2幕 オトギウォーズ1.5 集う、ヒーロー(3)
「--という事があったのだ。つまりあの男は味方で、拙者の弟子のようなものでもあるな」
雉鳴への説明を終えると同時に、目の前の機械人形を細切れにしていく。
「……色々と言いたいことはあるけど、突っ込むのは俺じゃなくて犬神の役割だから遠慮しておこう。ところで桃太郎、お前の弟子だが随分とまずい状況だぞ?」
雉鳴の言葉にブレイズライダーへと視線を向けてみると、先程拙者達の前から逃げ出したダースオーガが、ジェネラルGと合流してブレイズライダーに襲いかかっているではないか。
「二対一かよ。悪党ってのはどいつもこいつも卑怯だな!」
「何とでも言うがいい! ……というか、私はさっき貴様の仲間から二人がかりで襲われていたぞ!」
ブレイズライダーはその場から飛び退き、ダースオーガが振るう光剣を躱すが、彼が着地すると同時にその身体へと光線が直撃する。
「くっ……熱いな! この野郎!」
「ちょっと! 直撃したのに何で平気そうなのよ!」
ブレイズライダーは光線をものともせずその照射元であるジェネラルGへと火球を放つが、ジェネラルGは背中のアームを振るって叩き落とす。
「俺のスーツは耐熱性なんだよ! そんなへなちょこ光線効くか!」
「何よ、失礼ね! へなちょこ呼ばわりする癖に、結構痛がってたじゃない!」
……割りと大丈夫そうな気もするが、ここいらで師匠としての威厳というものを見せてやる事にしようか。
「雉鳴、周りの雑魚どもは任せた!」
拙者はそう言うと、雉鳴の返事を聞く前に駆け出していく。
「油断大敵! 貴様の相手はジェネラルGだけでない!」
ジェネラルGへと殴りかかったブレイズライダーだが、ダースオーガが二人の間に割り込む。
当然その手には光剣を携えており、いかに耐熱仕様のスーツを着ているとはいえ、このまま突っ込んでしまえばブレイズライダーはその身体を切り裂かれてしまうだろうな。
「油断大敵? 人に偉そうに説教する前に、まずは我が身を顧みるんだな!」
そうはさせない為にダースオーガの背後から、奴が身に付けているマントを掴んで勢いよく引っ張ると、此方に引き寄せてから刀を振るい斬りつける。
突然の奇襲にダースオーガも僅かばかり動揺したようだが、すぐさま光剣を構えて拙者の刀を抜いて、受け止めた。
「貴様! いい加減にしつこいぞ!」
「うむ、お主を倒す為なら地獄の果てまででも追いかける覚悟! ……それに、弟子のピンチを黙って見ている訳にもいかぬ!」
刀を勢いよく振り払うと同時に飛び退いて一度距離をとると、ジェネラルに攻撃を仕掛けていたブレイズライダーも同じように飛び退き拙者の隣に着地する。
「あら? 貴方達、師弟関係だったのね」
「……まさかとは思ったけどさ、弟子って俺の事かよ!?」
おや? 拙者の思っていた反応と違うな。
……そうか、そういう事か。
「照れる必要などない。拙者とお主のコンビネーション、奴等に見せつけてやろうではないか!」
「いや、照れてないし。というか、桃太郎さんとはさっき会ったばかりだからコンビネーションも何も――話を聞いてない!?」
拙者に真意を見透かされてなお照れ隠しを続けるブレイズライダーに背中を任せ、立ち塞がる二人の悪党目掛けて駆け出した。
ダースオーガの元へと辿り着くと、拙者達はお互いの得物を打ち合う。
何度か刀を振るい続けるが、お互いの力が拮抗している所為で鍔迫り合いとなる。
「隙ありよ!」
自然と足が止まってしまい隙ができた拙者目掛けて、ジェネラルGは当然のようにアームを振り下ろす。
