イースト王国へ
約1ヶ月半におよぶサウス帝国の滞在が終わった。。
最後に舞踊会とかあったが、フィル達が護衛をするってことで俺たちは留守番だ。
わざわざ人の多いところ行きたくないし、無用なトラブル回避だ。
舞踊会では、第二王子が男爵令嬢つれてきて婚約者をほったらかしにしたらしく、マーガレットが怒り当面第二王子は謹慎になったらしい。 そんなイベントがあったとマリーが言っていた。
俺たちは行かなくてよかったって心底思った。
そして、俺たちはイースト王国へ向けて出立した。
行きはベルグとマリーと同じ馬車だったが、セオドリック殿下にリラ王女も帰りは一緒に帰国するため、俺とヴォル、グリはのんびり荷馬車にのっている。
「ノアールの兄貴、んでヴォル坊が言ってた学園ってなんだ」
「あ! そういや俺とヴォル、学生だったな」
「兄貴、忘れてたんすか」
「あー、忘れた。 グリなんだ、16になる歳から3年間、いろんなこと学ぶ場所だ。 ようは軍士官訓練のもっと楽な場所だ。 んで義務だから通わなきゃいけねぇんだ。」
「人化できなくて良かったぜ。」
「グリさん、人化したって見た目年齢的に25、6だったっすよ」
「だな。 って、また敵さんだ」
「多いっすね。」
って言いながら、他が気付く前に、殺していく。 きっとインズかサウスから雇われた奴らだろう。 人間の魂くってサタンも機嫌いいしな。
町で宿泊すれば間者がくる。 これも対処しておく。
イースト王国入ってからも、襲撃があるからもしかしたらイースト王国からの差し金かもな。 ヴォルにとりあえずなんか目印になるもの収集してもらっておく。
尋問とか面倒だしな。
◇◇◇
俺は今、王都のガーネット辺境伯の屋敷にいる。
「ノアール、どうした?」ってベルグ。 まぁちょっと時間作ってもらった。
「今回帰ってくる時、いろいろ襲撃があってな、んでイースト王国に入ってからも続いたんで、ヴォルに証拠になりそうなの回収させた」って言ってタバコに火をつけて一服しながら、バラバラと出した。
「そうか、でもなノアール、なぜ襲撃があった時に知らせなかったんだ?」
「インズ国からか、サウス帝国からかって思ってたし、まぁ面倒ごとに巻き込まれたくないからってのが理由だな。 イースト王国入ってからも続いたから、とりあえずベルグの耳だけに入れておこうとしただけだ。 無駄に権力争いとか巻き込まれたくないしな。」
「はぁーそうだな。 イースト王国も多数派閥があるし、今回はきっとセオドリック殿下の婚約をよく思ってない派閥の刺客だろうな。 わしの方で報告しておこう。」
「それで。 んじゃ俺はいくな」
「ノアール、折角だ。 お前に聞きたい事がある。」って止められた。
「なんだ?」
「実は、サウス帝国でインズ国のユリアン王妃からある赤子の話しを聞いた。黒髪で、五感を失っており産声もあげなかったそうだ。 そく国王の命令で処分となったようだが、魔境へ入る川へ流されたそうだ。 ノアールがいたのが魔境の森だ。 あまりにも酷似していてな、お主がその赤子ではないかとわしは思ってな。 ユリアン王妃には、お前が魔境の森にいたことは言っておらん。 ただ教えてくれないか?」
「それはベルグの思い込みだ。 俺自身なんで魔境の森にいたかは知らない。 ただ10歳の時にザイにあったそれだけだ」
「そうか。 わしに何かできることがあったら言ってくれ」
「ああ、そうする。 俺は自由にしがらみなく生きたい、それだけだ。」って言ってあとにした。
≪あえて語らずか?≫
(ああ、余計な詮索は、面倒ごとになるだろ。 なぜ俺が赤児から生きれたかってなったら、前世の話までいく。 そういうのは人間には知らせないほうがいい。 言ったろ、俺の利になることしかしねぇーって)
≪ぶれないな≫
ノアールが去ったあと1人部屋にいるベルグ。
「やはり語らずか。 せめて信用してほしいが、あの子にいったい何があったんだろうな。 わしにも想像つかん。」とため息をついて、証拠の品をみている。
「はぁー、エイモンド公爵系の派閥貴族か。 リラ王女の学園編入は危険かもな」と独り言だ。