ノースウェストインの戦い後
ノースウェストインでの開戦から2日後、ノース国の王都から2万の援軍が到着。
まさか、1日でインズ国がノースウェストへ撤退したと思ってなかったらしい。
先のノースウェストインでの戦いでまだ元気な冒険者も含めた兵士たち6万と援軍2万の兵で、ノースウェストの砦奪回のため進軍する事になった。
先に送らせた諜報によるとインズ軍約8万は砦に篭城してるらしい。
そりゃ籠城するよな。
≪例のトンネル塞いだのいつ言うんだ?≫
(別にいいんじゃねぇ。 敵さんが逃げられないようにしただけだし、またノース国に来られて温泉がなくなったら困る)
≪ノアールにとってそれが大事だな≫
(そうそう、戦争終わらせてだな、温泉いかないと、学園の休みが終わっちまう)
「ノアール、話しを聞いてたか?」ってベルグ。
そういや、ザックが目立ち過ぎたから馬車に乗れって言って乗った。
「いや、聞いてない。 ってか聞く必要がない」って答えた。
「貴様、殿下に向かって!」って女の声。
「テレサ殿、ノアールにその態度、そしてその短剣を抜くなら死を覚悟して頂くがいいか」ってベルグがやや低い声だ。
「落ち着いてよ、テレサ」って男の声。
「すみません、ウィリアム殿下」
「ノアール君、それでどこから話し聞いてないんだい?」って王子だ。
「全部。 お前らが無理やり乗り込んで、ザックとヴォルを追い出してからだ。 その女が、俺のこと欠陥品って言った時から」って外を見ながらいう。 って見えないけど。 こいつらのほうを向きたくないだけだ。
「あはは、僕は、ここまで僕をコケにされるとはな。 僕はただ、先の噂の英雄君と友好的な会話をしたかったんだけどな、嫌われてしまったようだね。 ここは一旦ひくよ。」って言って馬車止めて、下りていった。 その後、ザックとヴォルが乗ってきた。
「兄貴、降りろとか乗り換えとかなんなんすか」っていってるヴォル。
「ヴォル、相手は王族だからしかたない。 で、ベルグの旦那、第二王子はなんと?」
「ノアールとヴォルの勧誘だ。 学生だと言えば、ノース国の学園に編入しないかとか、まぁ貴族の養子になって第二王女と婚約してほしいとかだ」
「兄貴、返事したんっすか?」
「ヴォル、ノアールはいっさい話しを聞いてなかった。」
「兄貴らしいっすね。」
「ああ、あたり前だ。 地位も名誉もいらなぇーよ。」っていいつつタバコをふかす。
「ノアールにヴォル、その学園で冷遇されているようだな。 別の学園へ編入するか?」ってベルグに聞かれた。
「いや、特に問題ないし、寮も俺とヴォルだけで結構快適だ。 クラスの人数が少ない方が俺にとってはいい」
「あはは、ノアールらしいな。 して、インズ国は籠城してるのはお前か?」
ベルグは気付いてたのか。
「インズがせめてきた大穴を塞いだだけだ。 とっと温泉行きたいし、敵さんの補給と援軍を絶てばいいだけだしな。」
「ノアール、軽々いってるが、塞ぐのに半年以上かかるって話しだったが。」
「塞いでねぇーよ。 進入禁止の結界を大穴の半分くらいまではっただけだ。」
「さすが兄貴っす。」
「だろ。 残念なのが向こうの敵さんの慌て具合が把握できないって事ぐらいだ」
「ザック、これも内密だ」っていっているベルグだ。
馬車でそんな会話をしつつ、俺たちは、ノースウェストの砦に向かっている。