ご婦人たちのお茶会
王妃主催のお茶会で、これまた各国のご婦人や婚約者達が集まっている。
男達は、王宮の闘技場で各国の護衛兵や兵の剣技大会の観戦をしている。
俺とヴォルはマリーの護衛だから、お茶会に参加。
今回は大規模なので、丸テーブルがいくつも用意してあって、ケーキも侍女達が配膳してる。
マリーは必然的にマーガレットの所にいるし、インズの王妃も同じ席だ。
「マーガレット王妃様、ガーネット辺境伯夫人、先日の夕食会での家臣の失礼な態度、大変申し訳ありませんでした。 それなのに、このような会にお呼びいただいて何と言ったらいいか。」
「ユリアン王妃様、私は逆に驚き感動いたしました。 物静かな王妃様が、大きな声出すんですもの。」
「あのそれは、私自身も驚きました。 我が国は未だに差別、迫害が多く、男尊女卑です。 そのため、私には何も権限もございません。」
「ユリアン王妃様、あまり自虐するのもよくありませんわ。 毎日礼拝堂へ赴くのは、インズ国の式たりですか?」
「いえ、あれは私の懺悔です。 産声もあげる事なく不備なあの子へ不甲斐ない私はただ祈るしかないのですわ。」
「ユリアン王妃様、お辛い事を聞いて申し訳ないですわ。」
「いえ、とんでもございません。 ただ、もしあの子が生きているのであれば、ガーネット辺境伯夫人の護衛の青年ぐらいにはなっていたのかもと思いつい先日の晩餐会で大声を上げてしまったのです。」
「あら、ユリアン王妃様、その子は黒髪でもあったんですね。」
「ええ、生きているとは考えにくいですが。」
「母親は子が生きていると願ってしまうものですわ。 ねぇ、マリー。」
「ええ、そういう者ですわ。 ただ私の実の息子と娘が傲慢になってしまって、まだ息子は更生中ですが。 ついつい、ノアール、ヴォルが私の息子ならって思ってしまうわ。」
「マリーったら、数年前の手紙から、ノアール君のことばかり。」
「だって、障害のある子が日々成長していくのが嬉しくててついつい」
「彼は障害が? 見えないですわ。」
「普通にしているとわからなくなるぐらいですわ、ユリアン王妃様。 ノアールが12歳の時ですわ、彼の養夫婦が亡くなって14歳になるまでの間、屋敷で勉強するために預かったんですの。 今も視覚、嗅覚等に障害があるんですのよ。 それを補うくらい、別の感性が優れていて、身体能力も高くて護衛もできるほどよ。 ただ、警戒心が強くて、敵意や悪意をむける人に容赦ないってとこはたまに傷ですが、今はヴォルがいるのでなんとかなってますわ。」
「それは凄いですわ。 養夫婦の方がご立派ですわね。」
「ユリアン王妃様、私も詳しくは知らないのですが、旦那様の話しだと7歳前の記憶はなくって、養夫婦が保護したのが10歳の時でそれまで森で1人で生活していたようですの。 よく生きていたって旦那様も奇跡だとおっしゃっていたわ。」
「ええ、まさに奇跡ですわ。」
てな会話だ。 ベルグはあまり俺の事をマリーに言ってなくて良かった。
辺に勘ぐられるのも困るしな、まぁーこうしてトラブルもなくっていうか、そういえば例の男爵令嬢もいなくて和やかに終わった。
例の男爵令嬢は、フィル曰く剣術大会のほうにいたらしい。
フィルにも声をかけてきたらしく、「既婚者ですので」って言って、なんとかその場をとりもったとかと、ベルグとなんか疲れた顔していっていた。 フィルもフィルで大変だったようだ。