舞踊会の日らしい
舞踊会当日だ。
午前にベルグや他貴族の襲名式があり、簡単なガーデンパーティーがあってマリーとフィルも朝から不在。
俺とザックは、まったり屋敷で寛いでいるっていうか訓練場で軽く木刀で手合わせしてる。
「ノアールのおかげで、利き手じゃないほうでも様にはなったがな」って言いながらバシと木刀が下からくる。
「逆手はいいが、俺のガタイだと魔物の懐にはいるのは難しいな」っとちょっと残念そうなザック。
「利き手に銃を使うってのは? この前、盗賊とやり合ったときに思った。」って言っておいた。
「それありかもな。 トリガーぐらいは弾けるし。 まぁイーストエンドで戻って訓練だな」っていうザック。
ベルグ達が戻ってきた。
「ちょっと厄介になった」というベルグ。
「令嬢のほうは、内々で調査中だ。 フィルの移籍は正式に公爵家には断った。 令嬢は、王太子の婚約者じゃなくて正式にはまだ婚約者候補だそうだ。 今日の舞踊会で正式指名だが、これは延期する事になった。 まだ、公爵家にもいってないそうだ。」
「旦那、厄介ごとってなんだ?」
「国王がザックに会いたいといってきた。 本部のギルドマスターも招待されておって、急遽お前もってことだ。」
「旦那、俺そんな服ないぞ」
「そこは平気だ。 わしの服を調整すれば間に合う。 問題がノアールだ。」
「ノアールを独り屋敷に置いていくわけには。」
「俺、独りで留守番できるぞ。」
「違うわー。 わしらが屋敷に戻ったら死体の山とか勘弁なんだ。」って突っ込まれた。
「ノアール、お前が夜な夜な間者を始末してたのはわしとザックは気づいておる。」
「えーと、なんでバレてるんだ?」
「返り血ついた服だよ。 俺が毎朝、服回収して洗ってたんだよ」というザック。
服ですか。 それは洗ったけど落ち切ってなかったのか。。
「旦那様、いかがしたの?」ってマリーが来た。
「ああ、ザックに今夜の舞踊会の件を話していたんだが、ノアールを独りにするにはって悩んでたんだ。」
「ノアールも舞踊会に連れていけばいいんですわ。」
「マリー、服がないだろ」
「うふふ、私が何度王都にノアール連れて買い物にいったかご存知。 もしもの場合を考えて、ちゃんとノアールの正装を作らせてありますのよ。」
「マリー、でかした。 よし、みな準備だ」って言われ、なんか俺従者に風呂入れてもらったり、あれよこれよで服着せられて、髪もいつもより高い位置でまとめられた。 ポニーテールだなこりゃ。
こうして俺は、行く予定のなかった舞踊会へ参加する事になった。 まじ、行きたくないけどな。