その7
ダニーは右腕のレーザーブレードを構えると、ジェットパックでフランクに向けて突っ込んでいく。猛スピードで迫るダニーに対してフランクは余裕を見せるように自身を取り囲むドローンたちをダニーに仕向けた。
ドローンたちの体当たりの猛攻をかわしつつ、ダニーはレーザーブレードで進路を阻むドローンを斬っていく。しかし、その数はルーズベルト少佐の時は比べ物にならないほど膨大である。フランクが腕を振り上げるとドローンたちは隊列を取るようにしてダニーを取り囲んだ。
「どうだ?あの掃討作戦のときを思い出すだろう?お気づきの通り、あのドローン共を遠隔操作していたのも我々キングスカンパニーだったのだよ。君ら海兵隊は私の義体や商品たちを改良するためのいい実験台になってくれた。心より感謝するよ」
「チッ、何処までも性根の腐った野郎だ…!」
フランクがダニーに対して嘲笑する。ダニーは眉をひそめつつ、打開策を練った。ルーズベルト少佐のときは…クラスター爆弾だった。だが、此処は上空とはいえ、ロサンゼルスのど真ん中。だとすれば…
ダニーは背中から小型の電触装置を露出させ、自身の周りに電磁波を送り出した。フランクはダニーの様子を嘲笑い、ドローンたちに一斉攻撃を指示する。
ドローンたちは一気にダニーに体当たりを仕掛け、自爆した。凄まじい爆風と轟音と閃光がロサンゼルスの上空を包む。スクリーンの向こうで見ている人々もミス・ジェーンも、この光景を茫然自失で眺めている。
「ダ、ダニー…!」
天井が崩れた社長室の中でミス・ジェーンが悲痛な叫びを上げた。フランクは余裕綽々で自身の前にスクリーンを呼び出し、ドローンたちの自爆攻撃の様子を中継する。
「見たかね?スクリーンの前の諸君。これがキングスカンパニーの「王」たる私の力なのだよ。逆らうものは何人足りとも容赦はしない。私の前に永遠に這いつくばらせてやろう」
フランクは高笑いを続けるが、ドローンの自爆攻撃の煙が晴れると驚愕して目を見開いた。煙の先に自身の周囲にバリアを張ったダニーがいたからである。
「ダニー!バリアが効いたのね!!」
様子を見ていたミス・ジェーンはダニーの無事に喜びを爆発させた。一方のフランクは実に不愉快そうにダニーを睨み付ける。
「貴様…無駄な足掻きかと思いきや、こんな小細工を用意していたとはな…」
「はあ…はあ…もう少しドローンの数が多かったら危なかったがな。何とか防いでやったぞ、フランク!」
ダニーはバリアを切るとレーザーブレードを射出してフランクへと突進した。ガシィイン、という豪快な音ともにフランクの義体の胸に深い傷が付いた。攻撃をまともに受けたフランクの表情が強く歪む。
「もういっちょお!!!」
ダニーがジェットパックで旋回して二撃目を加えようとしたとき、フランクの義体の傷口からケーブルが何処からともなく延びてきた。ケーブルが瞬く間に傷口を塞ぐと、今度はメタリックのコーティングが自動的に傷を隠してあっという間に元の姿に戻った。
「何!?自己再生能力を標準装備しているだと!?」
ダニーはフランクの義体のスピード再生に動揺しつつ、レーザーブレードの二撃目を腹部に向けた。が、しかし…
「き、斬れない…?さっきは確かにクリーンヒットしたのに…!」
ダニーの二撃目はフランクの腹部を確かに斬ったものの、義体にはかすり傷一つすら付いていなかった。ダニーは想定外の出来事に焦り出す。ダニーの慌てようを見てフランクは自慢気に自身の義体を叩いた。
「残念だったな、ダニー。この義体は完璧なのだ。さっきの貴様の攻撃を受けたとき、武器のダメージの深さを解析してデータをサーバに送り込んだのだ。そしてダメージの修復時に解析したデータをフィードバックして義体をより強化することが出来たのだよ。つまり!ダメージを受ければ受けるほど、私はより強く完璧な存在となるのだ!」
「マジかよ…そんな反則技アリなのかよ…」
ダニーは得意満面のフランクに対して思わずぼやいた。




