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2幕 オトギウォーズ1.5 集う、ヒーロー(1)

「遅いと言われても、最初はそっちが迎えに来る手筈だったのを拙者の方から来てやったんだ。文句を言われる筋合いは無いと思うぞ、雉鳴」


 拙者が到着して早々に文句を垂れてきた雉鳴だが、そもそもの原因は予定が大幅に変わってしまった事にある。

 故に拙者は悪くないと主張すると、雉鳴は目を反らした。


「……雉鳴? 誰の事を言っている? 俺は鳥羽だ。鳥羽と呼べ」


 この男、何を言ってるのだ?


「いや、お主は雉鳴だ。どうした? 気でも違ったか、雉鳴? おい、目を反らさずにちゃんとこっちを見ろ、雉鳴」


 雉鳴の肩を掴んでガクガクと揺さぶりながら声をかけるが、雉鳴は視線を合わせようとしない。


「……ああ、そういえば鳥羽さんってコードネームだっけ。雉鳴っていうのが本名なんだ」


 戦場と化した街には似つかわしくないポニーテールの少女の言葉を聞いて、大体の事情を察すると同時に、雉鳴がため息を一つ吐く。


「……ちゃんとコードネームについて話しておくべきだったが、まあいい。どうせそのうち明かす予定だったし、少し前倒しになっただけだ」


 雉鳴はそう言うと、懐からクナイを取り出し拙者の背後に投擲する。

 クナイの向かう先に視線を向けるとそこには、いつの間にか立ち上がっていたダースオーガの姿。

 ダースオーガは投げつけられたクナイを斬り払いながら、拙者の元へと走り出す。


「おのれ、桃太郎! またしても私の邪魔をするつもりか!」


「何を言ってる。お主が拙者の行く手に立ち塞がっているだけだろ。……というか、生きていたのか」


 ダースオーガの振るう光剣を適当にあしらいながらも、奴が生きていたという事実に改めて驚かされる。

 崩壊する浮遊城塞鬼ヶ島からジェットパックで逃げ出そうとしたダースオーガを背後から、奴の捨てた光剣を放り投げて爆発させてやったのを、まるで昨日の事のように思い出してしまった。


「この私が、あの程度で死ぬと思ったか!」


「いや、多分生きてるだろうなとは思っていたが、万が一にくたばっていればその不細工な顔を二度と拝まなくて済むと思っただけだ!」


 両手に携えた刀でダースオーガを斬りつけ奴の姿勢を崩す。

 そのまま追撃を仕掛けようと刀を振るうが、ダースオーガは光剣で拙者の刀を受け止める。


「そうか、それは私が生きていてさぞ残念だったろうな。というか、お前と私は同じ顔なのだから、私の顔の悪口を言えば全部お前に――」


 何やらごちゃごちゃと五月蝿いダースオーガだったが、拙者が何も手を下してないにも関わらず突如として奴が吹き飛ばされた事でその言葉は中断される。


「えっと、桃太郎さんで良いんだよね? アタシは風見楓花、ストームガールって名前でヒーローをやってるんだ」


 拙者の隣に先程のポニーテールの少女が降り立つ。

 ストームガール、聞いた事があるな。

 縦横無尽に宙を駆け、風を操る超能力者のヒーロー。

 だとすれば、先程ダースオーガが吹き飛んだのも彼女の仕業か。

 この戦場に似つかわしくないと思っていたが、訂正しなければならないな。


「おう、桃太郎で構わない。それにしても、見た目と違って中々やるな」


「そりゃあ何年もヒーローやってるからね。……ところで、さっきダースオーガが言ってた同じ顔ってどういう意味? 実は兄弟だったりする?」


 ……うーむ、中々耳敏い。


「違う。あの男の遺伝子を元に作られた強化人間が拙者というだけの、どうでもいい話だ。しかし、どうしてあの不細工な心を持った男から拙者のような品行方正で容姿端麗、そして文武両道な人間を生み出す事ができたのか、それがわからない。……まあ、そんな事はどうでもいい。それよりも、あのデカい図体をした奴を助けに行かなくていいのか?」


