その15
「ダニー…!」
ナターシャは大粒の涙を溢しながら優しくダニーの肩に腕を回した。ダニーはナターシャの方を見て優しく微笑む。
「ありがとう…ナターシャ、全て終わったよ」
「ダニー、本当に無事で良かった…」
「はは…完全に無事とは言いがたいけどね」
ダニーが苦笑するとナターシャはダニーの頭を自身の顔に向ける。すると目を閉じたナターシャが突然、ダニーの唇に口付けした。
ダニーも横にいるMr.ウルヴァリンも目を丸くして呆気に取られている。いち早く我に返ったMr.ウルヴァリンは慌ててそっぽを向いた。ダニーは未だ呆然としている。ナターシャは頬を紅潮させながらゆっくりとダニーの顔から離れた。
「へへ…所謂ご褒美ってやつかな…」
「……不意打ちはやめてくれよ…」
ダニーはようやく我に返り、恥ずかしさの余り顔を背ける。義眼の色よりも顔は真っ赤だ。Mr.ウルヴァリンも見てられないとばかりに後ろ向きに目まで閉じている。
「ダニー…あんたらと知り合えて良かったよ…」
「俺もだよ…ナターシャやMr.ウルヴァリン、ミス・ジェーン、皆のお陰だ…」
「うん…そうだね」
ダニーは再びナターシャの顔を見つめ、お互いに笑い合った。辺りは仄かに暗くなってきたが、対してキングスカンパニーの本社ビルの周りはヘリやらマスコミやらが飛び交い、騒々しくなり出している。Mr.ウルヴァリンもそろそろ退散すべきかと二人の方を向いたが、まだダニーとナターシャは二人の世界にいるようである。
「ダニー…愛してるぜ…」
「俺も愛してる…ナターシャ…」
呆れたように頭を抱えたMr.ウルヴァリンは二人の間に割って入る。
「さてお二人さん、そろそろ周りが騒ぎ出したからお暇しよう」
Mr.ウルヴァリンからの発言にようやく二人は我に返り、顔を真っ赤にした。Mr.ウルヴァリンは二人の様子を見て、意地悪な笑みを浮かべた。
「ところでサラ、君に朗報だ。現状サイクロップス君の体は実に八割が機械の義体だ。しかし、脳と生殖機能は問題ないとストームから聞いている。よってこれから君らが子づ…」
と言いかけ、Mr.ウルヴァリンは慌ててキングスカンパニーの本社ビルの入り口へと走り去った。ナターシャの殺気に満ちた表情を目の当たりにしたからである。ダニーは顔を赤らめつつ苦笑した。
「…ったく、何処までも空気の読めないドラネコだ!」
「はは…Mr.ウルヴァリンらしいよ…」
ダニーが溜め息を付くとナターシャが突然ダニーに近づき、耳元で何かを囁いた。ダニーはナターシャからの言葉に顔を更に真っ赤にして、後ろへ倒れ込んだ。ナターシャはダニーを心配しつつイタズラっぽく笑った。
キングブレイカー、次回最終回です。




