取り戻した感覚は、念願の。。
もしかして思って、水筒出してのんだ。
(うわぁーーー。 どろくさーい味)
≪そりゃ、悪霊を飼ったから、口の周りにいろいろついてんだよ≫
(そうだった。 いやー興奮のあまり)って口濯いで、もう一度飲んだ。
まじ、感動だよ、感動すぎる。 水の味が、味が、味がする。
(念願の味覚が戻ったぞ!! まじ、うれしすぎる!! 味覚戻ったらすること決まってるんだ。 確か川あったな。)って立ちあがって移動開始だ。
「あの、待って」って女の声。
(あ、興奮して忘れた。 無視だな。 俺には最重要な目的が今ある)って、さっさと走って移動開始だ。
「待ってってばー」って声聞こえるが無視。
≪ノアール、何を急いでるんだ?≫
(決まってるだろ、綺麗さっぱりして、エルモを食うんだよ!! 俺の念願だぞ。)
≪だったな≫
って、水浴びしてサッパリした。 服も髪も温風で乾かして、焚き火の上に鉄板のせて、野菜とエルモをタレを混ぜて焼いている。
≪ほう、ノアール、料理も上手くなったな≫
(もともと料理はできんだよ。 ハードモード人生の中の楽しみだからな。 視覚も嗅覚もないと難しかったけど、物体検知の魔法の精度あがったおかげでここまでならいけるな。 そろそろだな。 まじ、念願だよ)
フライパン片手にもって、フォークで刺してようやく口の中へ。
これがエルモか! うまい、うまい、うますぎる。 柔らかいのに肉汁たっぷりだ。
(まじ旨い。 もう涙でないけど、うますぎる。)
≪ノアール、興奮しすぎだ。≫
(サタン、何を食べても味しないのがこの14年だ。 そりゃ感動するだろ。 サタンが魂食って味しなかったら嫌だろ。 それだぞ、それ)
≪ノアールの感動がわかるな。 よかったな≫
(次は、魔境の魔物の肉だな)
≪なぜ魔境の魔物の肉なんだ?≫
(ほら、長年お世話になった肉だろ。 どんな味かしりてぇーの)
っていいながら、串に通して、タレと塩胡椒で味付けして、網の上で焼いている。
そろそろいい感じだ。 塩胡椒のほうをとったら、魔法が飛んできた。
っち、って思いつつ避けた。
せっかくの俺の肉が台無しだ。
「はぁはぁ、間に合って良かったわ。 あなたが食べようとしている肉は、猛毒牛っていう魔物の肉よ。 人間が食べたら死ぬのよ。」ってまた例の女。
魔境の魔物に名前があんだな。 まぁそんな事はどうでもいい。 俺の念願を邪魔しやがって。
「早く、その手にある肉も捨てなさい」っていう。
あーうざい。 勿体ないし、俺の念願だ。 そいつの事は無視して食べた。
(うん? すげー不味いって思ってたけど、ピリっとするが、赤身の肉にちかいな。 牛鍋とかにいいかも)
女が近づいてきて、「あ、あなた吐き出しなさい!」ってくるから足蹴りかまして川の中へドボンさせた。
≪ノアール、無言のまま足蹴りとは、あはは≫
(念願の食事を邪魔した罰だ! しかも網も串もボロボロで使いものにならなくなったんだぞ。 食べ物粗末にしやがって!)
「きゃー助けて」って女が川に流されている。
≪ノアール、助けなくていいのか?≫
(サタン、逆にきくが面倒なやつ助けるか? しかも吸血鬼族、鬼族、魔族だったとしても、自力で生きていけないやつはこの世界では生きていけない。 いっそここで死んでおいたほうがいいんじゃねぇー。 生き残りって言っても、俺は馬鹿女とは一緒にたくない。)
≪俺も助けないな。≫
ってことで、俺はその場を去って、ノース国へ向かった。