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3幕 ブレイズライダー2.5 ファースト・チェンジ(10)

「これがオニの得た超能力、『吸収』です。さあ、皆さんはオニに任せて撤退してください。そしてこのオニ、『アブソーバー』の手によって彼等が倒されるのを待っていてください」


「……少し癪に障る言い方だが、まあ構わんか。ここは任せたぞ」


「さあヴァッサ。撤退するからお願いね」


 アブソーバーと名乗った鬼にその場を任せたジェネラルGとダースオーガがヴァッサ側に近寄ると、彼女は水の塊を生み出し自身の周囲に纏わせる。


「はいそうですかと、逃がす訳無い!」


「いえ、貴方達は彼等を追う事はできません。何故ならオニの手によって、貴方達は倒されるからです!」


 桃太郎さんが刀を構えながらヴァッサ達目掛けて駆け出すが、アブソーバーが邪魔するように立ち塞がり、桃太郎さん目掛けて炎を放つ。


「桃太郎さん、一度退け! まずは炎を消して――」


「ブレイズライダー、嘗めてもらっては困る! 拙者の生きざまをその目に焼き付けろ!」


 俺の制止を気にも留めず、桃太郎さんは炎の中へと突っ込んでいく。

 そして炎を切り裂きアブソーバーへと近づいた桃太郎さんは、突き出されたアブソーバーの腕目掛けて刀を振るう。


「ぐっ……オニの腕を切り落とすとは。しかしこの程度の傷!」


 桃太郎さんによって腕を斬り飛ばされたアブソーバーだが、残った腕で斬られた腕を掴んで吸収すると、すぐに切断面から腕が生えてくる。


「ほう? 再生できるとは、こいつは厄介だ」


「再生だけではありません。こんな事もできるのですよ!」


 感心したように呟く桃太郎さんに対し返事をしたアブソーバーは、近くで破壊されていた機械人形を取り込む。

 そして肩甲骨の辺りから機械人形の腕が生えると、銃に変形して桃太郎さんへと光弾を放った。

 それに対して桃太郎さんは刀を振り抜き、光弾を斬り飛ばす。

 ……アブソーバーが桃太郎さんに気をとられている今がチャンスか。

 俺は二人が戦う脇を通り抜け、逃走を図るヴァッサ達を目指して駆け抜ける。


「おっと、貴方達の相手はオニだと言った筈です!」


 しかし、アブソーバーもただでは通してくれない。

 桃太郎さんを振り払うと、俺を掴もうと手を伸ばしてくる。

 伸ばされた手を跳躍して躱すと、そのまま右足に炎を宿して前方に突き出した。


「とりゃぁぁぁ!」


 雄叫びを上げながら、ヴァッサ達がいる筈の水塊目掛けて飛び蹴りを放つ。

 ヴァッサ達を守る水を蒸発させながら突き進んでいき、中心部まで到達した俺はその勢いのまま水塊を貫く。

 ……水塊を、貫いたのだ。

 俺の攻撃によってその形を保つことができなくなって水塊が崩れ去ったあと、その場にはジェネラルGもダースオーガも、そしてヴァッサも、誰の姿も無かった。


「畜生、逃げ足の早い奴等だな!」


 渾身の一撃が無意味になった事や、ようやく遭遇できたヴァッサを逃がした事による悔しさを紛らわすべく叫ぶ。


「気持ちはわかるけど、落ち込んでいる暇はないよ。まずはあいつを倒さないと」


 俺の目の前に上空からヴァッサが降り立ち、いつの間にかアブソーバーが放っていた光弾を空気弾で相殺しながら声をかけてくる。

 彼女は勘違いしているようだが、別に俺は気落ちしていない。

 気落ちしている訳でないが、気を遣われるのも嫌だし早いところ話題を変えてしまおう。


「それくらいわかってる……というか、そもそも落ち込んでない。それよりもあの野郎、桃太郎さんを相手しながら俺に攻撃を仕掛けてくるなんて、元が鬼だと思って甘く見てたけど、厄介だな」


