結界具
サマヤ村襲撃事件を聞いて、サマヤ村へ急いで来た。
「犠牲者が出たそうだな。もっと用心をするべきだった」
「領主さまが悪い訳ではありません。悪いのはタミアン領のやつらです」
「そう言ってくれるのか・・・悪いが村の中心はどこか案内してくれるか・・・」
村長は、少し考え込んでから案内してくれた。
そこは、少し開けた場所だ。
サーチを発動して全体を調べる。
「この場所でいいだろう。ここに降ろしてくれ」
自走車が横付けすると、アームを操作して荷台の石柱を設置場所へ置いた。
「村長、このくぼみに魔石を置けば結界が張られ、誰も村には入れない仕組みだ」
「誰も入れない・・・」
「そうだ・・・誰も入れないし、誰も出れない」
それを聞いた子供が「そんなバカな・・・皆!行ってみようぜ」と走りだす。
大人たちは、そんな5人の後ろ姿を見送るしかない。
「村人が全員帰ったことを確認して、魔石を置けば2度と襲われることはないだろう。出たい時は、魔石を取れば結界は消えるから安心してくれ」
「ありがとう御座います・・・こんなことは言い難いのですが、設置したことで税が上がるのでは・・・」
「税を上げることはないよ。今は、また襲われるかもしれないから、そのための防御手段だよ。タミアン領には、しっかりと落し前をつける積もりだ」
子供2人が戻って来た。
「とうちゃん、本当に見えない壁で外に出れないよ」
「投石もダメだったよ」
「他の3人は・・・」
「何処まで壁があるか、壁を触りながら遊んでいるよ」
この石柱も昨日完成したばかりの結界魔法陣で、あと5つも石柱が残っている。
ここが終われば、アルカ村と砦に行き設置する予定だ。
アルカ村で石柱を建てた瞬間に、何やら騒がしい。
「村長、領主さま、大変です。ならず者と護衛官たちが村の入口で戦ってます」
「なんだと!朝、襲って1日も経ってないのに、またも襲ってきたのか・・・何人だ!」
「100人以上、いました」
状況が分からないまま結界は発動出来ないぞ。
下手したら護衛官数人を結界外に放り出す羽目に・・・
もう1時間もすれば夕暮れになるのに・・・
私は、自走車に乗り込み「出発だ!」と叫んだ。
キュキュキュッと自走車は走りだす。
入口に来た瞬間に戦いは終わっていて、護衛官は生き残りを尋問している。
「助けて下さい・・・お願いします」
「アルゼン隊長に命令されたのか・・・」
「なぜそれを・・・」
「お前らの仲間が全て白状したぞ。これは再確認だ。嘘をついたら痛い目にあうぞ」
「全て白状します。なので殺さないで下さい」
「生き残ったのは1人か・・・」
「こっちは5人しか居なかったので、過剰に攻撃してしまいました。申し訳ありません」
「それは仕方ないことだ。こちらには被害はないようだな」
「はい、この連射衝撃銃のおかげです。剣では勝ち目はなかったでしょう」
「あ!・・・・・・放電!」
木の上から人が落ちてきた。
「奴を捕まえろ!今は気絶しているが自決出来ないように猿轡をかませろ」
私は、鑑定結果で奴の正体を知った。
奴はアルア教団の悪事を働く部署の人間だった。
名はキール・アルマ
31歳
黒魔法の魔術師だ。
本来、魔法は呪文を唱えなくても発動できる。
しかし、それは本物の魔術師に弟子入りして修行するか、才能でしか無詠唱での発動は無理。
だから奴は、目覚めても口を塞いだ状態だと黒魔法で逃げることはないだろう。
城の地下でキールを尋問した。
精神支配でも中々てこずったのを覚えている。
なぜてこずったのか・・・それはケアの実の中毒者で、中毒症状がでるまで精神支配がきかなかった。
ケアの実をチラつかせて、全てを白状した。
ケアの実を食べる姿は、哀れでしかない。この男の寿命は、40歳だろう。
タミアン領のアルセン・タミアンの忠誠な部下2人を、病死のように見せて毒殺したことを・・・
それに裏組織と密約を結んでいるぞ。
盗みや殺人もありで、誘拐もしている極悪人でもある。
なにかとローランド領土に嫌がらせするのも、第2夫人アザルの弟ミザル・ダーラの命令であった。
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