その5
キングスカンパニーの私設軍は自動小銃を装備した歩兵部隊と戦車部隊で構成され、指揮官がそれぞれ就いていた。コマンダーは先鋒であった忍者部隊が壊滅しているのを見ると心底驚いた様子を見せたが、気を取り直して兵士たちに合図を送った。
歩兵たちは一斉に銃をダニーらに向け、戦車部隊も砲身を拠点の建物に合わせる。ダニーは兵士たちの動きを見て両腕で防御する構えを取った。
「ナターシャ!ミス・ジェーン!一旦建物の影に隠れるんだ!さすがに銃相手じゃ分が悪い!」
「ダニーはどうするんだ!?」
「心配ない、銃ごときで倒れる俺じゃない!」
ダニーは後ろを振り返り、二人に避難を促した。ナターシャは心配そうな表情をしたが、ミス・ジェーンに押されて建物の中に入った。コマンダーが射撃用意の構えを見せる。
「一気に行くぞ!!」
ダニーは両足のジェットパックを最大出力し、自動小銃を構える兵士たちに突っ込んだ。引き金を引くよりも速いスピードに驚いた兵士たちは慌てて照準をダニーに合わせようとするが、ダニーは両肩に内蔵された小型のクラスター爆弾を兵士たちの周囲に射出した。
「これは!!!?まずい、全員散れ!!」
コマンダーが慌てて退避指示を出すが、クラスター爆弾は地面に着弾したと同時に大爆発を起こした。轟音と豪炎に包まれ、拠点周辺は一気に火の海と化した。
先発の歩兵部隊が壊滅状態に陥ったのを確認したダニーは続けて戦車部隊に向けて空からパルスキャノンを発射した。パルスキャノンの弾は戦車に直撃したものの、装甲がやや凹んだだけだった。
「チッ、堅すぎる!一発じゃ効いてないか!」
ダニーが再びパルスキャノンを構えようとすると、別の戦車から砲弾が飛んできた。ダニーは慌てて回避したが、その隙に別の戦車が拠点に向けて砲弾を撃ち込もうと構えるのが見えた。
「まずい!ナターシャ、ミス・ジェーン!」
ダニーが二人に向けて叫ぶと突然地鳴りのような音が辺りに響き出し、地面が揺れ始めた。攻撃を加えようとした戦車部隊も地響きで制御が取れないのか右往左往している。
地鳴りが徐々に大きくなると、地面にひび割れが起こり巨大な機械の塊が地上に飛び出した。地割れの影響で戦車部隊は動きを封じられ、立ち往生している。
「何だ……あれは…?!」
ダニーは思わず言葉を失った。先ほど地上に現れた巨大な機械の塊は巨像のように悠然と立っていたからである。その姿はまるで……
「……キ、キングコング……?いや全身が機械の、所謂メカコングって、奴か?!一体何でこんなのがいるんだ……!??」
ダニーが突然のメカコングの乱入に呆然としていると立ち往生していた戦車部隊が再び動き出した。拠点の出入口の方では先ほどのメカコングの登場で驚いたナターシャがミス・ジェーンと共に顔を覗かせた。ナターシャもダニーと同様にこの光景に唖然としている。
「な、何だありゃ……?これもキングスカンパニーが出した新手の兵器か?!」
呆気に取られる二人を尻目にミス・ジェーンは冷静にメカコングの様子を眺めた。そして手にした小型の無線機のようなものに話し掛けた。
「随分遅かったわね、Mr.ウルヴァリン」
Mr.ウルヴァリンと呼ばれたメカコングがミス・ジェーンの方向を向いて頭を掻くような仕草を取った。
「「ミ、Mr.ウルヴァリンだとぉ!!!?」」
ダニーとナターシャがほぼ同時に絶叫した。




