その4
「ぐっ…先代の小娘が…何処までも邪魔な女だ」
「フン、私はキングスカンパニーの経営とかこれっぽっちも興味が無かったのに、勝手に恐れを抱いて排除したのは誰かしら?結局こういう事態を招いたのはフランク、貴方自身なのよ」
「黙れ!!小娘!!!」
フランクの怒号が会場内に響き渡る。突然のフランクの豹変振りに参加者は皆静まり返った。フランクはハッと我に返り必死に笑顔を取り繕うが、既にフランクの本性を目の当たりにした参加者たちは一様に引いている。
「さて、フランク。貴方さっきからベラベラと好き勝手なことをいってくれてたわね。そろそろ私たちの言い分も皆様に聞いてもらおうかしら」
「何を言い出すかと思えば下らない。そんなもの証明出来るわけがないだろう」
フランクは鼻で笑ってミス・ジェーンを見下した。ミス・ジェーンはフランクの煽りを気にすることなく、持参した鞄の中からノートパソコンを取り出し起動した。その場で何やら操作をし始めると、突然周りがざわつき始めた。
「こ、これは…」
「「ウロボロスの終末」事件の真相…?」
「コンピュータウイルス…だと!?」
「「キングブレイカー」…?」
参加者たちがフランクの方を見ては、口々に不思議なことを喋り出す。フランクは参加者の様子がおかしいことに気付き、慌てて後ろを振り返った。
「な、な、な、何ぃぃ!!!」
フランクは背面のスクリーンを見るや大絶叫して腰を抜かした。キングスカンパニーが、いやフランクがこれまでひた隠しにしてきた「ウロボロスの終末」事件の真相やダニーらが参加した掃討作戦の裏側、そして「キングブレイカー」に関する情報がスクリーン一杯に大写しになっていたからである。
「小娘!何故貴様がこの情報を持っている!?」
「私だけの力じゃないわ。軍の情報収集力も嘗めないでもらいたいわね!」
「ぐっ…アジな真似をおおお!!!」
フランクは大急ぎでスタッフや取り巻きたちを呼びつけ、事態の収拾を謀ろうと命令した。その姿は端から見れば実に滑稽である。
「け、消せ!!今すぐスクリーンを消すんだ!」
「無駄よ。この映写装置は私がハッキングして操っているから其方の手で直ぐに消すことはできないわ」
キングスカンパニーにとって最大のタブーともいうべき機密情報が暴露されたことで会場内は更に大混乱に陥った。ダニーはミス・ジェーンを混乱する参加者たちから守るように人気のない方へと促す。
「ミス・ジェーン、大丈夫か?」
「ええ、ダニー。大成功よ。フランクがこれまで裏でやって来たことが完全に他の幹部や株主たちにバレたからね」
暴露された情報に激昂した参加者たちがフランクに詰め寄ろうとするが、取り巻きたちが必死に押さえようとする。そのときフランクが会場の混乱に紛れて逃走しようとしているのにダニーが気付いた。
「ミス・ジェーン、アイツ逃げる気だぞ!」
「直ぐに追いかけましょう!」
ダニーとミス・ジェーンは大混乱の会場から抜け出し、逃走を図るフランクを追った。途中警備員や取り巻きがダニーらの行く手を阻んだが、ダニーは右腕のレーザーブレードでアッサリと撃退し、更に先へと進んでいく。二人がエレベーターに乗り込むと、フランクが本社タワービルの最上階へと逃走しているのが見えた。
「一体何処へいく気なんだ?」
「この先にあるのは…」
ダニーとミス・ジェーンが辿り着いたのはキングスカンパニーの最上階にある社長室であった。年季の入った社長室の木の扉が不気味に佇む。
ダニーはゴクリと唾を飲み込むと左腕のパルスキャノンで扉を破壊し、社長室へと侵入した。フランクは息を弾ませながら、社長の椅子の前でレーザーピストルを二人に構えている。
「追い駆けっこはもう終わりだぜ、社長さん」
「貴様…どうやらルーズベルト少佐が始末し損ねた海兵隊の下っ端のようだな…くたばり損ないの下等生物が…貴様もアレックス・ローと同じように地面に這いつくばっていれば楽なものを…」
「随分言ってくれるじゃねえか。散々色んな人の人生を弄んできた癖によ。あんた何様のつもりだ!」
「フランク、もう貴方に味方する人はいないわ。年貢の納め時よ。いい加減腹を括りなさい!」
ダニーは左腕のパルスキャノンをフランクに向け、ミス・ジェーンと共に対峙した。




