その14
ダニーとルーズベルト少佐の死闘が決するのとほぼ同時にMr.ウルヴァリンはキングスカンパニーの増援部隊と対峙していた。
ダニーと目視で確認した通り、増援はオスプレイを中心とした航空部隊と砲兵を搭載した装甲車輌部隊で構成されている。
一つ一つは大したことは無さそうだが、如何せん数が多いことに加えてMr.ウルヴァリンの義体のエネルギーの残量が心もとない。長期戦になれば、苦戦を強いられることは容易に想像できた。
オマケにルーズベルト少佐が連れてきたドローンたちも背後に控えている。ダニーがルーズベルト少佐の一団との対決を買って出ているとはいえ、全て殲滅できるかは不透明だ。
「どうやら、こちらの旗色はかなり悪そうだな…」
Mr.ウルヴァリンが珍しく弱音を吐いた。しかし、気を取り直して増援部隊に向けてゆっくりと歩を進める。その姿はさながら怪獣映画やキングコングのワンシーンのようである。
「とにかくこの体が動けなくなるまでやるしかないか!」
Mr.ウルヴァリンはオスプレイや砲兵の一斉攻撃を受けつつも強引に突っ込み、車輌や機体を確実に破壊していく。体が傷つくことはほとんど無いものの先発隊との戦闘に比べて明らかに動きが鈍り出した。振り上げる腕の動きがぎこちない。それでも増援部隊の攻撃の手は緩むことなく続く。
「くっ、視界までボヤけ始めたか。そろそろこの体のエネルギーも限界か」
Mr.ウルヴァリンがエネルギーの残量を確認しようとすると、背後から大量の移動音が聞こえてきた。振り返るとダニーの相手をしていたドローンたちが此方へと向かってくる。
「まさか、サイクロップス君……!?」
Mr.ウルヴァリンはぎこちない動きのまま増援部隊に応戦するが、さすがにドローンたちまで相手に出来る余裕はない。正に万事休す。
と思われたとき、Mr.ウルヴァリンが予想だにしないことが起きた。向かってきた大量のドローンたちはMr.ウルヴァリンの横を通り過ぎ、キングスカンパニーの増援部隊に向けて一斉に自爆攻撃を仕掛けてきたのである。
「?!!!どういうことだ!?」
ドローンのAIの誤作動か?しかしMr.ウルヴァリンが動揺している以上にキングスカンパニーの増援部隊は大混乱に陥っていた。味方であるはずのドローンたちが突如として自分達に牙を剥いたからである。
Mr.ウルヴァリンが思わぬ加勢に呆然としている内にキングスカンパニーの増援部隊はほぼ壊滅状態にまで追い込まれていた。あちこちに爆発と黒煙が上がり、車輌やオスプレイの残骸がドローンの破片と共に散らばっている。
「一体…どうなっているんだ…?」
Mr.ウルヴァリンは我に返るとダニーとルーズベルト少佐の交戦していた場所に目を向けた。ダニーとルーズベルト少佐のパワードスーツは地上に落下しており、両者とも倒れるように沈黙している。
「サイクロップス君!!」
Mr.ウルヴァリンが地面に臥したダニーに向かって叫んだ。