「そういう事にしておいてあげるよ。それじゃあ、桃太郎さんに加勢してあいつを倒すよ!」


 ストームガールはそう言うと、アブソーバーの元へと飛び立っていく。

 ……どうにも本音を見透かされてるようで、少し癪だな。

 いや、別に落ち込んでないし、彼女が勘違いしているだけだ。

 兎に角、彼女の言う通りまずはアブソーバーを倒すべきだ。


「小手調べだ! これでもくらえ!」


 俺が駆け出すと同時に、ストームガールがアブソーバー目掛けて空気弾を撃ち込む。

 アブソーバーはかわす素振りも見せずに空気弾を受け止め……いや、吸収するとそのまま俺目掛けて撃ち返した。

 迫る空気弾に火球を打ち出して相殺すると、そのままアブソーバーへと近づいて殴りつける。


「痛っ……」


 まるで硬い金属のような物を殴りつけたかのような衝撃が、拳に響き痛みに呻き声をあげてしまう。

 痛む拳の先に視線を移すと、アブソーバーの表皮が機械人形の装甲に変化していた。


「吸収したものを自在に取り出せるこの超能力、これがオニの手に入れた、最強の力――ぐえっ!?」


 勝ち誇ったように自慢するアブソーバーだったが、突然数メートル先まで吹き飛んでいく。


「確かに強力な超能力だけど、使い手が馬鹿だと宝の持ち腐れだな!」


 突きだした拳に炎を宿し、爆発させたことで金属の装甲を砕き、衝撃で吹き飛ばす。

 例えばヴァッサなら俺の超能力から何をするか予測して対応してきただろうが、アブソーバーはそこまでの知能は持ち合わせてなかったようだ。


「おいおい、俺達を倒すんじゃなかったのか? このままだと一人も倒せずにやられちまうぞ!」


 冷静さを欠かせるべく煽りながら、追撃を仕掛けるべくアブソーバーの元へと走り出す。


「……確かに、このままならそうなるでしょう。ですが、これならどうです!」


 そう言うとアブソーバーは、周囲に倒れている鬼達を吸収し始める。


「な、何をやってるんだ!?」


 目の前で起きた若干グロテスクな光景に思わず動きを止めてしまう。

 その間にもアブソーバーの体積はみるみる内に増していき、身の丈三メートルはあるだろう巨漢へと変貌を遂げ、その拳を俺に向けた。


「隙ありですよ」


「ぐあっ!?」


 足を止めてしまった上、体格差によるリーチの差は思っていたよりも大きく、俺の拳が届く前にアブソーバーは俺を殴り飛ばす。

 受け身をとる間もなく地面に叩きつけられてしまう……はずだった。


「しっかりしろ。奴を仕留めるまで、倒れる訳にはいかないだろう?」


「助かったよ。ありがとう、桃太郎さん」


 俺の事を受け止めてくれた桃太郎さんに礼を言うと、彼は俺を地面に降ろす。


「礼はいらん。弟子を助けるのは当然だ」


 ……何だよ。

 勝手に弟子ということにされてたけど、ちょっと弟子になってもいいかなと思ってしまうじゃないか。


「二人とも、まだ戦える?」


 俺と桃太郎さんの隣にストームガールが降り立ちながら、問い掛けてくる。


「無論だ。拙者を誰だと思っている?」


 ……今日一日だけでかなり消耗しているけど、ここで諦めるようじゃ、ヒーロー失格だろ。


「疲れてはいるけど、奴を倒すまで休んでいられねえよ。しかし、厄介だな。下手したら俺達まであいつに吸収されるんじゃないのか?」


 俺達がこうして話している間にも、アブソーバーは周囲の鬼や機械人形を吸収して更に大きくなっている。

 もし俺達まで吸収できるのだとしたら、手のつけようが無いぞ。


「その心配は無用だ。それが出来るのなら既にやっている筈。息の無い鬼や機械人形しか吸収していない所を見るに、意識の無い相手しか吸収できないのだろう。……これ以上、進化しなければの話だがな」


 返事の最期に不安の残る一言を付け加えながらも桃太郎さんは、更に喋り続ける。


「奴を倒すには周囲の鬼を吸収して再生するよりも早く斬り刻むか、急所を一撃で貫く必要がある。という訳で、拙者は奴を斬りまくるからお主達も何とか頑張るといい!」


 桃太郎さんはそう言うと、刀を抜いてアブソーバーへと斬りかかっていった。

今回の話を読んでいただきありがとうございます。

ブクマ・ポイント・感想をもらえれば筆者のモチベーションが上がるので非常にありがたいです。

最終回は来週日曜日の昼十二時投稿なので、読んでもらえたら励みになります。

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