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ロッドと衝撃銃



新たに作られた魔具工場で工場長と職人が見守る中、私は黙々と作業を始める。


コインの(なめ)らかな表面を小刀で「カリ、カリ、カリ」と魔法陣を刻み込んだ。

どこにどんなルーン文字が配置されるのか頭の中での設計図は出来上がっている。

だから簡単な作業だ。刻み終わった削りカスを「フーゥ」と吹飛ばす。


「中々な出来栄えだ」


その魔法陣にルーン液を慎重に流し込んでゆく。そして全魔法を染み込ませれば完成だ。

完成した途端に淡く光りだす。


出来立てのコインを職人に手渡す。


「こんなに小さくしないとダメですか・・・」


「ダメだよ。このルーペで頑張ってくれ」


職人はルーペで拡大して新たな設計図を書きあげる。


「そこは違うぞ。線の引き直しだ」


「ここですか・・・」


「そう、そこだ」


設計図を手本に職人は、魔法陣コインの製作に取り掛かる。


1工程班は、コイン製作班。


2工程班は、コインに魔法陣を刻み込む班。


3工程班は、ルーン液を流し込む班。


4工程班は、検査して品質保証をする班。


5工程は、私が全魔法を染み込ませる。


それを繰り返して50枚の魔法陣コインが出来上がった。



今度は木工所で無理に頼んで作ってもらった50本のロッド。

そのロッドの先端に魔法陣コインをギュギュギュとはめ込む。

そしてオリハルコンの球体も同じよにはめ込む。球体が外れないように金具で固定。


出来上がったのは【火のロッド】だ。


「今から火のロッドのテストをするよ。見たければ付いて来てもいいよ」


案の定、全員が試作テスト場に移動。





土壁には的がセットされていた。


「誰か試し撃ちをしたい者はいないか、ただし生活魔法のように少ない魔力が必要だ」


「わたしがやりましょう」


「工場長か・・・他には・・・」


「では工場長、頼むよ」


工場長が火のロッドを握り先端を的に向ける。


「呪文をとなえて魔力を流し込めばいいぞ」


そして決められた呪文をとなえた「ファイアショット」


10センチの火球が発射されて的から1メートル外れた。

それでも爆発が起きて的まで吹き飛ばす。


周りの職人からざわざわと驚きがわきあがる。


「工場長が、あんなに強力な火球を放てるなんて・・・」


工場長も信じられないように火のロッドを見る。


「工場長!今度はわたしにやらせて下さい」


「やりたいのか・・・」


受取った職人が「ファイアショット」と火球を放った。


的の真ん中に見事に命中。

工場長と同じように爆発が起きた。


「信じられない・・・あんな攻撃魔法ができるなんて」


「おいおい、そんなにロッドを振り回すな。危ないぞ」


「すいません。少し浮かれました」


「今度は俺が!」


皆が試し打ちに夢中だ。




私は、そんな光景を見て思いついた。

1人で工場に戻ってコソコソとロッド作成を始めた。

出来上がったのは、【火のロッド】の反対の【水のロッド】だ。


【水のロッド】は武器でなく火事などの災害に使用する消火用だ。


連続的に水が出るよう改造している。

持ち手を「カチッ」と回すと水は拡散して放水も可能だ。

これで消火活動も楽になるだろう。期待の持てそうな物ができたぞ。




次に取り掛かったのが、衝撃砲を小型にした衝撃銃。

たしか大昔に火薬を使った銃があったらしい。

私の記憶でも立って銃を撃つ絵だけだ。


衝撃砲は、帆船で活躍したので手軽に持ち運べる銃タイプが欲しいらしい。

兵士たちからダーク隊長へ依頼がいき。

ダーク隊長からナルタへ依頼がいった。


「領主さま、兵士が持ち運べる衝撃銃がいると言ってます」


そんな事を言われたら製作するしかない。

この衝撃銃は、衝撃砲と同じで魔石の魔力を糧として使用される。

つまり一般人でも使用可能なのだ。




アサン村から持って来た砂鉄をテーブルに「ザーァ」と出した。

手をかざして錬金術を施す。

空中に砂鉄が舞ってこねくり回す。順調に金属の(かたまり)へと変わってゆく。


衝撃を遠い距離まで飛ばすなら高速回転させて放つ必要があるな~。

ならば衝撃を保持する場所を回転させてしまえばいい。

直径2センチで長さ6センチの円柱を作った。

これを回転されるには、あ!そうだ磁石があった。

たしか磁石の反作用で回転させる技術があったぞ。たしか電気も必要だった。

これをこっちにつけて魔石の魔力を電気に交換して流した。


「グングン」と円柱が高速回転してるぞ。

その周りもおおい、放つ先の方向を決めるために細長い円柱も作って合体。

全体が長くなったな・・・脇に抱え込む物も作って合体させる。

今、まさに衝撃が高速回転してるぞ。

出口の穴を開けた途端に衝撃は撃ちだされた。

「パン」と乾いた音が響いた。


ああ、天井に穴が開いたぞ。

銃が穴が開いたままだとこの銃は使えないぞ。

穴を塞いだり開けたする仕掛けを作る。それを操作するのは引き金だ。


スイッチを入れた途端に、衝撃が又も高速回転した。

的はあの鉄板がいい。狙って引き金を引いた。

「パコンッ」と鉄板が凹んだ。

あれ!ちょっと右に10センチも外れたぞ。


何が悪い。銃身は真直ぐだぞ。

そうか・・・構えた時に右に向いてるのか・・・


どうしたら・・・真直ぐに的に構えられる・・・

「あ!そうか・・・」

真直ぐ向くように銃身の先にちょこっと突起をつける。

そして目で見る辺りに凹みを付けて、凹みと突起の交わりを的に向ける。

これで全てが真直ぐに向いているはずだ。


今度は鉄板の凹みを狙って引き金を引いた。

「パコンッ」と貫通した。成功だ。




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