その17
「サイクロップス君!」
メカコング姿のMr.ウルヴァリンがダニーとルーズベルト少佐の前に現れた。ダニーは左腕を挙げてMr.ウルヴァリンの呼び掛けに応じる。満身創痍ではあるものの、お互い生き延びたことを称える。Mr.ウルヴァリンはダニーと戦ったルーズベルト少佐がまだ生きていることに気付いた。
「サイクロップス君。アイアンモンガーの彼はいいのか…?」
「ああ、もう大丈夫だ…終わったよ。Mr.ウルヴァリン、頼みがあるんだ…」
「何だい?」
「そこのパワードスーツにいる、少佐を一緒に連れていってほしいんだ。彼は…俺との戦いで瀕死の状態だ…何とかして助けてほしい」
「うーむ…サイクロップス君がそこまでいうならだが、私もエネルギーが結構ギリギリでね。移動先まで持つか正直危ういんだ」
Mr.ウルヴァリンが悩ましげに腕を組んだ。その動きは確かにぎこちない。Mr.ウルヴァリンの体の稼働時間もリミットが迫っているようである。
「おい、ちょっと待て……何を勝手に話を、進めているんだ…」
ダニーたちが話を進めている横からルーズベルト少佐が弱々しい声で話し掛けてきた。二人で揃って不服そうに顔を歪めるルーズベルト少佐の方を見る。
「アイアンモンガー君、その傷のまま此処に残っていたら死んでしまうよ。意地はらずに我々と来たまえよ」
「ぐぅ……誰が…アイアンモンガーだ……メカゴリラに言われる筋合いは、ない…」
「うむ、確かに。失礼、アイアンモンガーよりもキングピンの方が今の君には似合うな」
「そういう意味ではない!!……ゲホゲホ……」
Mr.ウルヴァリンに声を荒げたルーズベルト少佐が苦しそうに咳き込む。ダニーは慌ててルーズベルト少佐を宥めた。
「…アーノルド、彼のことは気にするな。こういう奴なんだ」
「サイクロップス君、こういう奴とは失礼だなぁ」
Mr.ウルヴァリンはダニーの発言に拗ねた。ダニーは気にすることなく、ルーズベルト少佐をパワードスーツから降ろそうとする。
「アーノルド、ベルトは外せるか?」
「う、ううううむ…ああ。すまない……」
ダニーはベルトを外したルーズベルト少佐を左肩に抱えるようにしてパワードスーツから降ろした。ルーズベルト少佐は腹を括ったのか大人しくダニーの誘導に従った。ダニーはルーズベルト少佐を地面に丁寧に横たわらせてMr.ウルヴァリンに相談する。
「さて、と問題はここからだな。Mr.ウルヴァリン、我々を拠点まで連れていけそうか?」
「さっきもいった通りなんだが、途中でエネルギーが切れる可能性大だから難しいかもしれない。とにかく今はストームたちが来るのを待つしかないかな」
「…しかし、急を要する事態だ。何とかして少佐を治療しないと…」
その時、ダニーとMr.ウルヴァリンの後方から激しいプロペラの轟音と風圧が迫ってきた。ダニーが驚いて振り返るとそこには巨大なホバークラフトの影が見えた。ダニーは思わず腰を抜かしそうになる。
「なっ、!?まさか敵襲か!!」
動揺するダニーに対してMr.ウルヴァリンは動じることなく、冷静にホバークラフトの動きを見ていた。
「いや、大丈夫。どうやら我々は助かったようだよ、サイクロップス君」
Mr.ウルヴァリンがそういうとホバークラフトの操縦席から見覚えのある女性が顔を覗かせ、ダニーとMr.ウルヴァリンに向かって手を振ってきた。




