エイダス公爵令嬢 舞踊会へ
Side:ジェシカ
王太子からは素敵なドレスと装飾品が届いたわ。 数日たってもフィルとあの少年が屋敷こない。
急遽、お父様に呼ばれていったら、ガーネット伯爵に奴隷のチョーカーが渡ったと。 フィルにかけた魅了が解かれたってこと。 ありえない。 きっと、あの女、ちゃんと籠絡しなかったのかしら。 とりあえず、お父様の力でなんとかするみたい。
当分、男遊びは控えろって言われたわ。 下手したら婚約者候補から外れると。 舞踊会まで、魅了は使うなって。 はぁ、数日の我慢ね。
舞踊会当日。
朝から磨きに磨きをかけて、送ってもらったドレスを見に纏う。
あまりの美しい出来映えに、自惚れしそうだわ。
「お嬢様、お美しいです。」って侍女達もいっているわ。
王太子殿下も迎えにきてくれた。 優雅に階段を降りてて、カーテシをして。
「セオ様、本日はわざわざありがとうございます。 素敵なドレスも、送っていただいて」って目を合わせてニッコリ微笑んだ。
いつもなら、綺麗だとかいって腰に手を回すのに、今日は手を差し伸べられたわ。
「ああ、ジェシカ公爵令嬢、とても綺麗だ。 さぁ、私にエスコートさせてくれ」って言われて手をとった。
馬車の中だといつもは、頬にキスしてきたりイチャイチャなのに。 今日は静かだわ。 王太子殿下、セオドリック様は、ブロンドで後ろ髪が少し長くて、鼻筋も通っていて、濃いめの青い瞳でその流し目が凛々しくて、私の理想のタイプなのよ。 身体付きも無駄な贅肉がいっさいないし、足も長くて、魔法剣士としての腕もさながら、知性にもあふれているの。 16歳なのに色気もあって、王国中の女性たちの憧れの男性。 しかも、優しくて優雅なのよ。
今日、婚約者として正式発表されるのよ。
王妃教育も頑張って受けてるけど、いつも王妃からは駄目だしばか。 だけど、セオ様を魅了しまくって他の候補から一歩も二歩もリードよ。
待合室に案内されたけど、セオ様は用事があると言って行ってしまったわ。
いつも頬にキスするのに、今日は触れてこない。 なんでかしら。