ノーミスのギルド 後編
ザックとザガリーが知り合いだったとはな。
にしても、事前に連絡しているとは、想定外だった。 それに、俺の行動を読まれているのも解せぬ。
ザックとの付き合いも長いからかっていう事にしておこう。
「あいつなりにお前が心配なんだよ。 どうせ、俺の所には誰も来ないからよ、解体場のジジイ紹介してやるよ」ってザガリーが立って受付からでてきた。
松葉杖?
「ザガリー、お前足ないのか?」
「ああ、昔な魔物に喰われてな。」
って言ってたら、ザガリーが外野に杖を取られた。
「ザガリー、目障りなんだよ。この不良品が」
「万年ランクDだったくせに」って杖で殴りかかる。 俺は、ザガリーに覆い被って防御した。
「ガキ」って何度も叩いてくるけど、周りはクスクス笑ってるだけだ。
「ノアール、お前 俺を庇う必要はない」っていうザガリー。
「俺、痛覚ないから痛くないし、傷もすぐ治るから平気なんだけど、こいつらのこと誰もとめないのか? ギルド内での乱闘は禁止だろ?」
「ああ、だがこの国じゃ団体にはいってない奴が反撃したら降格処分だ。」
へー、クッサってんな。 叩いている杖を受け止めてた。
「ガキ、やんのか」って殴りかかってきた奴らを避けたらカウンターに激突。
俺は杖を握ってるだけ。
「はなせ!」っていう奴。
「これ、ザガリーのだろ。 お前がはなせよ」って言って離させた。 尻餅ついたけどな。
「なんの騒ぎですか!」って女の声だ。
「「マスター」」って周りがいう。
いい色してないってか、腐ってんな。
「あの黒髪の少年が」って受付嬢がいう。
その女が来て「君が乱闘事件をしたのね!」って喚きながらいう。
「いや、俺は一切手出ししてねぇーよ。」
「じゃぁ、なんで彼らが倒れているの。」
「では聞くが、てかよ、お前らみてたよな、俺はザガリーの杖を奪った奴に叩かれたんだ。 んで、もってその杖受け止めただけだが。 それ以外何もしてねぇーし。 んじゃぁ俺の背中の傷はどう証明される?」
「た、たしかに、あなたの背中の外装は破れて血がでてるわ。 でも、彼らが倒れてるじゃない。 あなたが反撃したとしか」
「んじゃぁよ、俺が反撃したの見たのか?」
沈黙だよ。
そしたら女が「どっちにしろ、ギルド内での騒動は降格処分よ。 ギルドカード出しなさい」ってキャンキャンいう。
「マスター、坊主の降格は、」っていうザガリー。
面倒だからギルドカード投げた。
「え! 視覚、嗅覚等障害あり。 他感覚が優れていて本人への攻撃に対する自己防衛は可能。 当本人の許可なく干渉、不当な扱いがあった場合、本人からの通達をもってイースト王国ガーネット辺境伯はノース国との関係を断絶する。」って読み上げた。
馬鹿だな。 にしても、そこまで書いてあったのかよ。
「彼は、反撃したの?」
「いえ、してません。」って受付嬢が即答だよ。
「なら降格は倒れてるやつだよな、カード返せ!」って奪い返してザガリーを起こして当初の目的の解体場へ向かった。
「ノアール、背中は平気なのか? なんかすまなかったな」っていうザガリー。
「痛覚ないからわからねぇーんだ。 まぁ、あれくらい叩かれれば血ぐらいでてるかなって感じだ。 それに回復魔法で元どおりだ。」
「まじ、治ってんな。 まぁ、さっきのマスターの顔は面白かったな。 まぁあの馬鹿も降格にはならねぇーがな。 にしても、ザックといいガーネット辺境伯といい、お前に高待遇だな。」
「うーん、俺がノース国に行くって言ったら絶対問題が発生するっていって、なんかギルドカードの備考欄にいっぱい書いたっていってたな。」
「あはは、だろうな、っておいジジイ」って解体場にいる数名の人にむかってザガリーがいう。
「ザガリーか、んで、隣の坊主はだれじゃ?」って年配の男の声だ。
「イースト国のイーストエンドからきたノアールだ。 旅で来ているんだがジジイを紹介しようと思ってな」
「ザガリーか、また上でなんかあったみてぇだな。 坊主、ここ解体場の古株ガンズだ。 魔物のあったらいつでももってこい」って豪快なジジイだ。
「あるっちゃあるが、上に内緒で処理できるか?」
「ああできるぜ。 なんせ、状態のいい品なんてなかなか手にはいらない。 団体だかってやつは何も分っちゃいねぇー。 坊主みたいなソロはまだましだ。 あの糞馬鹿女は、討伐数で評価するからよ。」って言っている。
ここのマスターは、解体所では評判最悪だな。 って、俺も気に入らないけどな。
ってことで、ビックフット、ビックラビット、ロココを出した。
なんか沈黙。
「全部状態いいな。 あー、昨日の馬鹿な連中が持ってきたのってお前の横取りか?」
「ああ、あいつらは俺が横取りって言っていたが、やられてたから魔物狩りしただけなんだがな。 面倒だからその場に置いてきた。」
「ビックラビットはありがたいが、この2日で15匹って数が多いな」っていうガンズ。
「ああ、スタンビートがおきないといいがな」って言っていた。
その後、ザガリーに木漏れ日亭へ連れていってもらい、取り敢えず2泊3日の風呂付きの部屋をとった。




