その12
「ダニー、貴様!いつの間に!」
ルーズベルト少佐がダニーの奇襲に驚愕していることに構わず、ダニーはパワードスーツの頸椎部分に集約されているスーツの燃料ケーブルや電子回路、稼働用のケーブルをレーザーブレードで切断していく。
ダニーの猛攻で操縦席の制御が徐々に効かなくなり、慌ててルーズベルト少佐はアームで背中にいるダニーを捕らえようとする。が、ダニーは何とかパワードスーツにしがみつきながらアームの動きを掻い潜った。
「どうした、アーノルド?ドローンたちを仕掛けてこないのか?」
「ぬうううう…アジな真似を!ドローンを仕掛けたら私もダメージを受けることを知った上での攻撃か!!」
ダニーは尚もパワードスーツの制御を奪うべく攻撃を止めない。が、しかし突然スーツの頭部がグルリと180°回転してダニーの方にカメラが向いた。
「見つけたぞ!ダニー・マードック!!」
「やれるもんならやってみろよ、アーノルド!!出来るもんならな!!」
ダニーがパワードスーツのカメラ越しにルーズベルト少佐を挑発する。と、その時スーツの頭部のレンズアイからレーザー光線が発射され、ダニーの右腕を貫通した。
レーザーを受けたダニーの右腕は溶解し、レーザーブレードごと根元から落ちてしまった。突然の出来事にダニーは動揺を隠せない。
「何!!!」
「フン、残念だったな。隠し玉はここぞと言うときに取っておくものだ」
レーザーブレードを失い、愕然とするダニーの左足をパワードスーツのアームが掴んだ。アームはジリジリと力を加えていき、ダニーの左足に亀裂が入る。激しい火花が散り、左足のジェットパックの出力がストップしてしまった。
「しまった!!武器と機動力が……」
「形勢逆転だな、ダニー」
ルーズベルト少佐は勝ち誇ったようにダニーを振り回し、地面に向けて叩きつけるように放り投げた。ダニーは放り投げられる寸前に左腕のパルスキャノンをパワードスーツの頭部目掛けて撃ち込む。キャノンの弾は見事に命中し、パワードスーツの頭部は吹き飛んだ。
「貴様!まだ足掻くか!」
ダニーは体勢を何とか立て直し、残った右足のジェットパックの最大出力でギリギリ着陸に成功した。しかし機動力も半減し、肝心の武器もパルスキャノンの数発のみしか残っていない満身創痍の状態である。
対してルーズベルト少佐はパワードスーツの頭部と一部の制御を失いはしたものの、依然として武器や機動力は余裕を維持していた。
「これは……腹を括るしかないか……」
顔を歪めるダニーの前にルーズベルト少佐のパワードスーツが着陸した。頭部のカメラを破壊された為、操縦席を開き、直接顔を覗かせている。
「ダニー・マードック……貴様の悪運もどうやらここまでのようだな」
ルーズベルト少佐が両腕のバルカン砲をダニーに向けて構えた。
「いや、まだだ。アーノルド……あんた言ってたよな……隠し玉はここぞと言うときに取っておくって…な」
ダニーは残る左腕のパルスキャノンをルーズベルト少佐のパワードスーツに向けた。




