その4
野戦病院跡地はパワードスーツに身を包んだ海兵隊とドローン兵器を駆使したテロリスト集団との攻防で所々砲弾の跡でボロボロになっていた。たった数分の出来事ではあったが、戦闘の激しさを物語っている。テロリストとおぼしき面々は皆駆逐したということで作戦の方は無事に終了したようだ。
「少し苦戦したが、上々ってところか」
「いや何人か犠牲者を出しただろう。我々の完全な勝利ではないな」
生き残った海兵隊の面々が口々に話す。作戦の成功に安堵する者もいれば、テロリストの生き残りが居ないかを慎重に見極めるため気を張り続ける者もいる。そんな中、ダニーとライナスは勝利に酔うことなく、今の状況を怪訝な表情で眺めていた。
「なあ、ダニー…何か引っ掛かると思わないか?」
「ああ、確かに「ウロボロスの終末」は国際的なテロリスト集団だとは知っていたが、奴等の規模を考えるとこれほど大量のドローン兵器を用意できる潤沢な資金があるとは思えん」
「資金源をどこかに隠し持っているのか、或いはバックにパトロンのような協力者が存在するのか…」
「メンバーは全員排除したのか?」
「いや、正直奴等の情報は散発的でそもそも中心人物や幹部といったメンバーがどれだけいるかも曖昧だ。今は上層部からの情報を鵜呑みにするしかない」
「おいおい…何か雲を掴むような話だな…」
「とにかく俺たちはルーズベルト少佐に作戦完了の報告だ。ついでに奴等の資金源のことも併せて調査する必要がある。それから…」
と、ライナスがいいかけた時、突如跡地の地下から無数のドローン兵器が地上に飛び出てきた。ドローン兵器の登場に他の海兵隊員たちも皆一様に驚いている。
「馬鹿な!奴等は全員排除したはずだ!」
「AIか?まだどこかに隠されているというのか?」
「まずいぞ。罠かもしれん…」
「誰なんだ!?操っているのは!」
「司令部、応答してくれ!ドローン兵器の襲来だ!至急援軍を!」
隊員たちは皆口々に警戒と動揺の言葉をこぼすとドローン兵器たちに銃口を向けた。気が付くとダニーを含めた海兵隊員全員の周りをドローン兵器たちが取り囲んでいた。
「一斉に撃つぞ!」
「背後を取られるな!後ろ向きに円陣を組むんだ!」
海兵隊員たちは互い背を向けるように円陣を組み、ドローン兵器たちの動きを見据えた。手持ちの武器の残弾数とパワードスーツの耐久性を信じつつ、射撃のタイミングを見計らう。
しばしの沈黙の後、ドローン兵器が一斉に海兵隊員たちに向かって突っ込んできた。
「撃てぇ!!!」
「畜生!こいつらどんだけ出てくるんだ?!」
「まずいぞ、残弾が…」
「構うな、全弾撃ち尽くすんだぁ!」
隊員たちの動揺を他所にドローン兵器は次々と現れてくる。激しいマズルフラッシュと轟音の中、一機、また一機とドローン兵器は打ち落としてされていくが、それでも海兵隊員たちの想像以上の物量で突っ込んでくる。不意打ちの体当たりを食らい、円陣が崩れたのをきっかけに完全に形勢を逆転されてしまった。
「ダニー、弾は残っているか!?」
「ダメだ!あともう少しで無くなる!」
「やむを得ん、全員一旦退避だ!」
残った隊員達がジェットパックを起動して跡地から脱出しようとしたとき、無数のドローン兵器たちが突然一斉に自爆を始めた。
「ダニー!!」
ドローン兵器の自爆を察したライナスがダニーに覆い被さるように突っ込んできた。次の瞬間バイザーの先が炎に包まれ、やがて何も見えなくなった。そして不気味なまでの静寂が辺りを覆った。




