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キングブレイカー  作者: 43番
第四章 トライ・アングル
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その4

 ナターシャの叫びと共に忍者部隊が一斉に動き出した。ナターシャとダニーは近接で忍者たちに応戦し、ミス・ジェーンは一歩引いてレーザーピストルで援護する。ナターシャは向かって来た忍者を一人一人確実に斬り捨て、ダニーも負けじとレーザーブレードで忍者たちを斬っていく。


 忍者たちはナターシャとダニーに気迫に押されていき、徐々に後退し始めていた。しかし二人は構うことなく、退路を確保すべく出入口の方へ突っ込んでいく。

 気が付くと二人の通り過ぎた後には忍者たちの死体の山が築かれていた。そしてついに拠点の外へと二人は飛び出た。



「ダニー、何人くらい仕留めた?」


「10…いや20人くらいか。途中から数えるの諦めた」


「あたしもさ」



「ブラッディ・レイン」の名に恥じないナターシャの戦いっぷりにダニーも思わず苦笑する。何とか退路は確保した、と思っていたが…



「この忍者たち、まだ居るのか!?」


「ダニー、その後ろにも何かいるみたいだぞ」


「何!?」



 拠点の外には侵入してきた数以上に忍者部隊が待ち構えていた。更にナターシャの言うように、遥か後方にも自動小銃を構えた歩兵や戦車部隊が見える。やや遅れて外へ出てきたミス・ジェーンが双眼鏡で後方の戦車部隊を観察すると驚いた表情を浮かべた。



「……あれはキングスカンパニーのロゴマーク……!私たちを始末する為に私設軍まで投入してきたわね!」


「キングスカンパニーは私設軍まで保有しているのか?」


「さすが世界一の大企業と言われるだけのことはあるわね。でもその程度で臆するような私たちじゃないわ」



 ミス・ジェーンが強い口調と真剣な表情でダニーとナターシャに同意を求める。



「…その通りだ」


「ああ、あたしの相手はこんな奴等じゃない。これ以上邪魔する奴は容赦しないよ!」


「本当に頼もしい味方ね」



 ミス・ジェーンが微笑みながらレーザーピストルのエネルギーを充填した。キングスカンパニーの私設軍が迫って来てはいるが、その前に始末すべき対象がいる。



「此処にいる忍者部隊は全員蹴散らす」



 ダニーは左腕からパルスキャノンを出し、両足のジェットパックを起動した。ナターシャも日本刀の血糊を払い、忍者部隊に向けて構えた。



「俺が忍者部隊に突っ込むからナターシャは後から残った奴等を始末してくれ」


「…メインに向けての体力温存って訳か。それならやってやるよ!」



 ダニーはニヤリと笑い、此方へ向かってくる忍者部隊に向けてジェットパックを噴射した。ジェットパックによる体当たりの勢いのままに忍者部隊らは一気に吹き飛ばされ、追い討ちを掛けるようにダニーはパルスキャノンを発射する。

 爆発と風圧で視界が遮られる中、辛うじて生きて立ち上がった忍者も後から来たナターシャによって容赦なく斬り捨てられた。


 

「あとどのくらいだ?!」



 ダニーがパルスキャノンによる爆風が晴れるのを待っていると、出入口付近から悲鳴が聞こえてきた。慌ててダニーがジェットパックで戻ると、其処にはサザンカによって片腕を斬られた忍者によって首もとに刀を突き付けられているミス・ジェーンの姿があった。



「チッ、人質とはな…」


「……ハッハッハ、随分と暴れてくれたじゃないか。お二人さん」


「ダニー……私のことは構わないで。こうなることは覚悟の上だわ」


「ミス・ジェーン……」


「おい!この女の命が惜しければ大人しく武器を下ろせ!」



 ミス・ジェーンを人質に取った忍者からの脅迫にやむを得ず、ダニーはパルスキャノンとレーザーブレードを取り外して地面に置いた。ナターシャも異変に気づき、日本刀を地面に置く。二人が武器を捨てたのを見た忍者はニヤリと笑い、仲間たちに二人に襲い掛かるように目で合図した。



「実に残念ね……」


「ああ、お前もすぐに二人の後を追わせてやるよ」


「あら?その言葉そっくりお返しするわ」


「何だと!?ぐわっ!!!?」



 ミス・ジェーンを人質に取った忍者が悲鳴と共に後方へと倒れ込んだ。よく見るとミス・ジェーンの手首から細い電極のようなものが露出している。



「備えあれば憂いなし。人質を取って優位に立ったと思ったら油断大敵よ」



 人質からの反撃に驚いた忍者たちは思わず動きが止まる。その隙に直ぐ様武器を拾い直したダニーとナターシャは残りの忍者たちを迎撃し、あっさりと全滅へと追いやった。



「無事か!ミス・ジェーン?」


「ええ、心配いらないわ。至近距離で攻撃を受けた場合に備えて手首にスタンガンを仕込んでいたからね」


「ハハッ、全く恐れ入ったよ」



 ミス・ジェーンの無事にダニーは安堵したが、今度はナターシャの方を振り返った。ナターシャは少し息が上がっているのか両腕を震わせている。



「大丈夫か、ナターシャ?」


「はあ…はあ…はあ…大丈夫、だ」


「無理しすぎだぞ。まだサザンカや私設軍が残っている」


「……違うんだ、ダニー。なんと言うか……武者震いってやつなのかもしれない」


「えっ?」


「久しぶりの感覚なんだよ……あの「ブラッディ・レイン」に所属していた時の戦場で死線を掻い潜ってきた感覚……あたしは……もう一度あの頃に舞い戻っている……!」


「……ナターシャ……」


「心配するな……今日のあたしは絶好調さ」



 ナターシャの顔つきが歴戦の勇士そのものに変わっていることにダニーは気づいた。そして忍者部隊の全滅と入れ替わるようにキングスカンパニーの私設軍が拠点に到着した。

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