閑話 インズ国 オスカーと双子
イースト王国から戻ったヤンは、腕を失っていた。
それから様子がおかしいとロイがいう。
オズベルトに聞いた2人の黒い悪魔のうち、1人は漆黒の長い黒髪を纏めていて、金色の瞳にノースウェストの砦の兵約3万を1時間で惨殺したと。 しかも、目にも止まらぬ速さの剣技だったという。 そんな人間がいるわけないとその時は思った。
でも、ヤンの話しを聞いて、僕は信じるしかない。 ノアールは化け者だ。
どう生きたか知らないが少なくとも魔境の魔物を相手出来るほどの強さだ。 僕だって、旧ウェスト国の国宝100%純度のミスリルのバスターソードでなければ魔境の魔物は殺せない。 3KMまで進んだが、それ以上は魔物のレベルが上がり進んでない。
あのノアールは、そこを生き延びたってことか。 自然と拳に力がはいる。
「オスカー様、いかがいたしましたの?」って僕のベットで裸体でいるリーナだ。
リーナとは正式に婚約の儀をした。 僕が18歳になったら結婚だが、妊娠させなければ抱いても構わない。 ユナを手放したのは早計だったかも。 最近イラつく事ばかり続いて、夜伽専用の侍女を何人か廃人にしてしまい、父上に叱られリーナを抱くしかない。
「リーナ、ごめん起こしたか? ヤンの事が心配でね。」
「いいえ、私がただ起きただけです。 オスカー様、お優しいですわ。」
「リーナは寝てて、ちょっと夜風に当たってくる」っておでこにキスしておく。
「はい、お気をつけて」って言ってリーナは寝た。 寝るように仕向けただけだ。
僕は、着替えて部屋を出た。
「オスカー殿下、兄が例の場所へ」っていうロイ。
「行こう」こうして僕は二度といきたくなかったがいった。 ヤンをとめないと
◇◇◇
「悪魔アークデーモンよ、俺に力をくれ。 代償は俺の全てだ。 この国をオスカー殿下を守る力をくれ」と地下深くの悪魔像で叫ぶヤン。
「兄じゃ」
「ヤン、何を考えている!」
「オスカー殿下、ロン、なぜここに!」って叫ぶヤン。
「それはこっちのセリフだ。 僕は、僕は」
「オスカー殿下、片手を無くした俺があの化け者に勝つには、悪魔の力にすがるしかないんです。 このままでは、国は滅びます。」
「兄じゃ、俺たちが鍛錬すれば。」
「ロイ、ヤンの言う通りだ。 あの化け物に勝つには、努力だけでは無理だ。 俺たちに力がいる。」
「オスカー殿下、悪魔の力を得るのはこのヤンだけで。」
「兄じゃ、何言ってんだ、俺もだ」ってロン
「僕達はずっと一緒にいた。 僕もだ。」って僕もいった。
僕たちの平和のためには、この悪魔の力が必要だ。
『ははは、3人の覚悟ができたようだな、お前達に力を与えよう。 必ずやあの者をこの地で殺せ!』
そういった悪魔の言葉の後、僕は苦しみと苦痛に耐えきれず、その場に倒れてもがいた。
これに耐えれば、あのノアールを。
そして、僕の両隣にいたヤン、ロンも同じように苦しみだしている。
僕たちはこの力をつかいこなしてやるんだ。
そう目でお互いに誓いあってるが、さらに様子がおかしいヤン、ロン。 お前達はどうなっている! だが、僕の意識は、苦痛に耐えきれずその時に飛んだ。
『ククク、人間どもよ、必ずやあの者を』と低い悪魔の声が地下で響きわたるのであった。