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【不遇転生】魔神と俺~人生ハードモードだけどせめて平均寿命まで生きたい~  作者: 八木恵
1章:幼少から少年期(魔境での生活)
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取り戻した『声』

「お嬢様、御守りできず申し訳ありません」と慟哭した声が聞こえた。

「バルジェラ公爵にどう報告すれば」っていう別の男性の声も聞こえた。


なんかザイとエイラ以外にも2人いたな。

「ジャイ、エイリャ、まもにょかっぱつ。 かえりゅ」

≪ノアール、なんで舌たらずなんだよ≫

(知るか! 12年話してねぇーから上手く発音できないんだよ!)


「もう夕時だな。 かえらねぇーとまずいな」ってザイ。

「おい、そこの2人、嘆いてないでとりあえず最低限の物は回収して帰るぞ。 魔物が活性化しちまうからな」


「貴様 「グリフ、ザイ殿の言う通りだ。 我々は遺品を集めて帰るとしよう。」」というと2人は遺品を集めている。 ザイも手伝っているようだ。


「ノアール、あの私兵2人怪我してるの。 1人は足の怪我。 私たち回復ポーション使いはたしてるの、ノアールの分けてくれる?」ってエイラに聞かれた。

怪我してるなら置いてけばいいのに。

「エイリャ、たしゅけたい?」

「大人の事情でね。 ここでは見捨てられないのよ。」

「わかった」って言って、次元ボックスから回復ポーションを2本だした。

俺、自動回復だからいらないんだけど、ザイとエイラが買ってくれててストックがある。

「ノアール、ありがとうね。」って頭撫でてくれた。 精神年齢は高いはずだけど、なんか今の年齢のせいか頭撫でられると心地よいって思ってしまう。


「エイラ、ノアール、こっち来てくれ」ってザイに呼ばれた。

「ノアールが回復ポーション持ってたから使って」って私兵たちに渡している模様。

「ノアール、悪いが帰りはなるべく魔物に遭遇しないルートで帰れるか?」ってザイに聞かれた。

「うん。 時間かかりゅ。 ぜりょむり。 いい?」

≪なんで片言なんだよ≫

(突っ込むなーサタン。 俺だって恥ずかしいんだぞ。 精神年齢は大人だしな。 前世が25歳だろ、んで今世が12歳いきてんだよ)

「いいぞ」ってザイに頭を撫でられる。

「帰りは、俺達の言うこと聞いてもらうからな。 いいかお前ら2人!」

「「わかった」」と返事する私兵たちの声色は素直だ。 小屋での口調と大違いだな。

「先頭は、エイラとノアールだ。 で間にお前らで、後ろ俺がつく。 ノアール、速度はエイラに合わせてくれ」

「ノアール、いきましょう」って手繋がれている。 コクコク頷いておいた。


帰りは索敵しつつ、エイラに発音の練習をしてもらっている。

「あ」「え」「い」「お」「う」はよかった。

「にゃ」「にょ」「にゅ」ってなる。 エイラがクスクス笑いながら「まだ時間かかるね。」って言われてしまった。


「まもにょ、いく」っていって前方のほうにいる5頭に向かって、刀だしつつ殺しておく。 魔物は素材になるし、肉は食料になるから次元ボックスにいれて、またエイラの所へもどった。


◇◇◇

ノアールの後方にいる3人は、ノアールの動きを見ていた。 特に私兵たちは、注意深く観察している。


「ザイ殿、ノアール君は声がでなかったのでは?」と聞くフィリップ。

「俺もよくわからないが、悪霊を倒すと失った感覚が戻る時があるらしい。 ノアールに初めてあった時は、あいつ耳も聞こえなかった。 ギルドの医者曰く、当時は視覚、聴覚、嗅覚、痛覚がなく、たぶん味覚もなく声も出なかった。」

「ますます怪しいな。 12歳にしては、身体能力からなにから全てだ。 あれは悪魔なんでは? 黒髪だしな」と鼻を膨らませていうグリフ。

「グリフ、いい加減にしろ! 黒髪が不吉というのは、確かに我が国以外特にウェスト国ふくめた周辺小国には多いと聞く。 今も迫害対象だと。 だが悪魔は、人間に憑依はしないだろ。 彼らは狡猾で、何かしらの対価を求めるらしい。 まあ禁術ではある。」

「俺には気味が悪い。 胡散臭い。」

「グリフ、冷静になれ。 子供に守れれているのが気にくわないだけだろ」

「ぅ、フィリップ副隊長、俺は」

「もういい、グリフお前は黙ってろ。 それで、ザイ殿、ノアール君を保護せずなぜ魔境の入口に?」

「マスターもよ、俺もエイラもイーストエンドで保護したかったんだよ。 人間への警戒心が半端なくてな、少しでもあいつに悪意や敵対心なんかあると躊躇なく攻撃する。 それに一度保護した時、怖かったんだろうな、魔境の森の中へ帰っちまった。 んで仕方なく、日用品とか服だけ渡した。 1年半前に耳がきこえるようになったんだが、あいつ聞こえすぎて更に警戒してな。 これは街には無理だって事で、あそこに小屋建てて暮らさせてるんだ。 とは言っても、俺とエイラじゃなきゃ家にもいれないがな。」

「子供1人で、しかも今も視覚やら失ってて大丈夫なのか?」

「それが不思議と平気でな。 まぁ風呂のお湯だけは熱湯にしないで、他も決まった位置に置いておけばちゃんと暮らしてる。 掃除もしてるしな。 服だけだ。 サイズがわからないからこっちで用意してるんだ。」

「そうだったのか。 グリフ、ノアール君には近づくなよ。」

「フィリップ副隊長、俺は!」

「おい! お前、その態度が駄目なんだよ! お前に攻撃しないようにエイラがノアールの手を握ってんだろ。 気づけよな。」


そんな会話を俺は聞きながら、俺の住む小屋へ向かう。

ザイが言っていた通りで、なんどか殺気を感じて攻撃しようとするたびに、エイラに止められたしな。 


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