 拙者としては別に詳しく話しても構わないのだが、多分聞かされる方が混乱するし、それなりに面倒臭いので簡単に説明をするに留めて話を変える。


「確かに一成の事は助けたいけど、今手を出しちゃうと巻き込まれるかもしれないからちょっと手を出せないかな」


 ストームガールはそう言いながら、彼等のいる方を指差す。

 そこでは装甲服を身につけたジェネラルGとかいうふざけた名前の男と、拙者をここまで連れてきてくれた男……ブレイズライダーと名乗った自称ヒーローが戦いを繰り広げていた。

 片腕を破壊された装甲服を身に着けた男は、どうやら脚部にもダメージを負ってしまい動けないらしく、二人の様子を伺う事しかできない。

 ……事前に雉鳴から渡された資料によれば、クロガネという名を付けられているあの装甲服。

 拙者の見立てではあの巨体を動かすのに必要なジェネレータはかなり大きくなると思うのだが、外見からは一切見受けられない。

 動力源が、非常に気になる。


「誰かと思えば、ブレイズライダーじゃないの! ウチのお姫様が、お世話になったみたいね!」


 ジェネラルGの口振りから察するに、どうやら奴はブレイズライダーの事を知っている様子。

 一体、何をやらかしたのだ。


「お姫様? 何の事を言ってるかさっぱりわからないな」


 ブレイズライダーは自らに振り下ろされるアームを躱しながら返事をする。

 どうやらジェネラルGの方が一方的にブレイズライダーの事を認識しているだけのようだ。


「あら、女の子を思い切り蹴り飛ばして知らんぷりなんて、悪い男ね! そんな悪い子には、お仕置きよ!」


 装甲服の頭部が展開してジェネラルGの厳つい素顔が露になると同時に、その両目からブレイズライダー目掛けて光線が放たれる。

 ブレイズライダーが迫る光線に対し片手を前方に突きだすと炎が放たれ、光線とぶつかりあって互いに消滅する。

 ヒーローを自称しているだけあって、中々の実力を持っているようだな。


「……成程、俺が蹴り飛ばした女の子って、そういう事か。なら、ヴァッサが今、どこにいるのか聞かせてもらおうか!」


 ブレイズライダーは何やら合点がいったような素振りを見せてから知らない名前を口にすると、ジェネラルGを目掛けて駆け出し始める。

 ジェネラルGは迎え撃つように背中のアームを伸ばしていくが、ブレイズライダーはその全てを躱して距離を詰めていく。


「ちょこまかと……だったらこれでも――何よ! 邪魔しないでよ!」


 ジェネラルGは再び光線を放とうとするが、ブレイズライダーの背後からの光弾が直撃して怯んでしまい、失敗に終わった。


「俺の事を忘れるなよ! おいアンタ! 誰だか知らないが、やっちまえ!」


 歩く事こそできないが、まだ反撃の余力を残していたクロガネがジェネラルGへと次々に光弾を撃ち込み牽制している間に、ブレイズライダーが地面を蹴って跳躍する。


「うおぉぉぉ!!」


 ブレイズライダーが雄叫びを上げながら右脚を伸ばしてジェネラルGへと向けると、その足先に炎が宿る。

「フフフ、それでヴァッサを倒したみたいだけど、アテクシは――」


 何やらごちゃごちゃ喚きながら飛び蹴りを受け止めようとしたジェネラルGだったが、装甲服に覆われた腕にブレイズライダーの足先が触れると同時に生じた爆発で黙らざるをえなくなる。

 ジェネラルGはその場に踏みとどまろうとするが、すぐに耐えきれずに吹き飛ばされ、ブレイズライダーはその場に着地した。


「今だ!」


 ジェネラルGが離れたのを好機と見たストームガールがクロガネへ近寄ろうとするが、その道を阻むべくダースオーガが立ち塞がろうとする。


「させるか! ここを通りたければ私を――おい! 邪魔をするな!」


 この男に好き勝手させるのは非常に癪。

 それに、クロガネやストームガールに恩を売っておけば後々何かの役に立つかもしれぬ。


「拙者から言わせてもらえば邪魔をしているのはお主の方だ!」


「その通り! 行け、ストームガール! ここは俺達に任せろ!」


 ストームガールをクロガネの元へ向かわせる為、拙者と雉鳴の二人がかりでダースオーガへと攻撃を仕掛けた。

今回の話を読んでいただきありがとうございます。

ブクマ・ポイント・感想をもらえれば筆者のモチベーションが上がるので非常にありがたいです。

次回投稿は前日にTwitterで告知予定です。

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