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キングブレイカー  作者: 43番
第三章 彼女と彼女の仇と彼女の仇の影
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その8

「誰かと思えば万年主任研究員のアレックスか。全くいつまで此処に留まる気だね?」


「それは勿論、私が死ぬ間際までに決まっているでしょう。やり手の貴方にしては珍しい愚問ですね、社長」


「フン、くたばり損ないのワーカホリックが」



 ローとフランクが互いに睨み合いながら皮肉を言い合う。不倶戴天ながら、互いにその実力を認め合う奇妙な関係でもある。ローは杖を突いてややよろけながら、フランクと司令官の側へ歩み寄っていく。



「この施設は本来私どもの研究施設のはずです。しかし最近このドローン製造ラインの所用面積が広がって来ており、研究施設を圧迫しています。正直我々研究員の処遇も含め、格差を感じるのですがどうお考えでしょう」


「君ら研究員の未知の研究への投資に対して今すぐ金になる製造ラインの構築の方が建設的だと思うのでね。少なくとも私は君らを冷遇しているつもりはないのだが、随分と恨まれたもんだ」



 フランクはローの訴えを嘲笑した。ローはフランクの態度について露骨に顔をしかめている。フランクはローの反応が愉快で堪らないのかローの元に行き、わざとらしく肩を叩いてにやけ面を浮かべた。



「アレックス、私だから死に損ないの君を雇い続けていることを忘れるなよ。恩人に楯突くのは御法度だ」


「恩人…ですか」



 ローは思わず「私にとっては仇敵ですよ」と声に出かかったが、何とか理性を保って堪えた。フランクはローの様子を観察しながら話を続ける。



「なあ、アレックス…君は一体何を企んでいる?」


「?何のことでしょう?」


「会社に黙って随分面白い研究をしているみたいだが、ぜひ私も知りたいもんだなぁ」


「何を根拠にそんな馬鹿げたことをおっしゃっているのか、さっぱり分かりませんな」



 笑顔で詰め寄るフランクに対してローはのらりくらりとはぐらかした。フランクはローの態度を見てこのまま続けても埒が明かないと考え、話題を変えることにした。



「ところでアレックス…そろそろ妻、ペニーの命日になる。せめて墓参りだけでもしてやってくれないか。昔のよしみとしてだが」


「……貴方に言われる筋合いはありません」



 ローは感情を露にしてフランクを睨み付けた。フランクはローが隙を見せたことに対して、心の中でガッツポーズした。



「まだ私を恨んでいるのか?ペニーが選んだのは私であり、ペニーの死はあくまでも不幸な事故だった。この件に関しては私も十二分に心を痛めている」


「私の前で良くもそんな都合のいいことが言えますね。全くもっておめでたい人だ」



 ローはフランクの挑発に乗るように感情のこもった皮肉をぶつけた。しかしフランクは堪えるどころか、ニヤニヤとローを煽る笑みを浮かべている。それが益々ローの神経を逆撫でした。そしてフランクはローに対して核心を突くような言葉をぶつけた。



「アレックス、君は私を誤解している。私は彼女を救うつもりで今の研究を推進している。なのに君は私の邪魔をしようとしている。君の作っているものも私にはお見通しなんだよ?」


「……な、何を一体…」


「さっき確かにペニーの死は不幸な事故といった。だがしかし、一つ私は嘘をついていた」


「嘘、ですと!?」



 ローは動揺の余り思わず杖を落とした。そして目を見開いてフランクの言葉を追った。ローのその表情を待っていたかのようにフランクは不気味に笑った。



「実はペニーは生きているんだよ。そして君が今まで行っていたことも全て把握出来ているんだ」


「な、な、………バカな!!?あり得ん!!」


「そうかな?君の作っているのは確か……キングブレイカー、とかいったかな?」



 フランクの言葉を耳にしたローの顔から一気に血の気が引いていった。

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