無論、その程度の攻撃をくらう拙者ではない。
もう一本の刀で振り下ろされるアームを受け止める。
「あら? よく見たら貴方、結構なイケメンじゃない! しかもどことなく既視感があるわ! アテクシ、運命感じちゃったかも!」
「すまないが、悪党に運命感じられてもお断りだ!」
ダースオーガを蹴り飛ばして腕を片方自由にすると、ジェネラルGへと刀を振り抜く。
しかしアームで刀を掴まれ、拙者の攻撃は防がれてしまう。
「気持ち悪いからやめろ、ジェネラルG! 既視感があるのはそいつが私と同じ顔をしているからに決まってるだろ!」
ダースオーガが喚き散らしながら、両手の自由を奪われた拙者へと迫る……が、ダースオーガの行く手に突如として炎の壁が吹き上がり、拙者への道を遮る。
「おのれ、桃太郎の弟子め! 師弟揃って邪魔をするか!」
「弟子になったつもりはないけど、今はお前を倒すだけだ!」
照れ隠しを続けるブレイズライダーが、両手に炎を灯してダースオーガへと果敢に殴りかかっていく。
「人の事を気持ち悪いなんていうから、邪魔されちゃうのよ。まあ、それはどうでもいいわ。今は目の前のイケメンに集中しないとね!」
ジェネラルGがそう言うとその眼が怪しく光り、光線が拙者に向けて放たれる。
「そのような攻撃、避ける事など容易い!」
拙者は刀から手を離して上体を大きく反らし、放たれた光線を躱しきる。
「あら、やるじゃない。それじゃあこれは、どうかしら!」
ジェネラルGはアームで掴んだままだった刀を自らの両手に携えると、刀を振り上げながら突撃を仕掛けてくる。
……ひとまず、期を伺う事にしようか。
拙者はジェネラルGの隙を見出だすべく、機敏な動きで繰り出される攻撃を躱していく。
「顔は良いけど、イライラさせてくれるわね。ダースオーガ、早く助けに来なさい!」
「そっちこそ! 早くその男を倒して――うおっ!?」
随分と余裕があるのか戦いながら口論を始める二人だが、ダースオーガの拳が突如として燃え上がり、手に持っていた光剣を取り落とす。
どうやらブレイズライダーの超能力らしいな。
「こっちに気を取られすぎよ! そんなんだから足元を掬われる――」
「お前も、人の事言えねえよ!」
ブレイズライダーは怯むダースオーガを蹴り飛ばすと、今度はジェネラルGを目掛けて炎を放つ。
「もう! 熱烈なアプローチは嫌いじゃないけど、火傷する位熱いのは勘弁してほしいわ!」
ジェネラルGの腕が瞬く間に炎に包まれると、ジェネラルGは手に持っていた拙者の刀を放り投げて腕を振り回し、消火を試みる。
……奴等はブレイズライダーの炎に焼かれている筈なのに、火傷した様子がまったく見受けられないのは気になるが、そんな事はどうでもいいか。
拙者は飛び上がり、放り投げられて宙を舞う刀を掴み取ると、ジェネラルG目掛けて斬りかかる。
同時にブレイズライダーも炎を宿した拳で、ジェネラルGへと殴りかかった。
消火に夢中で拙者達への注意が逸れていたジェネラルGは、二人分の攻撃をモロに喰らって吹き飛んでいく。
……次の標的はダースオーガ。
怨敵を仕留めるべく、二本の刀を掲げてブレイズライダーに声をかける。
「ブレイズライダー! 拙者の刀に火を寄こせ!」
「よし、任せろ!」
拙者の言葉にブレイズライダーは即座に返事をすると、天に掲げた刀へと炎を放つ。
「覚悟しろ! ダースオーガ!」
刀身に炎を纏わせた二振りの刀を構え、起き上がろうとしていたダースオーガ目掛けて突撃した。
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