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深窓の令嬢に、令状を。  作者: いちご少々
1 深窓の令嬢の真相
3/4

3LDKのお姫様3

 こうして、パパの善行?で魔法の国にいることが出来なくなったエクレアは、普通の学校に通うことになった。もちろん、人語を操るウサギなんて連れて行くわけにはいかないので、シルキィはいつもお留守番。

 

 (ずっと主人を守らなければならない使い魔なのに変よね!)


 と、誰にも聞かれても無いのに一人で思い出し笑いをしていると。


 「エクレア!おはよっ!」


 元気よく声をかけてくれたのは、マリィ、跳ね返った赤毛が特徴的な女の子だ。

 

 「あ、かわいいリボン!」

 「でしょでしょ?昨日買ってきたの!」

 

 エクレアが黄色いリボンに気が付くと、マリィは鼻息を荒くして自慢げに答えた。


 学校までの間、二人はおしゃべりをした。少し無駄づかいをしすぎてお小遣いを減らされそうだとか、ママが選んだ長靴の柄が気に入らなかったとか、会話を弾ませる。


 次第に話は、()()()()の王子様の話へ移って行って。


「ねぇねぇ、将来、王子様と結婚出来たらいいと思わない?」

「え、ええと、そうだね。」

 

 エクレアは言葉を濁す。


 (だって、万が一、選ばれたことが分かったら、なんか恥ずかしいじゃない?)

 

 そんなエクレアの気持ちを知ってか知らずか、マリィは目を輝かせた。


「ね、知ってる?噂によるとね。魔法の国の王妃様って、庶民でも選ばれることもあるんだって!」



 それは、魔法の国の物語。


 王子が12歳になると、家来たちは王国に相応しい妃を探しにいくのです。こうして12人の候補が宮殿に集められて、それぞれに指輪が渡されます。


 ガーネット、アメシスト、アクアマリン、ダイヤモンド、エメラルド、パール、ルビー、ペリドット、サファイヤ、オパール、トパーズ、ターコイズ。


 12個の魔法の指輪は婚約の証。そして3年後、つまり王子の15歳の誕生日に、最終的に選ばれた一人と結婚することになるのですが。



 さて、エクレアが渡された指輪は魔法真珠。


 (先代の真珠姫は、綺麗な人だったなぁ)


 大人っぽくて、それでいて無邪気で。純粋、という言葉は彼女のためにあるようなものだと人々は口をそろえて言い、初めてその姿を見たエクレアは、彼女に見惚れてしまって、かちこちに固まってしまってしまったり。

 

 (あの時見た真珠のお姫様。今のわたしには純粋って言葉には全然合わないと思うけど、3年のうちに代わることができるのかな?)


 と、思いを巡らせてると。


「まーたお姫様の話か。女ってのはそういう話が好きだねぇ。」


 横から、頬に擦り傷のある、短髪の男の子が間に割って入ってきた。マリィが怒る。


「ホルン!これは女の子同士の話なの!男の子は黙ってて!」

「だいたいなぁ、王子だけ12人も嫁を貰えるなんて、おかしいだろ。王子ってのは、アレだな。エッチなんだよ。」

「そんなことはないわよ!」


 マリィがムキになって反論すると、ホルンも負けじと応戦する。


「だって、そうだろ?俺のとーちゃんは、同時に2人と付き合っただけで、ママからお仕置きされてたぞ。」

「そ、それは王子様じゃないから……。」

「王子様もとーちゃんも同じ人間じゃん。王子ってのはな、エッチなんだよ。」

「もぅ!このぉ!」


 マリィとホルンの二人は追いかけっこを始めた。ホルンはきひひと笑って、あちらこちらへ逃げ回る。

 マリィが何かしていると、ホルンはいつもちょっかいを出す。


(多分だけど、ホルンはマリィに気があるのかな)


 そう思うと、二人がなんだか幸せそうに見えてくる。


(早く王子様とああいう風に仲良くなれたらいいなぁ。)


 持ってきた指輪を握りしめると、まるで魔法にかかったようにエクレアに勇気が湧いてくるのでした。

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