表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/61

その2

「和雄様、お早うございます。訓練のお時間です。」

レディーの声でいきなり起こされて、顔を上げてみれば、腰まである長いペパーミントグリーンの髪をツインテールにしたメイド服の少女が立っていた。これが”レディーあづみ3世”のアバターであるらしい。美少女である。美少女ではあるが、どこぞのボーカロイドに似ているような・・・これって、俺より重症の厨二病なんじゃね?と言いたくなるが、スパコンのAIが厨二病になるんかい。と突っ込みたくもなる。ま、どう評価すべきか思い悩む展開である。

朝食の前にも体力づくり、腹筋60回。昨日よりも10回も多い、がんばった。朝食を終え一休みすると外に出る。アルプスのように急峻な高山の山腹に掘りぬかれた研究室を出ると30メートルほど下は平地、その先に小さな湖がある。その先にはまた急峻な山容が見えるので、この平地は谷間が埋まってできた盆地であるらしい。まるで妖精の楽園のようにのどかに見える景色だが、ここは魔物のはびこる魔の森である。だが恐ろしいのは魔物だけではない。

「トルネードブラスト!」

見た目だけ美少女のレディーが魔法を使って、多量の小石を巻き込んだ竜巻をおこし、湖畔の森の一角を更地に変えてしまった。巻き添えを食った小型の魔物があちこちに転がっているが、程度の良さそうなのを拾って晩飯用にキープする。あとはぼろぼろに砕けた木のクズの山を、風魔法を使って森の中に吹き飛ばしていく。ほとんどミンチになった魔物も一緒に吹き飛ばされていく。かわいい顔をしているのに、やることがちょっとえげつない。まあ、風だけでは地面の凸凹までは削れないし、倒した木を細かくまではできないので仕方ないのかもしれないが、とんだぶっ壊し屋さんである。で、俺はと言うと、足腰の鍛錬と称して石造りのローラーをゴロゴロ引いて地面ならしをさせられている。ここが野外の訓練場になる予定である。なる予定なのであるが、いつ出来るかはまだ未定である。疲れるので休み休みである。休みの時間は瞑想の時間である。ゆっくりとした腹式呼吸で気を体全体にいきわたらせる。気と言うものが本当にあるのかどうかは私は知らない、有るかどうかよりも有るようなつもりで体全体に意識をいきわたらせることが重要らしい。もうひとつ、魔法を使うのに重要なので、イメージを鮮明にするの練習をする。森の中でやたらと火を使うわけにはいかないので、とりあえず水魔法である。ウォーターカッターと言う魔法があるらしい。レディーの使い魔のカラスが集めた情報なので詳しいことは分からないが、高圧の水流で物体をナイフのように切るのだとか。水流だけで物体を切断できるとはにわかには信じがたいが、地球では高圧の水流にガーネットの砂とかを混ぜたすごい切れ味のカッターが有ったので、それをまねるべくとにかく高圧の水が出せるように頑張る。頑張るが、いくら力みかえっても上手くいくものでもない。なかなか出ない。うまくいった時でもシャーっと1mぐらい水が飛び出してすぐに終わってしまった。

「は~、うまくいかない…。」

「とりあえず、魔力を動かす練習をしてください。」

「イメージ作りの方は最初はVRゴーグルを使って、映像を見ながら練習するとして、映像のイメージに合わせて魔力を流すことができれば、魔法は発動するはずです。」

レディーいわく、私はまだ魔力そのものを感じ取れていないと言う事で、瞑想を練習する。へそ下の丹田に意識を集中させ、その力を活性化する。活性化した力を腹から胸、胸から頭と体中に張り巡らし、一度張り巡らした力を逆に一点に例えば眉間に集中させる。集中させた力を今度は鼻、首、右手と移動し、さらに左手ときて丹田に戻す。やることは分かるのだが、いまいち感覚の方が付いていかない。いくらかできているような気もするが、なんとも心もとない感じで迷いが生じるとドツボにはまって何が何だか分からなくなる。ドツボにはまったままグジャグジャやっても仕方ないので体力づくりに切り替えてローラーをゴロゴロする。やはりいじめられっ子気質から抜け出せない和雄であった。

異世界転生の本格的活動の第一日目はこんなおさき暗めの感じで終了した。これがあと30年続くのだろうか?


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