局地地攻撃魔法
あれから更にゴーレムを製作し続ける。
3体、6体と増えて40体にもなってしまう。
ローランドの城の中庭に勢揃いしたゴーレムは、圧倒的な力を誇示している。
そんなゴーレムを遠くから見る兵士から様々な言葉が・・・
「なんとも鉄の巨人兵とは・・・恐れ入った」
「あの巨人兵は5メートルもあるぞ・・・あれならドラゴンでも倒せそうだ」
「いやいや、こっちの黒びかりした巨人の方が強そうだ」
もう好き勝手なことを言ってるぞ。
まあ、こっちも好き勝手に製作したので、ゴーレム隊には全く統一感はない。
ダーク隊長「領主さま、この巨人をここに置きっぱなしにするのですか・・・」
「仕方ないよ・・・郊外に連れ出すと目立つし、あの5メートルは絶対に門を壊さないと通れないからね」
ミランダ「カルエル様、これをどうするつもりですか・・・」
「どうしたものかな・・・この城を攻めて来たら撃退に使えるよね・・・ミランダはどう思う」
「わたしは、命令に従うだけです」
「そうか、しかし古代魔法国の知識の凄さに・・・今は迷うな・・・」
私は移動手段に、あそこで知った知識ですぐ使える方法を選んだ。
浮遊魔法の原理で浮遊魔法陣を3方向で展開する方法。
1方向は前進後退の移動、2方向は左右に移動、3方向は上下移動。
この3軸で自由に空を移動できる仕組みだ。
こんなにシンプルな方法とは思いもしなかった。
その応用を鳥型偵察具で試してみた。
もう鳥の動きでないが、慣れれば鳥が飛んでいるようにみせることは可能だ。
オッと操作を誤って凄い動きになったぞ。
それに移動速度がハンパない。
「領主さま、観測班が現場に到着したと報告がありました」
「観測場所に間違いなく到着したのか・・・そして誰も居ないことも確認したか・・・」
「誰も居ません!観測座標点も3度も確認しました。わたしとトムと2人で確認したので間違いありません」
「ご苦労!実験開始まで待ってくれ」
「了解しました」
鳥型偵察具が目的座標に到着。
そろそろ実験開始か・・・
局地攻撃魔法陣、この存在が獣人を恐怖させた魔法であった。
局地攻撃魔法陣自体を座標を入力して、スイッチを入れると発動する仕組みなっている。
1キロにおよぶ魔法攻撃が、瞬間的に発生して敵を殲滅させる。
別名【悪魔のささやき】と呼ばれ、魔法発動前「ジジジジジ・・・」と音がして止まると魔法が発動する。
魔力消費は、魔石1個を使いきって発動できるらしい。
鳥型偵察具で座標ポイントを確認。
みた感じは誰も居なそうだ。赤外線サーモグラフィで空から確認して見た。
やはり誰も居ない。あ!ウサギがキツネに追い駆けられているぞ。
しばし待つことする。1キロ外に逃げたようだな・・・
「カウント開始」
叔父上やナルタとミランダにダーク隊長と護衛達も一緒に別の大鏡で注目している。
ダークが通信話具にむかって数を数えだす「10・9・8・7・6・5・4・3・2・1・0」
しばらくして草原が白く光、その跡に1キロまでが黒く焦げ上がっていた。
消火隊も待機していたが、燃え広がる事はなかった。
しかし、その光景を見ていた人達には、それなりの衝撃があったようだ。
周りは静かで、重い空気がただよっている。
「次の局地攻撃魔法を開始するぞ」
ダーク隊長の反応がないぞ。
大鏡の前で真剣な顔で見とれたままだ。
「ダーク!はじめるぞ!」
ダーク「え!」
え!じゃないよ・・・【冷】の文字を押して【絶対零度】を発動させる。
大気を冷やし空気中の水分を一瞬で氷に変えてしまう。
その魔法陣の色は白だ。
黒く焦げた跡が真っ白に変わっている。
叔父上「これはこれで凄い攻撃手段だな。相手も何をされたか分からずにパニックになるだろう」
ナルタ「敵側も敵対表明をしたなら使っても何の問題はないと思います」
2人とも冷静すぎる判断を下してくれた。
私を来る時が来たら、使うしかないだろう・・・