その12
その12
「おう、ちょっと確認事項。」
ダンが話に入ってきた。
「カズとアズミ、二人とも剣士で良いんだよな。だいたいこの前の試合で腕の方は解っているが、カズはこの前、対オーガ用の技とか言っていたが、オーガと戦えるとみていいか?」
「はい、一対一なら大丈夫です。オーガは礼儀正しいので、足で刀を蹴っ飛ばしたりしないから、いけます。」
「バーカ、どうぞ足を切ってください見たいな、インチキ技に引っ掛かる方がおかしいんだよ。変な所で根に持つな。」
「すんません、そうか、足を狙えばよかったのか・・・。」
「ところで、アズミの方は‥‥技の方は問題ないが、剣が短いし、体力はなさそうだし、決定力がなさそうなんで、オーガクラスだと足止め要員とみていいか?」
「はい、今、魔力で身体を強化するのを練習してますが、間に合わないので、足止め要員で。」
「ところで、もう一つ聞きたいのだが、いや、無理にとは言わんが、よかったら教えてくれ。一応同じグループで戦う事になるので、どんな技を使うか知っておきたい。二人ともそろいのバングルしているが、それ、古代遺物とかじゃないのか?」
「はい、死んだ俺の親爺がアマチュアで古代遺跡の探求をやっていまして、親父の遺品です。ただ、これは最後の隠し玉なんで、命の危ない時でもないとつかわないので、勘定に入れんといてください。」
「おうそうか、なら仕方ないな。まあ、話は以上だ。」
「おーい、そろそろ交代で寝るぞ。」
ダンがメンバーに声をかける。
”蒼天の銀翼”は5人パーティーなので、いつもだと1時間半交代で一人見張りに立つそうだが、今回はあてにならない初心者が二人もいるので、最初の見張りは初心者二人プラス監督ダンの三人、そのあとは一人づつ見張りに立つことになった。
一応荷物持ちと言う事になっていたはずだが、荷物のほとんどはビートの収納だし、見張りの方も初心者にいきなり全部任せはできないので、俺とアズミは盛大にお荷物にしかなっていない。
「すいません、俺たち、全然役に立てなくて…。」
どうしても見張りに立って、開口一番の挨拶はこうなってしまう。
「いや、お前たちはまだマシな方だ。この前は面白い技を見せてもらったしな。」
「面白い技と言っても、こちらも身体強化を教えてもらいましたし。」
「あは、強化なんてある程度の奴ならだれでも知ってるから気にするな。ところで、隠しているのにしつこく聞いて申し訳ないんだが、お前たちが持ってる古代遺物の事だ。
もちろんなるべく勘定に入れないつもりだが、もしもの時は使ってもいいつもりが有るのか?」
「それは・・・、命あっての物種ですから、もしもの時は使うつもりですけど…。」
「いや、実は最近ギルドで魔石を集めているのは知っていると思うが、もともとカナの近くでは大物の魔獣が少ない。おまけに乱獲が祟ってしまって、遠出しないと数が取れなくなってしまった。
で、次の狩りでは少し遠出でするつもりなんだが、途中ワイバーンが出るかもしれないところがあってな。
弓や盾を持っている者もいるが、うちのメンバーは解散したチームの寄せ集めなもんで、もともとは全員剣士でな、無理やり弓を持たせているが、うちの弓役ではワイバーンは倒せない。弓で牽制しながら逃げる事になる。
だからもしもの時は魔道具で自分で自分の身を守りながら逃げてもらえると有難い。できるか?」
「ん、アズミどうする?」
「別にいいんじゃないの。まるっきり隠しておくつもりじゃないし、あまり目立ってどうのこうのなるのが嫌なだけだし。」
「俺たち今まで山の中で暮らしてきたもので、実際の魔法とか知らないんですよ。古代遺物で魔法とか使っちゃって下手に目立ってしまうと、こいつを狙われると困るかな~、なんて感じで、少し様子を見ようかと思っていたんです。」
「”蒼天の銀翼”なら、問題ないんじゃないの? どうせ少しづつ様子見ながら使うつもりだし。」
「ところで、魔法について教えてもらえませんか? 山の中にいたせいか、この前魔法に属性とかあると聞いて、何の事じゃとか思ってしまったりするぐらい何にも知らないもので。」
「何だ、属性も知らないのか。
ま、おおざっぱに言って、魔法には4種類あって、属性魔法、別の名を加護魔法と言う。生まれながらに火、水、土、風、光、闇、をつかさどる神の加護を得た者が発動する魔法だ。通常魔術師と呼ばれるのはこの魔法を使う奴の事を言う。
反対に加護なしで使えるのは無属性魔法、別の名は生活魔法と言う。加護を持たないと強力な魔術は使えないので、生活に便利な程度の魔法というぐらいの認識だ。
でも、直接攻撃ではないが、身体強化なんかはこの魔法で、色々捨てたもんじゃない。
そして三つめが魔方陣による魔法、別名は聖約魔法、神の加護を祈願し、人を害する意思を持たない魔法であることを誓約した者が、どのような魔法を使うか魔方陣で示して、一時的に対応する神の加護を受けて発動する魔法だ。
とは言っても使うのが、魔方陣を書いた人とは限らなかったりして、それなりに抜け道はあるようだ。
最後が、古代遺物による魔法で、古代の魔道具に仕込まれた魔方陣に魔力や魔石の力をを流すことによって発動する。
こいつは、今までの魔法とは全然違う方式で動くので、その原理は解っていない。
まあ、そんな所だ。」
「じゃあ、俺たちの様に属性を持たなくても魔方陣魔法は使えるようになるんですか? 」
「詳しい事は知らん、神との聖約とかは協会とか魔法学校の分野だし、一応は可能らしい。その辺はその道の専門家にでも聞いてくれ。
それより、無属性魔法も意外と使えるぞ。今見張りをしているが、焚火の火ではちょっと離れた所は見えないだろ。こういう時、魔力を薄く広げて漂わせて、周りの魔力を感知する。それは属性が必要ない。むしろ、それが出来ないと満足な見張りにならん。
まず、それが出来るようになってくれ。」
ほう、ワイルドウルフ討伐用に作った”レーダー”魔法は魔力探知で代用できるかも、まあ、逆に”レーダー”を使っても怪しまれることはなさそう。それと生活魔法で水が出せるなら、水筒はいらないのか?
知りたいことは山ほどあるので、顰蹙を買うのは覚悟で色々聞いていたら、見張り時間はあっという間に過ぎてしまいました。
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