閑話 羊君 後編
そんなある日。
ベットに座るサタン様の様子がおかしいのです。
「羊、出て行け!」と言われ、私は部屋からでていきました。
数時間、いえ、数十時間後でしょうか、サタン様の寝室が光るのです。
恐る恐る部屋を開けた私です。
そこには、ベットに眠る人間と、黒のワンピースを来た女性がベット脇に座っております。
「サタン様、いやルシファー様?」と女性に声をかけました。 姿はルシファー様ですが、お力が弱体化しておられます。 逆に眠る人間のほうが、サタン様だ。 いったいどいう事なのでしょう。
「われは、あの時間違えた。 羊が言った高位悪魔は、アークデーモンだった。 われがあの前やつをこっ酷く返り討ちしたし、やつはわれを嫌っていや憎んでたな。」
「ええ、確かに常にあの方はサタン様に反発しておられましたね。 もしや、サタン様を困らせるために地上へ?」
「さぁ、今となってはわからん。 アークデーモンは、ノアールの魂を取り込んで力を得たかったのかもしれん。」
「アークデーモンはどうなったのでしょうか?」
「ノアールが相打ちで倒した。」ってルシファー様が愛おしそうに寝てる人間の頭を撫でている。
「人間がアークデーモンを相打ちで倒すなど前代未聞ですが、それよりサタン様、いやルシファー様あなたはいったい何をしたんですか?」
「羊、われは、何万何十万年かここに堕ちてから楽しいことなど一度もなかった。 たった18年だ、ノアールと過ごした日々は毎日が楽しくてな、いつの間にかずっと一緒にいたいって思うようになって、瀕死のノアールの魂を食うことができず、サタンの力全てをノアールに渡した。 そうすれば、われが消えてもノアールは助かるかもしれんからな。 知らぬうちに親父に願ったようだ。 そしたら、ノアールが目覚めた時、ノアールがわれを好いていればわれはこのまま消えることがない。 好いてなければ、ノアールにはすまんがサタンとして生きていく事になる。 その時は、羊、ノアールを頼むな。 こんなわれを羊は笑うか?」
「いえ、ルシファー様の初恋が実といいですね。」と私は言って部屋をでました。
まさか、サタン様いえルシファー様が心から愛した者が現れた時、元のお姿に戻れるという説は本当だったようです。 相手が人間だったのは驚きですが、ノアール様は人間離れしてますし、いくらほんのわずかな魔神の炎でアークデーモンを倒すほどです。 もしかして、何度も交わったなら可能性として、魔神化に近い状態だったのかもしれません。 魔神と人間が交わる事自体前代未聞なので、私の想像です。
それから数日後、ルシファー様の初恋は成就したようで、仲の良いお二人です。 ノアール様、あなた凄すぎてです。 ルシファー様が愛する意味わかりますよ、まぁ人間離れした容姿に、無駄な贅肉のない身体つきです。 それに加えて女の抱き方まで上手です。 ルシファー様の喘ぎ声がこだましてます。
サタン様としてのノアール様。
ルシファー様、本当にいい男を見つけてこられました。 書類やらの処理も早いですし、悪魔への制裁やら天使討伐など迅速です。 というか、前任サタン様より強すぎです。 地上にも行けるノアール様は、ルシファー様とかならず一緒におでかけになります。 それでも、こちらの呼び出しにはすぐに応じていただけます。
ノアール様のおかげで私もようやく寝る時間がもてるようになりました。
本編はこれで完結です。
ご愛読ありがとうございました。