魔王に会いに来た 前編
いきなり、魔王に夫になれって言われて断ったら、泣いている魔王。
しばらくして、ようやく泣き止んでくれた。 側近たちが慰めていた。
「ここまでこっ酷く振られると、スッキリするものね。 今は諦めるわ。」って魔王の口調変わってるし。 今は諦めるとかじゃなくて、永劫諦めてほしいって俺の心の中で突っ込んでいる。
「魔王様、口調が。。」って側近は、魔王の口調につっこんでいる。
「もう威厳のある口調なんて、意味ないでしょ。 それでノアール様達は何用でこられたのかしら?」って様付けだし。
「2つかな。 冒険者カード作った時ヴォルの人種が竜人族になってたから、気になって来たっていうのと、魔族は人族領に侵略しているのか聞きにきた。 後者は正直俺たちには関係ないけど、トリスタン王国は他力本願で勇者2名召喚してる。」
「最初の話しは、長くなるから、後者からね。 魔族は特に今は人族、獣人族、海人族への興味はないわ。 この魔族領治めるだけで精一杯なのよ。 広いし、点在してるしね。 いろいろ開拓して、整備してる最中よ。 上下水道とか、魔導列車の開通したばっかりだしね。」
「ノアールの兄貴、魔族領は空から見たかぎりだけど結構発達したたぜ。」
「兄貴、列車走ってたっす。」
「へぇー、そうなのか」
「ノアール様、目がお見えにならないの?」
「兄貴、そうっす。」
「ノアール様程の魔力で回復しないとなると呪いの類かしら、すると私達でも治すのは無理ね。 まぁ話しはそれたわ、人族が魔族領に侵攻してくるなら容赦なく排除させて頂くけど、そこから先にこっちが侵攻することはないわ。 特に土地的に魅力があるわけではないしね。 これでいいかしら」
「ああ、一応情報として教えておくが、トリスタン王国の目的はエルフの星見らしい。 ここが発展してるとなると、人間は欲深いから技術も狙いかもな。」って言っておく。
「情報感謝するわ。 エルフの星見は、この魔族領の神聖な場所でしか予言できないのだけど。 でも、ノアール様は人間、いや人族なのに魔族の私達に情報提供するのはなぜかしら?」って聞かれた。
やっぱりそうなるよな。
「簡単にいうと俺は前世の記憶がある。 で、こことは違う大陸だ。 今回もそこからヴォルに乗って旅してたまたまこの大陸にきた。 前世の時、1500年前までその大陸には魔王領と人間領に分かれていた。 俺は人間だ。 その当時、魔王が振り撒く瘴気の影響で大陸中の魔物が活性化してスタンビートが発生しまくってたんだ。
それがある意味魔王の仕業だが、人間側は魔王が魔物使役して人間領を襲ってると思い込んで、勇者召喚して魔王討伐にでた。 俺も魔王に会うまではそう思ってたしな。
実際はあまりにも強い瘴気のせいで、魔族、鬼族、吸血鬼族は魔王の瘴気を必死で抑えてた。 魔王自身も自身を殺せる者達を待ち続けていて、1500年前に勇者一行と共に魔王を殺した。 殺した時に瘴気が爆発するのを女子供以外の魔族、鬼族、吸血鬼族が自身の死を覚悟して最小限の爆発にとどめた。 俺も爆心地にいたから死ぬはずだったが、吸血鬼族の真相が俺たちを守って死んだ。 生き残った魔族達の安住を頼んでな。
人間達は、その真実を隠し魔族狩りした。 俺は反対したが逆に魔族によって悪魔が憑依したとか理由つけられて処刑された。 今世、転生したら、その大陸には魔族は残ってなかった。 俺なりの前世のケジメでこの事を伝えにきたってのもある。 俺の予想だと、もともとこの大陸にいた魔族と人間が俺たちのいる大陸に移住したと思うしな。」って話した。
「魔族の中に不幸にも瘴気を発する魔族が爆誕すると聞いたことがあるわ。 ここ魔族領では、そういった魔族はエルフの力で瘴気を封印してるわ。 でもそちらでも、やはり魔族と人間の共存はもう無理なのね。」っていう魔王の声は少し寂しいそうだった。
魔族と人間は昔は共存していっていう感じの口ぶりに興味がわいた。