普通の学生って 中編
食堂で人間観察をあきらめた俺は、寮という名の平屋のウッドデッキでランチ食べていた。
そしたらマリアが来た。 マリアは今も一応俺たちの寮母である。
「ノアール君、ヴォル君、ルーシさん、 ちょうどよかったわ。 またクッキー焼いたのよ」って持ってきてくれた。 相変わらず、たまに甘味を持ってきてくれる。
「ありがとうっす」って受け取る。
「マリア、聞きたい事があるから、今コーヒーか紅茶いれるから一緒にくわないか?」
「ええ、いいわよ。 私、紅茶で」
って言って、俺らはコーヒーで、マリアに紅茶だした。
「マリアのクッキーは美味しいですね。」ってルーシ。
そういや、菓子とか作ったことないな。
「美味いっす。」
「あらあら嬉しいわ。 紅茶も美味しいわよ。」ってマリアだ。
「ノアール君、聞きたいことってなに?」
「マリアって寮母だろ。 んで、他の学生って放課後とか休日ってなにしてるんだ?」って聞いた。
「なにその質問。 私の寮は、冒険科の生徒が多いでしょ。 だいたい、放課後はグループで連携の確認とか訓練、あと課題をしてるわ。 休日は、王都のギルドで任務とか受けてたり、勉強してたり、気分転換に王都に買い物へ行く子もいるわね。
長い休暇の時は、みな実家に帰るわ。 冒険科の貴族の子もにたようなものね。」っていうマリア。
「なるほど、そうなのか」ってタバコに火をつけて一服する。
「ここ名門だから、課題とか大変見たいしね。 まぁ少なくとも、ノアール君みたいに喫煙者は生徒ではいないわね。」
「野外喫煙可ってなってるっすけど、いないんっすね。 じゃぁ、アルコールはどうなんっすか?」
「タバコもアルコールも、嗜好品よ。 高いしね。 生徒で飲んでいる子は冒険科ではほとんどいないかしら。 打ち上げみたいな時とか特別な時よ。 っていっても、みんな数杯のんで終わりね。 酔っ払ってトラブルになると謹慎だからね。」というマリア。
「なるほどっす。 ようは生徒さん達、あまりお金ないんっすね。」
「なに言ってるの、平民はみなお金ないわよ。 一般家庭の収入がだいたい金貨7枚で、裕福で10枚~20枚。 4人家族で、月金貨平均で4枚が生活費に使うのよ。 ここの学園、学費だけでご両親達は大変だから、冒険科の子達は仕送りなんてほとんどないから、週末薬草採取、低級魔物の討伐いって稼いで、武器・防具、ポーション代にまわしているのよ。 推薦の子は、奨学金制度で、学園卒業後に少しづつ返済してるのよ。 まぁ利息なしだし、ランクCでだいたい月金貨20枚~30枚稼げるようになるから、3年でランクCになった生徒は少し生活に余裕がでるみたいね。 といっても、武器・防具のランクもあげないとだから、学生のうちはみんなコツコツ貯めてるって感じよ。 学園期間中は寮で朝と夜は食堂で食べればタダだしね。」
「「「なーるほど」」」
「貴族の子は仕送りあるし、生活はちがうみたいだけど、おばさんにはわからないわ。 でも、ルーシさんはガーネット伯爵様から仕送りもらってるのでは? 」
「もらってないですよ。 全部ノアールが払ってるんで。」っていうルーシ。
「あら、凄いわね。 養父母の財産で支払ってるって前聞いたけど、ノアール君大丈夫なの? 社交シーズンとか、お茶会のお誘いでドレスとか必要では?」
「それは、学園卒業するまでは、出ないし、ベルグとマリーが全部断ってるんだ。」
「あらそうだったのね。 あらもうこんな時間。 紅茶ご馳走様」って言ってマリアは庭から出ていった。