2章
カクヨムで続きを書いていたのですが、もうすぐ2章が書き終わりそうなので、なろうでも続きを上げてみました。
2章
その1
山を下りる日が近づいてくると、色々やらなくてはならないことが出てくる。
まず身の上である。見た目15歳程度の子供?が親の庇護なく人間社会に入っていくにはそれなりの身の上話を造らなくてはならない。
それから、人里で何を仕事とするか、あらかじめ考えておく必要がある。なるべく簡単に就職できて、かつ自由が利く仕事がいい。
忘れてならないのが目標である。人間社会に入って何をするかであるが、これが難しい。・・・・とりあえず、死にたくない。
それと魔法の扱いについても考えておかなければならない。
とうぜん人里に着くまでの持ち物も考えなければならないし、思った以上に面倒な事になりつつある。
「和雄様、私たちの名前も変える必要が有ります。この世界は地球の西洋の中世とほぼ同じような形態ですので、私の”レディー”の愛称は貴族専用なので、人里では使えません。
それと、私たちは貴族ではないので、家名を持つことは不自然で、”山田”も使用できません。」
「そうすると、”レディー”は”アズミ”、おれは”カズオ”と言う事になるかな?」
「“カズオ”と言う名前はこの辺の人里では聞きなれないので、”オ”を取って、”カズ”様と言う事で、それから私たちは平民 同志と言う事になりますので、人里では上下関係は持てません。同格と言う事になります。ご承知おきください。」
「それはそれで結構だが、われわれの身の上についてはどうする?」
「世間のことを何も知らないので、山の中で孤立して生活していたとするしかありません。保護者が死んだので山を下りてきた。それなら筋が通ります。ただし、外見が違いすぎるので、兄妹は不自然かと。」
「いとこ同士でもちょっとつらいか? いっそ俺の両親は死んだことにして、親しかった知り合いに引き取られた…レディーも片親で父親は旅に出かけて、祖父に預けられて一緒に住んでいた、そんな所か。」
「それでしたら、死んだ和雄様の父上はアマチュアの古代遺跡の研究者兼冒険者みたいな立ち位置になってもらいましょう。
遺跡からまれに発見される古代遺物と呼ばれる魔道具は、独特な魔法を発動するそうで、古代遺物を遺産として引き継いでいると言えば、かりにおかしな魔法を使っても、ある程度言い訳になるかもしれません。」
「ところで、その魔法はどうする?」
「とりあえず人前では使わない、と言う事で。状況を確認しつつ徐々に解禁しましょう。」
「で、いざと言う時も含めて、どんな魔法が必要になるか考えなければならないな。」
「”ロックオン”とワイルドウルフの位置を把握するために使った”レーダー”は第三者が見ても何をやっているかわからないので問題はないでしょうね。アリジゴク魔法の”サンド”、攻撃魔法で、今一番使っている”バレット”、あと”バレット”の氷弾をいっぺんに多数打ち出す”ショットガン”あたりは状況を見ながら解禁していきたいと思います。
あと悩ましいのは炎系の魔法で、巷で使われているファイアーボールは炎の塊が飛んで行って、対象にぶつかると爆発する仕様になっていますが、これを再現するのはなかなか難しいです。
火の玉を再現しようとして、ぱっと思いつくのは油をしみ込ませたボロクズをボール状に丸めて、火をつけて飛ばす事ですが、ハイスピードで飛ばすと気化した油が火が付く前に流されてしまって、火が消えてしまいます。
消えないようにするには個体のまま燃えるような、炭、まあ、タドンあたりならば、一応ですが、炎は上げないので、見た目はかなり変わってしまいます。それに当然爆発はしないです。
で、爆発させようとすると、一番に思いつくのはTNTとかC4とか呼ばれるプラスチック爆弾ですが、これは火をつけても燃えるだけで爆発しません。爆発させるには衝撃を与えることが必要なりますが、ファイアーボール1発打つごとに魔法で信管や雷管まで作るのは複雑になりすぎます。
やるとすればデカい癇癪玉でしょうか、C4で中空のボールを造って、なかに爆薬を塗り付けたパチンコ玉を4~5個いれておく、これを飛ばすと、対象にぶつかった衝撃で金属玉同士がぶつかり合い、塗りつけられた爆薬が1次爆発を起こし、周りのC4を誘爆させます。」
「まあ、そんなところで良いんじゃないかな。だいたい火魔法は火事になりやすいので使いかってが良くないから。いざと言う時のための保険と言う事で。取りあえず使う火魔法は薪に火をつけるぐらいだろ。」
「絶対必要なのに絶対ばれたくないのが空間魔法です。
この世界でも空間魔法はあると思われますが、使っているところを見たことが有りません。
しかし、私の本体はこのアジトにあるのに、何かあった時に戻るのにひと月もかかったのでは話になりません。
和雄様にしても、大怪我でもしたらここに戻らないと直せません。」
「空間魔法と言えば、収納魔法も魅力だしな。もし有るものならば、正当な方法で手に入れたことにして、何とか大っぴらに使えるようにしたいな。
あと、大型の魔物には”バレット”だけでは威力不足だ。やたらに強力な魔法に頼るより、空間魔法で2~30メートル上空に転移させて落っことせば、周辺に対する影響も少ないし、簡単に片付くんじゃないか?」
「それも含めて、今使っているタブレットはプロトタイプで力不足なのでコンピューターをもう少し高性能なものに変更します。」
「できたら見かけをタブレットではなく魔導書のような本にしてほしいが、できるか? それとレディーにも魔道具、本物は必要ないがダミーのそれっぽい奴がいるだろう。」
と、まあ、こんな雑用が延々と続いて、やっと出発の日を迎える事が出来る訳です。
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