どこかの街
俺、ノアール、どうやら気絶していたみたいで、今起きた。
でも、ここは森じゃない所だ。 なんか、ふかふかしたところ。
もしかしてと思って、身体を起こして自分の身体を触ってみた。
(サタン、俺、皮膚感覚がある。 すげー嬉しいんだけど。 つねっても痛くないけどな。)
≪ノアール、ようやく気づいたか。 皮膚感覚が戻ったのはいいが、人間のいる街にいるみたいだ≫
(誰かきたみたいだ。 サタンは、何言ってるかわかるのか？)
≪いい質問だ。 人間の言葉など魔神である俺がしるか！ お前との会話は思念で繋がってるからわかるがな≫
(そういや、今まで考えてなかったけど、俺、この世界の言語とかしらねー。)
≪俺もしらんぞ。≫
人間に触れられた。
敵意はないけどやだって思って振り払った。
◇◇◇
Side：？？？
魔境の森へ調査は、ランクA以上のパーティ総勢16名でいかせた。 今回の調査は、最悪の事態となった。 なんせ、悪霊に襲われたからだ。 全滅もありえたが、それでも生存者がたった2名というのは、まだ不幸中の幸いだったのかもしれない。
その生存者が、このギルドの猛者達の1人だ。
ただ、エイラからの救助要請で向かった救助隊が救助したは、負傷したザイと、8〜10歳ぐらいの少年だった。 少年は気絶してるが、無傷だった。
そして、信じられない事に、ザイ曰く少年が悪霊を退治したという。
少年の身元の確認もあるため、一時ギルドで保護して、今は医務室に寝かせている。
少年の着衣は大人物ボロボロで、髪も纏めてあるがボサボサである。
黒髪は不吉の象徴とされ忌み嫌う国も多くある。 それが原因ならなんと愚かな事だ。 少年の今後も検討していく必要がある。
そう考察していると、秘書のアイリがわしベルグの部屋、ギルドマスター室にきた。
先程、少年の様子を見にいかせたからだ。
「マスター、あの子起きたみたいなんですけど。。」と歯切れの悪いアイリだ。
聞くと様子が変だという。 すでに医師も呼んであるという事で、わしもアイリとと一緒に医務室に向かう事にした。
わしが、医務室にはいると、医者が少年に触れようとすると、ちょうど少年が振り払っていた。
「マスター、この子目が見えない可能性が高いです。 それに耳も聞こえないかも。 まだ、しっかり診断したわけじゃないですが、こういう子は敵意をみせずゆっくり接したほうがいいかもしれません。」
そんな医師の発言に、わしは唖然とした。
「先生、それ本気で言っているのか。 ザイ曰く、この少年が悪霊を討伐したと。」
「マスター、とりあえず、食事を。」という医師の言葉で、アイリがスープとパンを持ってきた。
少年の前に御膳を置くが無反応だ。
それを見て、医師がパンを手に乗せると、握り潰して投げる。 今度はパンを手に持たせて口元に近づけるとようやく食べる。 一切スープには反応しない。
「マスター、この子よく生きていたかと。 視覚、聴覚、嗅覚が失われてます。 あと声もでないんでしょう。 下手したら味覚も怪しいです。」
わしは、医師の言葉に絶句した。
