表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
46/56

最下層にあるもの

 周りの状況を確認し、戦闘が終了したことを確認したレイナは足下を見る。

「人間じゃなかったんだ。」

ジェームズの死体の位置には顔無しの魔物の死体が転がっていた。

「ドッペルゲンガーって魔族ね。人を殺してその人に成り代わることが得意な魔族よ。そいつ、あんたの昔の仲間だったんでしょ。」

近くに来たヴァンパイアが教えてくれる。だから、化ける元になった人間はすでに生きていないだろうと。

「じゃあ、わたしと出会った時にはすでに入れ替わってたってことか。」

 レイナは悲しそうな表情を浮かべる。

「へこんでる暇はないわよ。これでこのダンジョンの魔物はほとんど倒したと思うけれどまだいないとも限らないわ。また先を案内してちょうだい。」

このダンジョンの案内役はレイナしかいないのだ。それにこれは行動することによっていろいろ考えなくていいようにという彼女なりの配慮なのだろう。この身内にはなんだかんだで優しいところは上宮に似てると思う。

「ええ、さっさと攻略してしまいましょう。」



 やはり、それより下の階層はもぬけの殻だった。あっさりと最下層である第10階層まで進みあとはクリアリングが完了すればこの作戦は終了する。と思っていたら遠くでデスウルフの鳴き声がする。何か見つけたようだ。

「デスウルフが何か見つけたようね。レイナ、あっちの方角には何があったか覚えてる?」

ヴァンパイアが示した方角。確かそっちはラッセルが調査した方角だ。

「あっちはわたしは見てないの。仲間が確認したはずだけど何かあったって報告はなかったはずよ。まあ、そのあとすぐに裏切られてるから何か隠していた可能性は否定できないけど。」

「なら、行って確かめるしかないわね。」

デスウルフが見つけたものを確かめに行く。行ってみるとそこは牢屋になっており、中には少女が鎖で繋がれていた。

「あなた。」

レイナには少女に見覚えがあった。レイナは剣で鍵を切断し中に入る。

「レイナ、罠かもしれないわよ。」

ヴァンパイアの忠告を無視してレイナは気を失っている少女を抱きかかえた。

「カレン。やっぱりカレンね。」

捕らわれていた少女は勇者パーティの仲間だったカレンだった。レイナが抱きかかえても何も発動しなかったのを見てヴァンパイアが中に入ってくる。

「その子だいぶ衰弱してるわね。」

動揺するレイナをよそにヴァンパイアは冷静に少女を分析する。

「とりあえず、これ飲ませなさい。」

レイナにポーションを渡し口から流し込ませる。しばらくすると少女は目を覚ました。

「レイナさん?」

自分を抱きかかえてるレイナを目にした少女は戸惑ったようにつぶやく。

「メイ、最下層のクリアリングも終わったわ。少女を一名発見。どうやら昔のレイナの知り合いらしいわ。かなり弱ってるみたいだから手当をお願い。」

牢屋から出たヴァンパイアが他のデスウルフが何も発見できずに帰ってきたのを確認してメイに報告する。

「わかった。すぐに向かう。」



 最下層まで降りてきたメイたちはクレイゴーレムにタンカを持ってこさせていた。そこにカレンというらしい少女を寝かせてダンジョンの外まで運ぶ。

「レイナは外までついて行ってあげて。」

メイはレイナにそう言うと最下層の奥の部屋に向かう。ダンジョンへの侵入前にレイナが神と戦ったという部屋には3つの転移魔方陣が置いてあった。

「ここは王都との転移の中継地点として使われていたようね。」

ヴァンパイアがそれを見てつぶやく。転移魔法は遠くに転移すればするほど消費魔力が大きくなる。間に中継地点を挟むことで消費魔力を抑えることができるようになるのだ。封印の館から王都に魔物を送り込むための中継地点に使われていたのだろう。

「魔方陣の数から考えて封印の館以外からも魔物を集めてる。」

封印の館と王都に向けた魔方陣だけなら2つでいいため他にももう1カ所転移先があったことになる。封印の館の目的が魔物を増やすことだったので他の場所からも魔物を連れてきている可能性は高い。それを確認したメイたちは魔方陣の破壊する。

「あとは奥の部屋ね。」

この奥の部屋はレイナが襲われたという神様の資料室。メイたちが中に入るとそこには本棚にびっしりと詰められたたくさんの本が手つかずで残っていた。

「これ、全部持ち帰る。」

 ここで資料を漁るのは無理だと判断したメイが即決で回収を指示する。

「もしかしてこれ全部持ち帰るつもり?」

 あまりの量にうんざりとしたヴァンパイアが思わず聞き返す。

「そう。手伝って。」

例え転移魔方陣を使ったところでここの資料を持ち出すのにはしばらくかかるだろう。その前に魔力が尽きてしまうため、普通は持ち帰るのを諦めるところだ。すでにテンカとメイは資料を部屋の外に運び出してるんでヴァンパイアも手伝わざるを得ない。

「ゴーレムがいるのがせめてもの救いね。」

 資料室の外まで運び出せばそこからはクレイゴーレムが外まで運んでくれるのでヴァンパイアたちは資料室の外まで運べばいい。これが地上までだったとしてもメイなら持って帰るといいそうなのでそう考えるとかなりマシだったと考えるヴァンパイアだった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