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キングブレイカー  作者: 43番
第一章 ダニーとウロボロスの終末
8/97

その8

ほぼ会話メインです。

「おお、そうだ。肝心なことを忘れてた。自己紹介がまだだったね」



 黒猫が横たわるダニーの顔をまじまじと覗きこみながら、話を続ける。



「私はATX-VS5800747258、2025年製。対自動遠隔兵器用迎撃システム、所謂AIというやつだ。型式は古いが、一応現役で稼働している。

 ちなみにこの体は端末の一つに過ぎないが、猫型のアンドロイドってやつは何かと隠密活動に便利でね。重宝させていただいているよ」


  (ATX-VS…なんだって?AI?それに猫型のロボットだと?おいおい、まるで日本のコミックの『ド……』)


「おっと、私は未来から来た丸くて青いタヌキでもないし、不思議なポケットも持ってない」


(悪かったよ、冗談だ)


「冗談を言えるほど回復しているなら良かったよ。さあ、今度は君の番だ。あっ、隠し事しようとしても思考を読み取っているから無駄だよ」


(はあ…隠し事できないなら仕方ない。俺はダニー・マードック。合衆国海兵隊…だった。階級は3等准尉。テロリスト集団「ウロボロスの終末」掃討作戦のため、最新鋭のパワードスーツを装着し、任務にあたっていた。

 だが、連中の罠に嵌まって戦友を失った上、司令部から情報漏洩させた裏切り者として命を狙われる羽目になった。必死に逃げる内に撃墜され、気付いたら此処にいた。…以上だ)


  「なるほど今の君の状況はよく分かったよ。ところで君の戦友とやらは作戦が終わったら結婚とかプロポーズとかいってなかったかい?」


(はあ??なぜそれを知ってる?)


「あー、残念ながらテンプレ通りのフラグを建てちゃったのね」


(今言うことか?それに死んだやつのことを茶化さないでくれ)


「すまない、つい口が過ぎてしまったね。気を取り直して君は今回の作戦についてどう思っている?最初仕組まれたものと考えている?」


(さあな、よく分からない。ただ俺は無実だ、何者かに嵌められた。司令部とテロリスト集団の間で内通者がいるのではないかと俺は疑っている)


「確かに裏で何者かが糸を引いているのは間違いなさそうだね。君は運悪くスケープゴートにされたわけだ」


(なあ、なぜ俺を助けた?)


「まー、話せば長くなるんだけど、時間はあるからいいか。実は私は君たち海兵隊のテロリスト集団掃討作戦のことについて知っていたんだ。そして君らが辿った経緯の一部始終も把握している」


(何!!?この掃討作戦を知っていただと?一部の人間しか知らない極秘作戦のはずなのに…)


「言い方は悪いが、ハッキングさせてもらったよ。私の本体はAIなんでね、幾ら海兵隊司令部の情報セキュリティが強固だろうと多少時間を掛ければ突破はわけないさ」


(何て野郎だ…まさか…知っていたというなら、お前がこの事態を仕組んだのか?!)


「そんな訳ないだろう。それなら君に罪を被せたままとっくに見殺しにしているよ。裏切り者をわざわざ助けること自体非常にリスキーだしね」


(じゃ、どういうことなんだ…お前の目的は何なんだ。俺を助けるのはどうして…)


「いうなれば私も君と同じであらぬ罪を被せられたんだよ。だから何としても真実を求めたかった。「ウロボロスの終末」の正体ってやつをね」



  「ウロボロスの終末」…国際的なテロリスト集団で名前こそ知れ渡っているが、その実態は未だ不明である。中心人物はおろか幹部やメンバー、規模さえも掴みきれていない。

 今回の作戦は海兵隊司令部から情報のみが頼りであり、その情報を基に隊が編成され、ダニーが選ばれたのだ。



「「ウロボロスの終末」が有名になった事件が数年前にあっただろう。覚えているかい?」


(ああ、勿論だ。今から三年前の2047年12月25日のクリスマスの夜、全米各地のあちこちに普及し、設置されていた警備用のドローン達を司っていたAIが何者かにハッキングされて突如暴走し、一斉に爆発する事件が起きた。

 多くの市民が巻き込まれた多数の死傷者を出す大惨事となった。この事件の二日後にマスコミ各所に犯行声明を出したのが「ウロボロスの終末」だった、な)


「その通り。この事件は私にとっても忌まわしいのだよ。なぜなら…」


(どうした?)


「この事件でハッキングされてしまったAIこそがこの私なのだからね」

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