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キングブレイカー  作者: 43番
第三章 彼女と彼女の仇と彼女の仇の影
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その16

「サポーターの調子はどう?ナターシャ」



 ミス・ジェーンが製造した四肢用のサポーターをナターシャが装着して手足の動きを試している。精密動作にややぎこちなさはあるものの、四肢が自由に動くことにナターシャは驚いた表情を見せた。



「……凄いよ、ミス・ジェーン。多少痛みと動きの制約こそあるけど、この短時間でここまで出来るなんて、あんたは本当に天才だな」


「お褒めの言葉、ありがとう」



 ナターシャの感嘆の声にミス・ジェーンが満更でもない笑みを浮かべた。その様子をダニーとMr.ウルヴァリンも満足気に見ている。



「流石はストーム。サラ・コナーも見事に治療してみせてくれたね」


「治癒力はあくまでもナターシャ個人によるものよ。私はサポーターを作っただけ」


「まあまあ、謙遜しないで。ねえ、サイクロップス君」


「いきなり俺に振らないでくれ」



 Mr.ウルヴァリンの横にいたダニーが若干困惑しながら、頭を掻いた。



「いいじゃないか。我々はとてもいいチームになったと思うんだ。確かにまだ味方は欲しいとこだが、サラとサイクロップス君が加わってくれたことは本当に頼もしい限りなんだ」


「ちょっと待ちなよ、ドラネコ。勝手に決めないでくれる?」



 Mr.ウルヴァリンの発言に歩行訓練中のナターシャが聞き捨てならないと横槍を入れた。



「ええっ!?さっきまでサイクロップス君といい感じに話していたじゃないか。てっきり打ち解けたものだと思ったんだけどね」


「……ドラネコ、あんたの味方になるとは一言もいってないよ。あたしは「ダニーの仲間」にならなるといったんだ」



 ナターシャの発言にダニーとミス・ジェーンが思わず目を丸くした。ナターシャも自身の発言に頬を赤くしている。その様子をMr.ウルヴァリンはニヤニヤしながら眺めた。



「ほほおー、サラ。君は中々大胆だなぁ」



 Mr.ウルヴァリンが茶々を入れた。ナターシャは先程の泣いていた姿をMr.ウルヴァリンに見られたことが恥ずかしかったのか、顔を更に真っ赤にしながらプルプル震えている。



「…Mr.ウルヴァリン、からかうのも大概にしなさい。人には見られたくないものもあるのよ」



 ミス・ジェーンがピシャリと嗜めた。ダニーはどうしていいか分からず、とりあえず頭を掻いて誤魔化した。



「ドラネコ………今度ふざけたことぬかしたら、ぶった斬って三枚下ろしにしてやる……!」



 ナターシャの目の奥に怒りの炎が浮かんだ。しかしMr.ウルヴァリンは意に返すことなく、ダニーとミス・ジェーンの方を向いた。



「我々は「チーム」だよね?」



 Mr.ウルヴァリンの発言にダニーとミス・ジェーンは顔を見合わせて、同時に頷いた。二人の同意を確認したMr.ウルヴァリンは今度ナターシャの方に顔を向けた。



「ではサラ、そういうことでよろしく」


「よろしくって、あんた…!」


「サイクロップス君は我々の仲間だ。君がサイクロップス君の仲間になるというなら、我々も君の仲間だよ。違うかね?」


「何だ……その屁理屈」


「まあまあ、味方は多い方がいい」


「どうも、騙されてる感が凄いんだが…」


 

 ナターシャは思わず頭を抱えた。しかしダニーが右手を差し出すと、やや頬に紅潮させてその手をゆっくり握り返した。



「改めて、よろしくナターシャ」


「ああ、よろしくダニー」



 Mr.ウルヴァリンとミス・ジェーンは感慨深げに二人の様子を眺めた。



「よし、ではそういうことで我々のチーム名は「アベンジャーズ」としよう」


「「「却下」」」



 Mr.ウルヴァリンの提案は満場一致で却下された。やや不服そうなMr.ウルヴァリンは放っておいて、ミス・ジェーンがこれまで得た情報をダニーとナターシャに共有した。



「キングブレイカー……?」


「それがこのドラネコの中にあるというのか?」


「ええ、キングスカンパニーを倒す上での切り札に為りうるかもしれないわ。ただ現時点ではいつ頃完成できるのか未知数ね……」


「でも、キングスカンパニーが良からぬ計画を起こそうとしている以上は余り時間を掛けられないんじゃないか?」


「奴等もあたし達を野放しにするほど、暢気に構えている訳ではなさそうだしな」


「そうね、いずれにしてもこれからが正念場よ。私たちも真正面からキングスカンパニーと戦う時が来た」



 ミス・ジェーンの言葉にダニー、ナターシャは息を飲んだ。お互いに腕に覚えがあるとはいえ、手負いの上にリハビリが必須の状況。何とかして戦える状態まで、体を整えなくてはならない。



「ようやく、俺達はスタートラインに立った、という訳か…」



 ダニーの言葉にナターシャは強く頷いた。

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