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キングブレイカー  作者: 43番
第五章 彼女の嘘と王国からの招待状
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その2

 ダニーらの拠点に海兵隊の一団が到着した。ミス・ジェーンの案内でルーズベルト少佐の所へ通される。一団がルーズベルト少佐の無事を確認したことで改めてダニーらと海兵隊の共闘体制が敷かれることになり、その場で協定が結ばれた。


 ルーズベルト少佐は直ぐに治療の為、軍の病院に移送されることになった。ダニーとナターシャも参加の上、共闘の握手を一団の代表である大佐と交わした。


 まず行われたのは互いが入手しているキングスカンパニーの所業における確証等の情報交換だった。特にミス・ジェーンが切り出した「キングブレイカー」の存在は海兵隊にとっても大きな衝撃を与えることになった。



「「キングブレイカー」…まさかそんなコンピュータウイルスがこの世に存在するなんて…」


「「ウロボロスの終末」事件の真相が「キングブレイカー」によるものだとしたらキングスカンパニーにとっては最大級の不祥事だ…確かに奴等が揉み消しに走ったのも納得できる…」


「しかし、この「キングブレイカー」をキングスカンパニーは何故作ったのだ?こんな危険極まりないものを隠蔽していたというのか?」


「それに貴君らが狙われたのは何故だ?他にも反キングスカンパニーの団体は多数いるだろうに私設軍や海兵隊まで投入するとは穏やかではないが…」



 海兵隊側から矢継ぎ早に意見や質問が飛ぶ。それらに対してミス・ジェーンは冷静に対応した。



「皆様、「キングブレイカー」の効力や危険性はご承知頂けたかと思います。この度キングスカンパニー並びに軍の上層部が我々を狙った大きな理由がこの「キングブレイカー」の奪還です」



 ミス・ジェーンの発言に海兵隊側がどよめいた。「キングブレイカー」が正にこの場に存在することを告白したからである。



「失礼…ミス・ジェーン…それは真か?」


「はい、嘘偽りはございません」


「では何故そいつを葬らない?正に世界のパワーバランスをも揺るがしかねないのだぞ?」


「私どもがこの「キングブレイカー」を所有している最大の理由はこれこそがキングスカンパニー打倒の切り札と成り得るからです。恐らくCEOのフランク・フリーマンにとっても「キングブレイカー」が存在することはあってはならないのでしょう。何故なら彼が推進する研究にとっては大きな枷になるからです」



 ミス・ジェーンの説明を海兵隊の一団は黙って聞き入っている。ミス・ジェーンはここで核心を突くように説明を続けた。



「CEOのフランクは人の意識をAIに移植し、擬似的に不老不死を実現しようと研究を進めております。しかしそれは研究者の間では既に禁忌として封印されたもの。今、この研究を進めるにあたって何かしら意図があるのでは、と考えております」


「人の意識を、移植だと?!」



 海兵隊の一団がざわめき出した。そこへひょっこりと机に一匹の黒猫が飛び乗ってきた。



「そもそも「キングブレイカー」はその研究を進める過程で偶発的に生まれたものなのだそうだよ。フランクは公になることを恐れて「ウロボロスの終末」なる架空のテロリスト集団をでっち上げてお宅ら海兵隊や軍を利用してこの事実を揉み消したんだろうね」



 突然の喋る黒猫(Mr.ウルヴァリン)の登場に会議の参加者全員が面食らった。ミス・ジェーンは動揺する参加者を宥めてMr.ウルヴァリンに冷たい視線を送る。



「いきなり出てきて発言するのは辞めてちょうだい」


「いいじゃないか。そもそも「キングブレイカー」を託されたのは私なんだよ?」


「だとしても私から説明させてちょうだい」



 やれやれという表情を見せてMr.ウルヴァリンは机から降りた。ミス・ジェーンは気を取り直して説明を続けた。



「失礼しました。皆様、「キングブレイカー」のことなのですが、実は我々の手元にあるものは未完成なのです」


「どういうことなのだ?」


「兵器と使用できるには持続時間が余りにも短く、十分な効力を発揮出来ないというものです。私の方で開発者が残したデータを元に解析を続けているのですが、コードが特殊でまだ完成の目処が立っておりません。せめて情報関係のエキスパートが数十名居なければ、という状況です」


「それはつまり、「キングブレイカー」を完成させてキングスカンパニーが秘密裏に進めている研究を阻止するということなのか?」


「ご名答。キングスカンパニーの研究がどれ程進んでいるのか定かではありませんが、彼等が我々を狙ってきた以上、焦っているのかもしれません」


「し、しかし我々海兵隊に一体どうしろと……」


「ルーズベルト少佐から海兵隊情報部の優秀さを伺っております。是非とも私共と「キングブレイカー」の解析をお願いいただきたい」



 ミス・ジェーンからの大胆な提案に海兵隊の一団は度肝を抜かれた。

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