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【不遇転生】魔神と俺~人生ハードモードだけどせめて平均寿命まで生きたい~  作者: 八木恵
1章:幼少から少年期(魔境での生活)
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バルジェラ公爵一行に対して

イーストエンドのギルドマスター室。


マスターであるベルグは、フィリップやザイ含む4名から今回の件について報告兼事情聴取をしていた。 状況によっては、ギルド側の責任が重大になるからだ。

事の顛末を聞いたベルグ。


「では、エリッサ様は、我々ギルドが事前に出した条件・誓約に対して署名したにも関わらず反したという事になるな。 イーストエンドのギルドは後日イースト王国 王都のギルドから正式に抗議文を出させていただきます。」

そう発言したベルグの声色は冷淡だった。


「マスター、その抗議文だけはお許しいただけないか。」とやや青ざめるフィリップだ。 

「フィリップ副団長、どういう事で? それに条件と誓約書ってなんだ?」とグリフが聞く。


「エリッサ様は、部下に内容さえも伝えてないとは。」と、グリフの発言に呆れながら、ベルクはため息をつき誓約書のコピーを渡すのだった。


「なに! 条件1: 魔境への同行者はイーストエンドギルドマスターが選ぶ者を同行させる。

条件2:いかなる時も魔境内では同行者の指示にしたがうこと

条件3:上記に反した場合、同行者は自身の命のみ優先し、他はかえみらないこととする」と読み上げグリフも青ざめるのだった。


「そして、わしが選んだ同行者は、ザイ、エイラ、ノアールだ。 事前にエリッサ様と団長殿には彼らのプロフィールを渡した。」と言って3枚の紙を受け取るフィリップだった。


「ザイ殿やエイラ殿は、ランクSで任務の討伐件数や採取件数、護衛件数が記載されてますが、ノアール君はランクFで件数は未記入。 備考欄に視覚、嗅覚等の障害あり。 発声困難。 但し、魔境の森 熟知者。 なぜ彼はランクFなんですか?」


「おいおい普通に考えてみろよ。 目のみえないノアールがランクFからのランクアップ条件の薬草採取なんてできねーし、依頼だって受けられねんだよ。 それにまだ12歳だぞ。 特例で今回マスターが王都本部にかけあって作ったんだよ。」というザイ。


実際、この世界の冒険者ギルドの登録可能な年齢は、戦闘能力があれば13歳からである。 そのため、年齢という意味でも、ノアールは冒険者ギルドの登録ができない状態だった。


「そういう事だ。 で、全て条件に反し、かつ目的は魔境の魔物の調査という依頼だったが、先程ザイから聞いたが魔鉱石が目的と告げなかったようだな。 故に、中立機関であるギルドは抗議文を出させてもらう。 つまり、バルジェラ公爵家及び関係者からの依頼は半年間イーストエンドは受けないし、指名依頼もうけない。 もし、他経由であり後にバルジェラ公爵と判明した場合罰金を徴収することになる。抗議後の判決は、王都ギルドの判断だ。 最悪の場合はそうなると。」


「いや、抗議文についてはなんとかならないですか?」というフィリップ。


バルジェラ公爵領にある、イーストエンドのギルドの冒険者はザイ筆頭に猛者が多い。 そのため、魔物討伐や、採取、そして護衛の依頼など頻繁にバルジェラ公爵家から受けていた。  しかも、主力の私兵を失ったバルジェラ公爵家としてもこの懲罰は厳しすぎるのだった。


「ふむ。 では、2つ条件を飲んでもらおう。 まず1つは、今回の件に関してイーストエンドのギルドに非がなかったことを認める事。 もう1つは、ノアールに関して一切他言しないことだ。 これを承諾するのであれば、抗議文はせず報告のみとしよう。」と提案するベルクだった。


「なぜノアール君の事を秘密に? 彼ほどの技量であればわが国の戦略に。」というフィリップ。


「それだよ! ノアールはまだ未成年の子供でふつうとは違う。 お前ら馬鹿どもに利用されないためだよ! それにお前らだって最初はノアールを馬鹿にして受け入れなかっただろ。 だからだよ!」って怒鳴るザイだった。


「すまなかった。 そうだな。 マスター、先ほどの申し出受け入れよう。」というフィリップだ。

「今回の件でお主らを信用できない上、魔法の誓約書にサインしてもらうがよいか?」

「そこまでするのかよ」と唸るグリフ。

「グリフ、マスターの言う事は正しい。 承諾しよう」というフィリップだ。


魔法の誓約書とは、もし違えた場合サインした本人には苦痛が襲い死にいたる場合があるのだった。 契約主が解除した場合または死亡した場合のみ無効となる。 


こうして、イーストエンドのギルド内部では、バルジェラ公爵一行の件は終わりを告げた。

ベルグの中では、もしかしたらバルジェラ公爵家当主から逆に抗議があるかもしれないと懸念していたが、フィリップがうまく報告したのか何の苦情もなく、今回の同行に対しての依頼料がしっかり支払われたのであった。



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