その3
Mr.ウルヴァリンの叫びとほぼ同時に換気孔の蓋が激しく開け放たれた。数人の黒い影と共に埃が混じった粉塵が部屋中に広がる。
しかしダニーとミス・ジェーンは臆することなく、部屋に飛び降りてきた影たちに攻撃を加えた。ダニーは左腕のパルスキャノン、ミス・ジェーンはピストル…だが、粉塵への引火を考慮してレーザーの出るタイプを浴びせた。
攻撃に当たった影たちは壁際まで吹き飛ばされたが、それでも構わず突っ込んできた者はダニーがレーザーブレードで容赦なく斬り捨てる。
ミス・ジェーンもダニーに援護すべく、侵入口となった換気孔に向けてレーザーピストルを構えて影の動きが見えた瞬間に迎撃していた。
「Mr.ウルヴァリン!ナターシャを呼んで!」
「よし来た!」
ミス・ジェーンの指示が出ると同時にMr.ウルヴァリンは隣の部屋に寝ているナターシャを急いで呼びに向かう。
次の瞬間、ダニーとミス・ジェーンの背後にある換気孔と拠点の出入口が開け放たれ複数名の忍者が乱入してきた。拠点は完全に侵入者たちに包囲されたようだ。
「ミス・ジェーン、そいつは弾切れしないのか?」
「弾はないけど、エネルギー補充タイプよ。安心して、エネルギーは目一杯残っているから」
「さすが」
ダニーとミス・ジェーンが背中合わせで会話する。死角がないように忍者たちの動きを観察する。
「10人ほど…といったところか」
「でもまだ隠れている可能性もあるわ。油断は禁物よ」
忍者たちが一斉に刀を抜き、二人に向けて襲い掛かってきた。ダニーとミス・ジェーンは咄嗟に身構える。
「来るぞ!ミス・ジェーン!」
ダニーが叫ぶとほぼ同時に隣の部屋から日本刀を持ったナターシャが飛び出し、横から忍者たちに斬り掛かった。不意打ちに動揺した忍者たちに構うことなく、ナターシャは一瞬にして三名ほど斬り捨てると、ダニーとミス・ジェーンの元に合流した。「ブラッディ・レイン」の登場に忍者たちも一旦下がって三人を取り囲むようにして身構える。
「すまない、寝坊した」
「いや、ナイスタイミングだ」
「元気そうで何よりね」
ダニーとミス・ジェーンが少し安堵の表情を見せる。そして三人で背中合わせになり、それぞれ忍者たちに武器を向けた。
「さて、とダニーは何人相手に出来る?」
「相手の数にも寄るが…20から30人くらいなら行けるかもな」
「ミス・ジェーンは?」
「このレーザーピストルのエネルギー次第だけど、良くてあと10人相手に出来るか、といったとこね」
「二人とも、それで十分だ」
ナターシャの日本刀を握る手に力が入る。だがダニーは一旦ナターシャの腕を掴み、逸る気持ちを制した。
「何だよ?」
「ナターシャは体力温存しろ。サザンカ狙いで行けといっただろ?」
「確かに。でもウォーミングアップはさせてくれよな」
ナターシャがダニーの腕を払い、ニヤリと口角を上げた。その様子をやれやれと言いたげにミス・ジェーンが眺める。
「お二人さん、イチャつくのは危機を脱してからにしてちょうだいね」
ダニーとナターシャは照れ臭そうに互いに別の方向を向くと、再び武器を忍者たちに向けた。
「さあ、遠慮はいらないよ。掛かってきな!」
ナターシャが忍者部隊に向かって叫んだ。




