼はどんなふうにすればいいのでしょう?」

冒険者って本当はもっと言葉がぞんざいなはずだが、でも、俺たちまだ見かけは子供レベルだし、相手がそれ相応の年だと、つい言葉が丁寧になってしまう。身長は俺より低いけど。

「ん、2匹分の生皮で、なめし皮一枚と交換な。こんな田舎何では物々交換の方が勝手が良いんだ。で、何枚いる?」

「ダークベアの皮を2枚欲しいんですが、生皮が3枚しかない。あとはフォレストウルフで何とかしてください。」

「おや、めんこい嬢ちゃんもおるのう。おうおう、一丁前の恰好してるやんけ。」

アズミが山のように生皮を抱えたカズの後ろからちょこっと顔を出すと、まあ、そういう反応になる。

でも、話はちゃんと元に戻してもらわないと。

「ん、それじゃ、ダークベア3枚と、フォレストウルフ3枚置いて行け。それと、皮の鞣しにはふつう3週間かかるんだが、それじゃ間に合わんだろう。

出来てるのが1枚あるから、とりあえずはそれを半分こにして使っておけ。残りは大急ぎ、2週間で仕上げておく。」

確かに、2週間は大急ぎである。生皮なので水で戻す必要はないが、こびりついた肉片や脂身をそぎ落とし、中性洗剤で・・・あっ、この世界では中性洗剤は無かった。何を使うか知らんが皮の油抜きもして、さらに鞣し液に漬けるだけでも一週間ぐらい必要で、それを何日もかけて乾燥して、さらに適度に脂分を含ませて軟らかくする。本当に2週間なら超特急である。

どうもアズミの顔を見て、このおやじの対応がよくなった気がするが、気のせいかな?

「親父さん、ひょっとしてロリコンか? 鼻の下が伸びてるぞ。」

俺の口調はからかいモードだが、本心は結構本気だったりする。いい年のおやじにアズミをいやらしい目で見られるのはたまらない。しっかり釘は刺しておかなければなるまい。

ま、いい歳のおやじと言うのは俺も同じで、やらしい目と言うのも身に覚えが有るので・・・

”いや、俺と同じ目付でジジイがアズミを見るのは許さん!!! 本当は俺も爺だけど!!”

と、まあこう言う事である。

「いや、変な意味ではないぞ! メンコイおなごがいたら、膝の上にだっこして、頭なんぞいい子いい子したくなるのは普通だろ。」

それ、ふつうか? 微妙に変態気味に偏っている気がするが、ちょっとおかしく無いか? おかしいよな? うん、やっぱりおかしい。

ところがである、アズミの奴、

「へ~、親方、私の事可愛いと思ってるなら、毛皮の事も、もうちょっと何とかしてよ。」

あ~、何と言うか、頂き少女みたいに女を武器にしたと言うか、それってえげつなくないか? アズミってそんな性格だったけ? 頭の上に疑問符を浮かべて考え込んでいると、

「仕方がないなあ、でも無いものは無いんだ。特別お嬢ちゃんにはフォレストウルフの毛皮を貸してやるから、ダークベアの毛皮が仕上がるまでそれで我慢しとけ。」

「え~、それじゃカズの分が無いけどォ。」

「アズミ、それだけにしとけ。おやじさん、フォレストウルフの毛皮なら有るんなら、

そいつも2枚くれ。生皮4枚は後で持ってくる。」

考えてみれば、何も毛皮はダークベアでなければならない訳ではない。フォレストウルフでも1枚丸ごと使えば上からかけて寝る分には十分である。

と、言う訳で毛皮の方は丸く収まったわけであるが、

「話は変わるけど、毛皮の鞣しってどうやるの?」

「へえ~、お嬢ちゃん、そんな事に興味あるのか? そりゃ~企業秘密ってやつだからあんまり言いたくないんだがなあ。」

「そんな大したことでもないくせに、随分ともったいぶるのね。」

「まっ、いいわ、要するに、こびりついた肉とか油とか、汚れを落としてから毛皮を秘伝のたれに付け込んで、ちじまないように引っ張りながら乾かして、これまた秘伝の油を塗りながら軟らかさが出るように揉みほぐしていくんだ。まっ、そんな所だ。」

「で、その秘伝のたれって言うのにおじさんがドワーフって言うのが関係するわけ?」

ぶっ、それ拙いだろ! 親方が本当にドーワフなら、ドワーフは自分の種族に誇りを持っている事に成っているので問題はない、多分、ラノベ的にはだいたいそう言う事に成っている。

しかし、まかり間違って人間族にドワーフなんて言ってしまったら、下手すれば血の雨が降る。

一体アズミの奴、この世界の事をどこまで知っていて、何を考えて行動しているのだろう。

「は~、変なお嬢ちゃんに引っかかってしまったなあ~。」

「秘伝のたれとか言っちゃってるけど、むかし、爺様から毛皮を鞣すのはミョウバンと聞いた事が有るわ。・・・・・ミョウバン石やミョウバンの結晶を採取するのはドワーフとか適任かな~、とか。」

「おい、おい、お願いだからそうペラペラ企業秘密をばらすのはやめてくれ! 顔だけは可愛いのに、空恐ろしいガキだな。」

「レディーに向かってガキはないでしょ、ガキは・・・まあ、言いふらしたりしないから安心して。」

と、言うような事が有りましたが、毛皮の方は無事手に入れる事が出来ました。

なぜか最近アズミは周りの人との付き合いが、きわどい様な気がするのだが、何を考えているのだろう。

                       *


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