休暇を満喫するぞ
ノースウェストの砦奪還後、
俺とヴォルは、ノーススプリングの枯山水亭に宿泊しつつ、今は蕎麦屋でビールと摘みくっている。
「兄貴、やっぱここの食事はうまいっすよね。」っていってるヴォル。
「だろ。」ってタバコふかしてる。
「ノアールにーちゃん達、良い時にきたよ。 インズ国が攻めてきたって時は一時どうなるかっておもったよ。」ってダイキがおかわりのビール持ってきた。
「へー、大変だったんだな。 にしても相変わらず客いないし、人もすくないか?」
「王都で凱旋パレードがあるんだって、ここの住民も含めて見にいってるんだよ。 僕も英雄見たかったな。」っていうダイキ。
「なんすか、その英雄って?」
「ヴォルにいーちゃん、新聞よまないの?」
「読まないっす」
「先の戦争で、活躍した剣士2人組がいてな、双黒の英雄だとか、双星だとか言われててんだ。 身元も年齢も不明みたいだが、まぁ敗北確定って言われたのをひっくり返しまったしな。 これで国の王太子争いはわからなくなったがな。」って親父がせいろを持っていってきた。 ダイキは酒ももってくる。
「ふぅーん、派閥争いってやつか」って蕎麦ズルズルくってる俺。
「そうそう、第一王子と第二王子は1歳違いでな、確か17歳と16歳だ。 第一王子が優先だったんだが、今回の戦争で第二王子が武勲あげたんでわからなくなったわけだ。 まぁどっちにしろ、俺たちには関係ないがな」っていう親父。
それであの王子勧誘してたわけか。 面倒事に巻き込まないで欲しい。 王家とか貴族とかそういうのには今世、無関係で行きたいからな。
◇◇◇
一方、ノース国王宮で国王と話すベルグ。
「して、お主の子飼いの若者たちは、なぜ謁見に来ないのだ。」
「子飼いとは滅相もない。 あやつらは、このような場が嫌いでな。」
「うむ、せっかく名誉騎士勲章と報酬を用意したのだが、ベルグ殿から渡してはくれんか?」
「断ります。 というより、本人達から無用とのこと。」
「なんでだ。 男爵位相当の地位、そして合計600万Gの破格な報酬だぞ。 平民なら誰しも欲するだろ。」
「それを受け取れば何だかんだと貴族の責務とかいっていいように使われるから嫌だという理由だそうです。 あと報酬についても、ノース国民の税金であるため、そんな金があるなら復興や他兵士への慰労金に使えといっておりました。」
「そのもの達は、欲がないのか?」
「そうですな、地位、名誉、金といった面での欲はないですな。 あえていうなら自由が欲なのでしょう。 彼らに何があったかはわしも知りませんが、人に対して異常なまで警戒心が強い、そして信用もしない。 わしもある程度距離を置いてつきあっておる。」
「そうか。しかし、どうこのたびの恩をかえせばいいのか。」
「若者の言葉とは思えない発言でしたが、戦争で成果をだせば英雄ともてはやすが、結局のところただの同族殺し。 殺人者に恩は無用とのことです。」
「はぁー、そこまでいうとなると、世論を使っても無理だな。 ウィリアムが欲しておったが、あいつにも、もちろんわしにも扱えないな。」
「賢明なご判断です。 あれに首輪をつける事は、無理でしょう。 まぁ命がいらないのなら試すことです。」
「あはは、わかった。 ベルグ殿も大変だな。 開戦前にサインした魔法契約書の意味がよくわかった。 引き続き、イースト国、いやベルグ殿とは友好関係を続けたいものだ。」
「ええ、それはもちろんです。 が、今回たまたまあの者達が参戦したのは気まぐれと思っておいていただきたい。」
「ああ、胆にめんじておこう。」
という会話があったのであった。 ベルグは、今回の戦争で目にしたノアールの化け物じみた剣技に驚き、あの剣技をどう身につけ、また対人戦に置いて本領が発揮するとノアールに違和感を感じるのだった。